プレスリリース 2024年

ソフトバンク、NEC、Broadcom、
O-RANアーキテクチャーとテレコム クラウドを融合し
仮想化によるRANのモダナイゼーションに向けた
共同検証を実施

2024年2月28日
ソフトバンク株式会社
日本電気株式会社
Broadcom Inc.

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)、日本電気株式会社(以下「NEC」)および先頃Broadcom Inc.による買収が完了したVMwareの3社は、モバイルネットワークのフロントエンドである無線アクセスネットワーク(Radio Access Network、以下「RAN」)の仮想化による共同検証を実施し、O-RANアーキテクチャー※1とテレコム クラウド※2の融合によるRANのモダナイゼーション(システムの最新化)の実現性を確認しました。

今回の共同検証では、仮想化されたRAN(virtualized RAN、以下「vRAN」)のシステムにおいて、ソフトバンクが要件定義した汎用性の高い共通のインフラストラクチャーと、O-RANアーキテクチャーを採用したNECのvRANアプリケーション、テレコム クラウドに最適化したVMwareのvRANプラットフォームを使用しました。

共同検証で使用したvRANアプリケーションは、従来のBBU(Baseband Unit)で担っていたRANの通信機能がCU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)に分割され、コンテナ技術により仮想化されています。また、O-RANアーキテクチャーを採用することで、それらはO-CU※3とO-DU※4としてvRANプラットフォームであるO-Cloud※5に搭載されています。さらに、テレコム クラウドに最適化されたvRANプラットフォームは、クラウドネイティブ技術※6を採用することで、RANアプリケーションの構築と最適化を高度に自動化しています。

共同検証の結果、従来のRANシステムからvRANシステムへモダナイゼーションすることで、ネットワークオペレーションの共通化や効率化が実現できることを確認しました。具体的には、O-RANアーキテクチャーを採用することで、設計・調達から構築・運用までオープンで共通化されたオペレーションが実現可能なことを確認しました。また、テレコム クラウドに最適化することで、スケーラブルなRANシステムの構築・運用が可能となり、スマートで効率的なオペレーションが実現できることを確認しました。

役割分担

会社 役割
ソフトバンク vRANインフラストラクチャー(COTSサーバー、ネットワーク機器)の設計・構築
NEC vRANアプリケーション(CU、DU)の開発・構築、RU(Radio Unit)の開発・構築
Broadcom vRANプラットフォーム(IaaS、CaaS、PaaS、リアルタイムOS)の開発・構築

検証内容

商用環境を模した検証環境を構築し、下記の内容を検証しました。

  • CU/DU/RUについて、O-RANアーキテクチャーに沿った基本的な通信処理を確認
  • リアルタイムOSを利用したDUの低遅延処理と低ジッター処理を確認
  • PaaSの高度な自動化機能によりRANシステム構築の効率化を確認
  • PaaSのヒーリング機能によりキャリアグレードの堅牢性を確認
  • PaaSのスケーリング機能によりスケールアウトを容易にできることを確認
  • IaaS/CaaSのマルチテナント機能を利用したオペレーション共通化を確認
[注]
  1. 検証内容の詳細は別紙を参照

各社のコメント

ソフトバンクの常務執行役員 兼 CNO(最高ネットワーク責任者)である関和智弘は、次のように述べています。
「お客さまに低廉・高品質なモバイル通信を提供することを目的に、ソフトバンクではこれまでもさまざまな最新のRANテクノロジーの導入を進めてきました。今回3社で検証した仮想化、O-RAN、テレコム クラウドによる革新的なRANモダナイゼーションは、将来的に効率性の高いRANオペレーション実現の核となる技術であると確信しています。一方で、通信サービスによるマネタイゼーションの劇的な改善が期待できない今日、デジタルツインなどを用いた商用ネットワーク全体のモダナイゼーションによる運用効率の改善は通信事業者の最大の課題ともいえます。ソフトバンクは、ネットワーク全体のモダナイゼーションの実現をゴールとし、今回検証した技術をこの取り組みの中でどのように最適化していくかという次の課題も含め、今後もその解決に向けた活動を継続していく予定です」

NECのCorporate SVP 兼 ネットワークソリューション事業部門長である佐藤崇は、次のように述べています。
「柔軟なモバイルネットワークを実現するためには、O-RANに対応した仮想化ソフトウェアソリューションの展開が必要です。この検証では、NECのvRANアプリケーションがVMwareのvRANプラットフォームをサポートすることでエコシステムを拡大し、通信事業者のオペレーション効率化に貢献したことを示しました。今後も3社共同で、マルチテナント統合クラウドプラットフォームとアプリケーションとの組み合わせにより、ネットワークの価値最大化を目指します。NECは、完全にコンテナ仮想化されたRAN/モバイルコアのアプリケーションを提供し続け、柔軟で高性能なモバイルネットワークソリューションを提供します」

Broadcom Inc.のSoftware-Defined Edge Divisionの副社長 兼 ゼネラルマネージャーであるSanjay Uppalは、次のように述べています。
「ソフトバンクおよびNECとの共同の取り組みは、ソフトバンクのネットワークをさらに効率化し、変革を加速させることになるでしょう。スピードはすべての通信事業者にとって最優先事項です。PaaS(VMware Telco Cloud Automation)の統合オーケストレーション機能は、NECのRAN展開において、急速に進化するCNF(cloud-native network function)要件を通信事業者が迅速に展開できるようにします」

[注]
  1. ※1
    O-RANアーキテクチャー:オープン無線アクセスネットワーク(O-RAN)は、さまざまなベンダーによって開発された、モバイルネットワーク機器間の相互運用性を実現するRANの一種です。O-RANアーキテクチャーは、O-RAN ALLIANCEで定められているRANの機能分割要件に沿っていることを示しています。
  2. ※2
    テレコム クラウド:テレコム クラウドとは、通信事業者がモバイルネットワークとデータ転送機能を本番運用に大規模に展開して管理するために必要なデータセンターリソースです。従来テレコム クラウドは、プライベートデータセンター施設に置かれ、3Gおよび4G/LTEネットワークの通信要件への対応に使用されています。現在は通信事業者コミュニティー全体に5G機器が国際的に展開されているため、ベンダーはネットワーク機能の仮想化(Network Function Virtualization)およびSoftware-Defined Data Center(SDDC)の管理に向けた戦略を採用しています。この戦略により、通信事業者に必要な運用ソフトウエアの展開を効率的に行うことができます。
  3. ※3
    O-CU:O-RAN ALLIANCEで規格策定されているvRANアプリケーション、CUのオープン規格。
  4. ※4
    O-DU:O-RAN ALLIANCEで規格策定されているvRANアプリケーション、DUのオープン規格。
  5. ※5
    O-Cloud:O-RAN ALLIANCEで規格策定されているvRANアプリケーションを搭載するためのプラットフォームのオープン規格。
  6. ※6
    クラウドネイティブ技術:パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドなどの最新の動的環境で、スケーラブルなアプリケーションを構築して実行する技術であり、本資料ではコンテナ化されたアプリケーションとそれを実行管理するKubernetesのプラットフォームのことを指します。
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