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ドローンを活用した通信復旧の新たな取り組み。大型台風14号の被害を受けた九州で初実践

初実践、有線給電ドローンによる通信復旧で迅速に対応。大型の台風14号の被害を受けた九州での現場

2022年9月18日から20日にかけて日本列島を縦断して襲った大型の台風14号。ピーク時は中心気圧910ヘクトパスカル、最大風速55mを記録し、気象庁が各地で記録的な暴風と大雨への警戒を呼びかけるほどの勢力でした。ソフトバンクでは、特に通信ネットワークに影響を受けた九州エリアにおいて、23日13時45分から有線給電ドローン無線中継システムによる通信復旧を行いました。

通信復旧の新たな取り組みとして有線給電ドローンを活用

災害発生時は停電や基地局の倒壊など、生活インフラに欠かせない通信サービスが利用できない状況が発生することがあります。ソフトバンクは強靭な通信ネットワークサービスを維持するため、災害発生時は原因や状況に合わせてさまざまな方法で通信復旧に取り組んでいます。2022年7月、災害対策の新たな取り組みとして有線給電ドローン無線中継システムの運用が開始されました。

地上100mで停留飛行中のドローン

地上100mで停留飛行中のドローン

有線給電ドローン無線中継システムを活用した通信復旧方法の特長は、地上100mで停留飛行することで、郊外では半径3km以上、見通しの良いエリアでは半径5km以上のサービスエリアを確保でき、連続100時間以上運用できること。土砂崩れや倒木などで人間が立ち入ることが難しいエリアでも、空から電波を提供するドローンのシステムを生かすことでカバーできます。また、対象エリアが広く必要な災害対策部材が足りない場合でもドローンを複数台使うことでの対応も可能です。

初実践では課題も。経験を生かし、さらなる迅速な復旧へ

現地で対応したソフトバンクと双葉電子工業

現地で対応した双葉電子工業とソフトバンク、東京工業大学

台風14号に伴う停電および伝送路支障の影響等で、沖縄を除く九州などの一部地域では9月18日午前9時頃から通信がつながりにくくなる状況が発生しました。現地での有線給電ドローン無線中継システムの稼働は、通常3〜4名で行うことを想定していますが、今回は初の実践ということもあり、エリアやドローンの対応をするソフトバンクと東京工業大学、ドローン飛行などのサポートを行う双葉電子工業による10名のチームで復旧作業に当たりました。

台風14号が上陸すると確定された直後から、復旧作業の準備は始まっていました。現地では移動基地局車が稼働していましたが、一部の基地局で稼働が不安定であったり、カバーエリアが狭かったりしたことから、実際の復旧作業では初めてとなる有線給電ドローン無線中継システムを活用することになりました。

ドローンの飛行状態を確認しながらコントローラーで操作している様子

ドローンの飛行状態を確認しながらコントローラーで操作している様子

作業チームが現地到着後、まずは飛行場所を選定し、役場から飛行許可を取得。設営開始後は衛星回線の設置、発電機などの電源周り、無線機の設定、ドローン本体の組み立てとコントローラー設置を経て、飛行を開始し電波を発射することで通信復旧を図りました。設営してからドローン飛行まで2時間程度。他の災害対応ソリューションと比べて迅速に対応することができました。

今回の通信復旧について、現地のエリア・ドローンの担当者は「初めての実践ということで当初の想定よりも設置に時間がかかりました。日頃から訓練を行い、敏速に作業が行えるようにしておくことがとても重要と、認識を新たにしています。ドローンは従来活用してきた他の復旧方法よりも、準備時間が短く広範囲のエリアカバーが実現可能です。災害で不安な日々を過ごされているお客さまに少しでも早く安心をお届けできるソリューションとしてぜひ活用していきたいと思います」と振り返り、有線給電ドローン無線中継システムの活用への意欲を述べました。

ソフトバンクはこれからも災害時復旧訓練に取り組み、あらゆる災害に備えていきます。

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災害対策・復興支援

(掲載日:2022年11月14日)
文:ソフトバンクニュース編集部