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普段は雪が降らない都市部で大雪に見舞われたら…。身を守るためにあなたが取るべき行動は?-防災行動ガイド

久しぶりに降り出した雪が、あっという間に屋根や車の上に降り積もっています。ニュースを見ると、今日は大雪が予想されているようです。このままでは交通機関のまひや、停電・断水の可能性も。もしあなたがこのような状況に置かれたら、一体どのように行動すればいいのでしょうか? 正しい知識とすぐにできる小さな行動によって、雪がもたらす被害やリスクを最小限にとどめることができます。

今回は、あまり雪が降らない都市部で大雪が降った際に取るべき行動や備えをご紹介します。

この災害テーマのポイント

目の前にけが人が…。災害時の正しい応急手当や搬送方法 -防災行動ガイド

  1. 普段あまり雪が降らない都市部でも、気象条件によっては大雪に見舞われることも
  2. 雪に慣れていない都市部で大雪が降ると、交通障害や断水・停電の可能性も
  3. 大雪の予報が出たら、不要不急の外出を控え、家の中にとどまろう

目の前にけが人が…。災害時の正しい応急手当や搬送方法 -防災行動ガイド

この災害テーマのポイント

  1. 普段あまり雪が降らない都市部でも、気象条件によっては大雪に見舞われることも
  2. 雪に慣れていない都市部で大雪が降ると、交通障害や断水・停電の可能性も
  3. 大雪の予報が出たら、不要不急の外出を控え、家の中にとどまろう

めったに雪が降らない都市部でも油断禁物

普段ほとんど雪が降らない太平洋側の都市部などでも、まれに大雪が降ることがあります。この理由は、雪を降らせる要因となる南岸低気圧が発生するため。南岸低気圧が大雪をもたらすのは、気温や湿度などの条件がそろったときです。雪に慣れていない都市部では、たとえ15cmや20cmの雪でも生活にさまざまな影響が出ます。

直近の都市部における甚大な大雪被害

平成26年2月14日〜16日に関東甲信越、東北、北海道で記録的な大雪・暴風雪が発生。統計期間が10年以上の観測地点のうち、北日本と関東甲信地方の18地点では観測史上1位を更新。各地で停電、水道被害、交通障害などが発生する中、埼玉や東京多摩地域では孤立する集落もありました。

リスク:雪に慣れていない都市部での大雪は、何が危険?

雪があまり降らない都市部では、人が雪に慣れておらず、街のつくりも雪に対応していないため、大雪が降ると想像以上の影響が出ます。

都市部で大雪が降った際の被害とは?

  • 交通機関が止まる
  • 路面凍結による交通事故や転倒事故
  • 電気、水道が使えなくなる(災害で大規模停電が発生したら?
  • 孤立する、物資が不足する
  • 簡易的なつくりの屋根やガレージ、物置の倒壊
  • 慣れない除雪作業中の事故

大雪に関する警報の種類

気象庁は大雪への注意喚起として、随時注意報や警報を発令します。基準はエリアによって異なるため、住んでいる地域の基準を確認しましょう。気象庁と国土交通省が合同で不要不急の外出を控えるよう呼びかける場合は、特に危険性が高まっているケースなので、十分に警戒を。

対処法:大雪予報が出たら、外出を控えよう

都市部で大雪の予報が出たら、不要不急の外出を控えて自宅にとどまりましょう。可能であれば仕事もオンラインに切り替えるなど柔軟な対応を。万が一外出先にいる場合でも、大雪の中無理に帰宅しようとすると、さまざまな被害を受ける可能性があります。

<自宅にいる場合>

  • 無理に外出したり避難したりしない
  • 水や食料の備蓄、予備バッテリーや暖房器具を用意する
  • 孤立や家屋倒壊の恐れなど身の危険が迫っている場合は消防・警察・自治体に通報を

<外出先にいる場合>

  • 無理に帰宅しようとせず、学校や職場に引き返すことも検討する(災害で交通機関がストップしたら?
  • 自動車の場合、近くのサービスエリア、道の駅、商業施設に駐車し、避難する
  • 自動車で渋滞に巻き込まれて停車している時は、マフラー周辺の除雪をこまめに行い、一酸化炭素中毒を防ぐ(大雪で車が立ち往生したら?

室内でも低体温症に注意! 身近なものでできる寒さ対策

低体温症とは、深部体温が35℃以下になり、正常な体の機能が保てなくなる症状のこと。自分では気づかないうちに発症することも多く、意識障害を引き起こす可能性も。室内だからと油断せず、低体温症対策を行いましょう。

  • 手袋やダウン、マフラーなど防寒具を身に付ける
  • 湯たんぽやカイロで、首や背中、おなか、くるぶし周辺を温める
  • 新聞紙をおなかに巻いたり、2枚重ねの靴下の間に仕込んだりして保温する
  • 雑誌、薄手の段ボール、大きめのビニール袋を防寒具として代用するのも◎

雪がやんだ後、やむを得ず外出する際の注意点

雪がやんだ後、人々に踏み固められた雪はカチカチに凍っていてとても危険です。歩行時には、小さく真っすぐに踏み込んで歩くこと、転倒時のけが防止に、ニット帽やダウンなど厚手の防寒着を身に付けることなどを心がけましょう。また、歩道橋の階段などは凍結していることが多く転びやすい場所なので注意を。(大雪が積もった雪道の歩行

<自動車に乗る時>

  • スタッドレスタイヤやチェーンをつける

    雪道でのスリップなどを避けるために、必ずスタッドレスタイヤに変えたり、チェーンを装着したりしましょう。

  • 急ブレーキや急発進、急停車をしない

    急ブレーキや急発進、急停車はスリップの原因になります。特に大雪が降った後は、ぬれているように見える路面でも表面が凍っている「ブラックアイスバーン」の可能性があるため、いつも以上に慎重に運転しましょう。

  • 自転車や二輪車は使わない

    スリップや転倒の危険性が高いので、自転車やバイクなどは使用を控えてください。

知っておきたい、日頃からできる大雪対策

普段から緊急時に備えておけば、いざという時に慌てずに済みます。ベストな方法は、日頃から大地震に備えて対策しておくこと。大地震への備えは、大雪など他の災害への備えとして応用できます。

  • 1週間分の食料と水を備蓄しておく(家庭用食料備蓄のコツ
  • 電池式のラジオやヒーターをそろえ、電池、発電機などを用意しておく
  • 防寒対策グッズを常備しておく
  • ガレージや物置、家屋の補強をしておく
  • 冬が始まったらスタッドレスタイヤを装着し、チェーンを用意しておく
  • 雪かき用のスコップ・ホウキなど除雪用具を早めに用意しておく

大雪への備え・大雪が降ったときに役立つサービス・ウェブサイト

① 気象庁「降雪短時間予報」

気象庁「降雪短時間予報」

自分が住むエリアの1時間ごとに推定した現在の積雪の深さと降雪量の分布、6時間先までの予測を確認できるウェブサイト。雪の予報が出たときは、こまめにチェックするのがオススメです。

気象庁「降雪短時間予報」

② 緊急速報メール

緊急速報メール

気象庁が配信する気象に関する特別警報、国や地方公共団体が配信する災害・避難情報を対象エリアに知らせるサービス。大雪による危険性をいち早くキャッチすることができます。

緊急速報メール

③ 災害用伝言板

災害用伝言板

災害などで音声発信が集中してつながりにくくなった際に、テキストで安否確認ができるサービス。無料で使えて事前の登録も必要ないため、緊急時でも迅速な安否確認が可能です。

監修者:防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)

高橋洋先生

1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティア、終活ガイド・エンディングノート認定講師としても幅広く活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。

(掲載日:2024年2月22日)
監修者:高橋洋
文:佐藤葉月
編集:エクスライト
イラスト:高山千草