社長メッセージ

ソフトバンクは時代の変化に伴うニーズを先取りして更なる革新と挑戦を続けていきます。

私どもソフトバンク株式会社は、2018年12月19日に、東京証券取引所市場第1部(証券コード:9434)へ上場しました。これまでの皆さまのご支援、ご高配に心から感謝申し上げます。

ソフトバンクグループは、創業以来一貫して、情報革命を通して人類と社会への貢献を推進してきました。「情報革命で人々を幸せに」という経営理念は、テクノロジーが持つ無限の力を活用して、世界中の地域の多くの人々に喜びや感動を提供し、社会へ貢献する企業であり続けたいという強い思いを込めた、われわれの不変の理念です。

2018年度は、当社の全セグメントにおいて事業が順調に推移する一方、今後の成長エンジンである新規事業創出のため、数々の布石を打ちました。2018年度の通期業績は売上高が前期比4.6%増の3兆7,463億円、営業利益が前期比12.8%増の7,195億円、純利益が前期比6.0%増の増収増益を達成し、業績予想通り一株当たり37.5円の配当を実施する予定です。主力である通信サービスの事業では、“ソフトバンク”と“ワイモバイル”、さらに2018年4月に新たに加わった“LINE モバイル”という3つのブランドを展開し、スマートフォン契約数は195万件増加して2,208万件となりました。光回線サービス「SoftBank 光」の契約数もあわせて順調に増加しました。また、新事業では、PayPayやWeWork Japanなどの合弁事業会社が新たな市場を開拓し、それぞれの事業分野で主導的なポジションを確立しつつあります。

元号が「令和」と変わり、新しい時代を迎えました。通信の世界では5G元年と呼ぶにふさわしい年です。5Gは新たなパラダイムシフトの起爆剤となり、大きなビジネスチャンスをもたらします。5Gが持つ超高速・大容量・多接続・低遅延・高信頼性といった特長により、IoT、ビッグデータ、AI(人工知能)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、自動運転等の事業領域がさらに活性化され、これらの新しいテクノロジーによって、次々と革新的なビジネスモデルが生まれ、あらゆる産業が再定義される時代となるでしょう。

当社は、このような大きな変化から生まれるニーズを先取りし、持続的な成長を達成すべく、成長戦略と構造改革を強力に推進しています。成長戦略である「Beyond Carrier」戦略は、通信事業基盤をより強固にすると同時に、当社グループの企業群が提供するさまざまな最先端テクノロジーやサービスを活用した新しいビジネスモデルを立ち上げていくことで、さらなる成長を目指すものです。さらに、構造改革の一環として、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを積極的に活用して経営の効率性向上やコストの継続的な削減を図ります。

そして5月、当社はこの戦略を加速すべく、国内のインターネット市場において最大級の利用者数を誇るヤフー株式会社(以下、ヤフー)を連結子会社化することを発表しました。当社が提供する5G通信ネットワークとヤフーのもつビッグデータを掛け合わせることで、これまで日常生活の中で浸透を続けるスマートフォンを通じて、より魅力的で便利なサービスを提供できるようになり、社会へ大きく貢献できることになると信じています。

ヤフーの連結子会社化により、2019年度の通期業績見通しは、売上高が前期比2.1%増の4兆8,000億円、営業利益が前期比3.5%増の8,900億円、親会社の所有者に帰属する純利益が前期比3.0%増の4,800億円を見込んでいます※1。また、株主還元につきましては、純利益に対する連結配当性向85%程度を目安に、安定的な1株当たり配当を目指す方針により、1株当たり配当として85円を予定しています。

「Beyond Carrier」戦略の下、ヤフー以外にも、当社グループの経営理念を共有する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の投資先の企業群と協力し、グローバル市場で成功している最先端テクノロジーやビジネスモデルと、当社の通信インフラと顧客基盤を掛け合わせることで、より競争力のある事業体として展開しています。世界各地でコワーキングスペース(シェアオフィス)を提供する米国WeWorkと共同でWeWork Japanを設立し、グローバルのWeWork事業全体の中で最速のペースで展開を続けています。インド最大級の決済サービス事業者であるPaytmのテクノロジーを活用したスマートフォン決済サービス「PayPay」を、ヤフーとの共同出資で立ち上げ、サービス開始から6カ月で700万人以上の登録者を獲得し急速にシェアを広げています。また、創業5年で世界第6位のホテルチェーンとなったOYO Hotels & Homesと、今年4月にOYO Hotels Japanを設立し、日本の旅行者に新しい宿泊体験を提供するとともに、AIを活用したダイナミックプライシングや予約システムなど、ホテル経営者向けの機能や価値を提供し、適正な価格設定や人手不足の解消などに貢献していきたいと考えています。

当社は、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の投資先の企業以外とのコラボレーションを通じても、将来を見据えた挑戦を続けています。昨年10月に、トヨタ自動車株式会社との戦略提携を締結し、今年2月にMONET Technologies株式会社を設立しました。この会社は、自動運転社会に向けた高度なMaaS※2プラットフォームを構築し、新しいモビリティサービスを生み出すことを目的としています。翌3月には、日野自動車株式会社、本田技研工業株式会社とも資本・業務提携を行い、車両、人、物などのさまざまなデータを幅広く連携できる体制が整ってきました。すでに170以上の自治体・企業の皆様に「MONETコンソーシアム」への参画の意思表明をいただいており、全国各地でさまざまな業種の新しいMaaS関連サービスが検討されており、将来は大きな市場となっていくことでしょう。

さらに今年4月には、成層圏に無人航空機を飛ばして通信ネットワークを構築するHAPS事業の全貌を初めて公表しました。米国Alphabet Inc.の子会社で、気球を利用した成層圏通信プラットフォームを開発するLoon LLCと資本を含めた戦略的関係を構築し、また米国Facebook, Inc.とも同事業で協力します。世界のあらゆる場所でインターネット接続ができる環境を構築することは、通信事業者として最高のチャレンジであり、社会へ大きく貢献できる事業です。未知の領域である成層圏における高高度通信ネットワークの構築は、世界中で爆発的に増え続けるIoT関連デバイスを繋げるインフラを構築することを意味し、同じ志を持つ先進的な提携先企業との連携により、IoT、ビッグデータ、AIなどの領域におけるビジネスが大きく前進することが期待されます。

このように当社は、近い未来から遠い未来までを同時に視野に入れ、テクノロジーの進化や、そこから生まれるビジネスチャンスを最大限に生かすことができるよう、グローバルトレンドや事業環境を常に分析し、事業成長への布石を打ち続けています。当社は、いつの時代でも挑戦者であり、新しいテクノロジーを貪欲に取り入れて成長を続けてきました。そして、挑戦者であり続けることが、大きな変革の時代で生き残っていく最適の解であると信じています。

株主・投資家の皆さまにおかれましては、今後とも、当社へのより一層のご支援とご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2019年5月
ソフトバンク株式会社
代表取締役 社長執行役員 兼 CEO
宮内 謙

[注]
  1. ※1
    ヤフーの連結子会社化の完了は2019年6月末を予定していますが、2019年度の期首に遡及して連結したと仮定した場合の2019年度通期業績予想となります。
  2. ※2
    MaaS:Mobility as a Serviceの略称で、車や人の移動に関するデータを活用することで需要と供給を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスです。