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「DX × ダイバーシティ」がもたらす働き方と学びの変革

ダイバーシティをメインテーマとするトークセッション「駒澤大学 × ソフトバンク共創企画 ~これからの世界に求められる『人材』と『環境』」が行われ、駒澤大学の各務洋子学長と、ソフトバンクの営業部門でダイバーシティを推進している専務執行役員の桜井勇人、執行役員の宮園香代子が、今なぜダイバーシティとDXが必要なのか、大学改革と働き方改革の視点から語りました。内容を前後編でお伝えします。

後編はこちら

日本のジェンダーギャップは世界125位

登壇者のプレゼンテーションに先立ち、モデレーターから「ダイバーシティ」をトークセッションのテーマとした背景が説明されました。

今、全人類が直面している「サステナビリティ」という課題。どのように地球社会が持続可能な成長モデルを見つけられるのか、そしてそれが一部の限られた人たちだけではなく、誰一人取り残さないという思想の下に展開されているかどうか。この2つのバランスが、全世界の未来のために私たちに突きつけられている課題です。

止まらない人口減少と、比例する経済力低下

その上で日本に目を向けたとき、世界に占める日本の人口は近い将来1%を切るといわれ、2024年のGDPランキングでも4位に転落。さらに、少子高齢化の加速による労働人口減少が問題となっています。持続可能な成長と誰一人取り残すことのない状態を両立していくためには、これまでの日本のあらゆるシステムの再構築を迫られているといえるでしょう。

また、多様性という観点で日本のジェンダーギャップは2023年時点で146カ国中125位と先進国では最下位。ジェンダーギャップを測る指数の中でも、企業の管理職や政治家などに代表されるような意思決定層に女性が圧倒的に少ないということが指摘されています。

日本のジェンダーギャップは世界125位/146か国中

この状況を脱却するためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)とDiversity(ダイバーシティ・多様性)による、環境の構築と人材の育成が急務であり、同時にそれらを柔軟に取り入れていくトップの意思決定も不可欠となります。

駒澤大学建学の理念と理想の学びを「D&D」で加速

各務 洋子(かがみ・ようこ)氏

駒澤大学 学長 各務 洋子(かがみ・ようこ)氏

国際基督教大学大学院行政学研究科経営学専攻博士後期課程修了。博士(学術)。米国コンサルティング会社勤務などを経て駒澤大学経営学部教員。グローバル・メディア・スタディーズ学部設立に設置準備室長として関わり、2015年4月 - 2019年3月駒澤大学 グローバル・メディア・スタディーズ学部 学部長・教授。2021年4月から学長。

駒澤大学初の女性学長として「DX」と「Diversity」を公約

仏教の教えと禅の精神を基軸とした全人的な学びの場であることを建学の理念とし、430年を超える長い歴史と伝統を持つ駒澤大学。2021年に「デジタル化の推進によるマネジメント改革」と「ダイバーシティの尊重による個を活かす大学」を公約に掲げた各務洋子氏が初の女性学長として就任しました。

「これまで本学では仏教と関係の深い先生が学長として就任されていましたが、私のような者が教職員の公選制により学長となったこと自体、時代が変わってきたことの証(あかし)かと思っています」と各務氏は語り、就任直後から大学のさまざまな業務のデジタル化を加速させ、学生・教職員の多様性を尊重する「個」を活かした柔軟な大学の実現を目指しています。

2つの学長方針(DXとDiversity)

仏教と親和性の高いダイバーシティの考え方がある

「ダイバーシティと仏教は親和性が高い」と各務氏は話します。仏教の教えはそもそも一人一人の個を尊重することが前提であると述べ、駒澤大学では「こころ・まなび・つながり」を提供価値としています。

デジタル化が進むことは、個を尊重した学びを提供し、ダイバーシティ推進につながります。それこそが「智慧を磨くとともに、自己とあらゆる他者とのつながりを大切に、慈悲の心を忘れない」仏教と禅の教えに結びつくと指摘します。

駒澤大学の持つ唯一無二の伝統と価値を礎とし、学びの可能性を広げ、多様な働き方と持続可能な社会を目指すことが駒澤大学のDXとダイバーシティだと強調します。

駒澤大学 「仏教」の教えと「禅」の精神を建学の理念とする大学

デジタル化と業務改善で大学DXを加速

各務氏は、学長に就任した2021年に、専任教職員間で業務上必要な情報をより円滑に共有するためのコミュニケーションプラットフォームを導入。また、業務フローの見直しを行い、業務効率化・自動化のためのワークフローシステム、クラウド型の勤怠システムや人事管理システムなどを次々と導入し、DXを通じて業務の効率化とコスト削減を図っているといいます。

さらに、駒澤大学が抱える課題をテーマに、デザイン思考の方法とその実践について学習する職員研修など、大学DX推進のための人材育成の取り組みも実施。「今でも悪戦苦闘しておりますが、全学部の教員が出席する会議で毎月必ずデジタル関連の課題が出ますし教職員プラットフォームの使用率も増加しており、少しずつDX化は進んでいると思っています」と各務氏は語ります。

学生が過ごしやすいキャンパスには、デジタルとダイバーシティがマスト

ダイバーシティについてもまた、2021年度に「駒澤大学ダイバーシティ推進に関する基本方針」を策定すると共に推進本部を設置。共生社会の実現に資する人材育成、多様な背景を持つ学生、教職員が互いを理解し尊重しあうための意思啓発などの方針について、大学ホームページやリーフレットを紹介し、「まだまだ大学ではダイバーシティ推進をホームページに掲載するところは少ないですが、これももっと広めていきたい」と意欲を示します。

駒澤大学ダイバーシティ推進に関する基本方針

最後に各務氏は、「DXとダイバーシティはだいぶ浸透してきた」と振り返りつつも、「デジタル化については若い人たちの方がずっと進んでいます。どの授業が休講か、どこの教室が空いてるか、構内のどこのトイレがバリアフリーかなどを含めて、スマホで全てが分かるような、学生目線で納得のいくキャンパスにしていくには、やはりデジタルとダイバーシティはマスト。引き続き実現に向けて取り組んでいきたい」と語りました。

各務学長の
プレゼンテーションは、
動画でご覧いただけます。

DXがもたらす働き方の変革と大学の魅力向上

桜井 勇人(さくらい・はやと)

ソフトバンク株式会社 専務執行役員 桜井 勇人(さくらい・はやと)

旧日本テレコム入社。社長室、営業推進部などを経た後、一貫して法人営業を担当。数多くの大手上場企業のDX推進に携わる。2014年営業本部長、2023年から現職。ソフトバンクに2021年に設置された「女性活躍推進委員会」の下部組織である「女性活躍推進会議」の法人事業部門のリーダー。

DXを通じて誰もが働きやすい職場づくりと社員の成長を促進

「情報革命で人々を幸せに」という経営理念の下、最先端テクノロジーで社会のDXを推進しているソフトバンク。その時代その時代に合ったビジネスを変革しながら事業を作り上げ、ソフトウェアの流通事業からポータルサイトYahoo! JAPAN、ブロードバンド、携帯電話、そして最近ではPayPayと、いろいろな形に変化を遂げているのが特徴です。

しかし、単に変化するだけではなく、いかに社会に貢献できるものを提供していくかということがビジョンであり、本社がある東京・竹芝のスマートビルや、ヘルスケア、自動運転などの取り組みはその一例。「チャレンジし続けてきたことが評価され『DX銘柄』に3年連続で選定されました」と桜井は語ります。

経産省/東証/IPAが実施する「DX銘柄」に3年連続選定

こうした変革に重要なことは、「そこで働く社員がいかにインスピレーションを上げられるような環境を作るか」であり、DXを通じて「誰もが働きやすい職場を作ること」と「職場の中にいる人を育てること」をセットにして進化を止めてはいけないと指摘します。

ソフトバンクは10年以上前からワークスタイルの変革に取り組み、iPhone・ iPadの社員への配布や徹底的なペーパーレス化の、AI ・RPAを使った業務自動化に加え、いつでもどこでも仕事ができる環境整備を進めていたことで、コロナ禍でも社員は問題なく在宅勤務に移行できたと紹介。

一方、社員自身の成長については、直近では全社員に生成AI環境を提供し、優勝者には1000万円の賞金を与える生成AIを活用したビジネスアイデアコンテストなどの事例をあげ、「モチベーションを高めながら、最終的にAIの使い方を磨いている」と説明しました。

ソフトバンクの働き方の変遷

3つの軸で大学DXをサポートする「スマートキャンパス構想」

桜井は、ソフトバンクが取り組んできた企業のDXを大学向けに提供するものとして「スマートキャンパス構想」を紹介。これは、「LINEで大学生活をトータルにサポートする」「キャンパスの通信環境を5Gで構築する」「ウェブを活用して大学の魅力を発信していく」という3つの軸で構成されているもの。

ソフトバンクが考えるスマートキャンパス構想

「LINEスマートキャンパスは、学生が入学前から大学生活、就職活動支援、卒業後までの全てをラインのコミュニティの中でやり取りができ、学生と教職員、OB・OGとのつながりを一つのLINEのアプリケーション上で作っていくというもの」(桜井)

大学生活をトータルサポート LINEスマートキャンパス

また、学生が学ぶ場所のテクノロジー環境が快適であるためには5Gの環境を学内に引き込むことが重要なポイントになることや、その大学に入りたいと思っている学生に対していかに大学のさまざまデータを取り込みながら、価値や魅力をタイムリーに伝えることが重要だと説明。

「充実した学生生活を通して社会で活躍できる人材を育てることが最も重要なことだと思います。学生はデジタル世界に慣れていますから、おそらくどんな環境を提供しても全く違和感がないでしょう。学生、教職員の方を含めたコミュニケーションツールをどう構築するか、大学の魅力をどう発信していくかということを、DXを通してサポートしていきたいと思っています」と語りました。

ソフトバンク桜井の
プレゼンテーションは、
動画でご覧いただけます。

3つの軸で大学DXをサポートする「スマートキャンパス構想」

後編はこちら

(掲載日:2024年3月21日)
文:ソフトバンクニュース編集部

ソフトバンクのダイバーシティへの取り組み

ソフトバンクのダイバーシティへの取り組み

ソフトバンクは世界の人々から最も必要とされる企業グループを目指し、多様な人材が活躍できる経営基盤を整えるための取り組みを推進しています。

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