プレスリリース 2025年
ソフトバンクとノキア、1台のサーバー上で
AIとvRANの共存と最適なリソース割り当ての自動化を実現
~AI-RANのコンセプトの一つ「AI and RAN」を実装~
2025年3月3日
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、Nokia Corporation(以下「ノキア」)と連携して、1台のGPU(Graphics Processing Unit)サーバー上でAI(人工知能)とvRAN(virtualized Radio Access Network、仮想無線アクセスネットワーク)を共存させ、リソースの割り当てを自動で最適化できる機能を、ソフトバンクが開発中のAI-RANの統合ソリューション「AITRAS(アイトラス)」※1のオーケストレーター※2(以下「AITRASオーケストレーター」)に追加しました。これは、AI-RANのコンセプトの一つである「AI and RAN」を実装したものです。
AI and RANとは、AI-RANにおけるAIとvRANという性質の異なるワークロードを一つの仮想化基盤上で動作させ、サーバーのリソースを効率的に活用することを目指すものです。AI and RANの実装例としては、下記のようなものがあります。
- 各サーバーにAIかvRANのロールを割り当て、ロールに従って各サーバーを動作させる
- 1台のサーバー上でAIとvRANのアプリケーションを同時に動作させる
今回、ソフトバンクとノキアは「1台のサーバー上でAIとvRANのアプリケーションを同時に動作させる」方法を実装しました。これにより、サーバーリソースの利用率を高められることや、ロール変更時に生じるサーバーのダウンタイムを大幅に削減できることなどを確認しました。
ノキアのvRANは、vRANを構成するコンポーネントの一つであるvDU(virtualized Distributed Unit)の一部の処理をSmartNIC※3が行います。また、ノキアのEMS(Element Management System)であるMantaRay NMを用いてvRANの状況をモニタリングし、接続ユーザー数などのデータであるPMカウンター(Performance Management counter)を収集・蓄積することが可能です。
ソフトバンクのAITRASオーケストレーターは、AIとvRANを同じ仮想化基盤上で動作させ、各リソースの割り当てを最適化することができます。今回、AITRASオーケストレーターをノキアのMantaRay NMと接続させることで、vRANのPMカウンターを活用し、未来のvRANのトラフィック需要を予測する機能を追加しました。
これにより、AITRASオーケストレーターで、下記の動作が可能であることを確認しました。
- 1台のGPUサーバー上で、AIアプリケーションとSmartNICを用いたvRANのアプリケーションを同時に動作させ、AITRASオーケストレーターが自動的に動作を開始・停止させる
- EMSから取得可能なPMカウンターを基に、未来のvRANのトラフィック需要を予測
- 需要の予測結果に応じてAIとvRANのリソースの割り当てを最適化

なお、今回の技術に関するデモンストレーションを、「MWC Barcelona 2025」のノキアのブースで実施します。
ソフトバンクは、引き続きノキアとの共同研究開発を通して、AI and RANの実装例を増やし、AI-RANの発展を加速させていきます。
ソフトバンクの専務執行役員 兼 CTOの佃英幸は、次のように述べています。
「ノキアのvRANとソフトバンクのAITRASオーケストレーターを組み合わせ、1台のGPUサーバー上でAIとRANの両方を動かすことに成功しました。CPUやGPUの空きリソースをAITRASオーケストレーターが監視し、RANやAIワークロードの配置を最適化することで、より設備利用効率を高められる未来を示せました。今後もAI-RANの実現に向けて共同開発を進めていきます」
ノキアのモバイルネットワークス RAN事業本部 クラウドRAN責任者のアジ・エッド氏は、次のように述べています。
「ソフトバンクとのパートナーシップでは、ノキアのMantaRay NMとソフトバンクのAITRASオーケストレーターを使用して、多目的で最適化されたAI and RANプラットフォームにAIワークロードを統合することに重点を置いてきました。このコラボレーションは、RANと非RANのAIワークロードがどのように効率的にコンピューティングリソースを共有できるかを示しており、コンピューティングリソースの利用率と運用効率を大幅に向上させ、ネットワークオペレーターの投資回収を加速させます。ソフトバンクと共に、AI-RANの変革を探求し続け、通信の未来を推進する最先端のテクノロジーを提供していきます」
- [注]
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- ※1「AITRAS」の詳細は、2024年11月13日付のプレスリリース「AI-RAN統合ソリューション『AITRAS』を開発」をご覧ください。
- ※2詳細は2024年11月13日付のプレスリリース「AIとvRANを同じ仮想化基盤で動作させるオーケストレーターを開発」をご覧ください。
- ※3SmartNIC(Smart Network Interface Card)とは、従来のネットワーク通信を行う機能に加え、データ処理のオフロードなど専用の処理を行うことができるNICのこと。
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