サステナビリティ調達調査

サプライチェーンにおける潜在的なサステナビリティリスクを特定し、適切に対応するために主要サプライヤーに対するサステナビリティ調達調査を毎年実施しています。

リスクの管理とKPI

以下の手順でサプライチェーン全体のサステナビリティリスクを特定し、管理しています。

  1. 主要サプライヤーに対して年次で「サステナビリティ調達調査」を実施し、調査結果を分析してサプライチェーンにおける潜在的なサステナビリティリスクを特定
  2. 調査の結果、「ハイリスクサプライヤー」に該当したサプライヤーに対して、当社が重要と考える評価項目(人権等)に関する改善予定の有無等を確認するヒアリング、および現地監査を必要に応じて実施
  3. ハイリスクサプライヤーに対して、要改善項目に関する改善提案を送付し、取り組みの改善を共に推進
  4. 年次のサステナビリティ調達調査等を通じて要改善項目の改善状況をモニタリング

サステナビリティ調達調査の実施においては、当社が目指す「サプライヤーとの公正で良好な取引関係」を実現するために以下のKPIを設定し、共にCSRに関わる課題に対処し、お客さまに安心で安全な製品やサービスを提供し、社会から信頼される企業活動を行うことを目指しています。

KPI 目標 目標年 実績
2021年度 2022年度
サステナビリティ調達調査票の回収率 90%以上 毎年 93% 94%
ハイリスクサプライヤーに対する改善活動の支援 100%実施 毎年 100% 100%
サプライヤー視察およびCSR監査の実施 2021年度:
5社以上
2022年度:
10社以上
毎年 5社 12社

サプライチェーンの状況

当社のサプライヤーは、世界中に約2,000社以上存在しますが、サプライチェーンマネジメントにおいては、取引量や代替可能性の観点に加え、環境、社会、ガバナンスのESG側面を考慮し、重要サプライヤーを定め、幅広いサプライヤーの中における重要サプライヤーとして、適切なサプライチェーンマネジメントを⾏っています。

サプライヤー分類 2022年度
1次サプライヤー サプライヤー数 2,804社
重要サプライヤー 1次サプライヤー数 7社(購入金額全体の41%)
2次以降のサプライヤー数 0社
[注]
  1. 第三者検証を実施しています。

調査実施概要

当社は、主要サプライヤーに対するサステナビリティ調達調査を毎年実施することおよび回収率90%以上を目標に設定しています。2020年度より、国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)にて2017年に作成されたセルフ・アセスメント質問表(SAQ※1)を採用し調査を実施しています。

CSR調達 セルフ・アセスメント・ツール・セット(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン)

2022年度は、SAQと同時期に2021年度から採用している紛争鉱物や外国人技能実習制度を含む人権に関するパートやスコープ1、2、3を踏まえたCO2排出等の環境に関するパートに分かれている「高リスク管理アンケート※2」を調査対象サプライヤー※3へ実施しました。

[注]
  1. ※1
    SAQは、グローバル・コンパクト10原則・ISO26000等の国際ガイドライン、特定業界のCSRアンケートをベースに9つの中核項目「(1)CSRにかかわるコーポレートガバナンス、(2)人権、(3)労働、(4)環境、(5)公正な企業活動、(6)品質・安全性、(7)情報セキュリティ、(8)サプライチェーン、(9)地域社会との共生」、を抽出し、業界を問わずバイヤーとサプライヤー間で共有できるよう構成
  2. ※2
    各社方針、ガイドライン(行動規範)以外の時勢に沿った人権、環境など、重要項目に関するアンケート
  3. ※3
    調査対象サプライヤー:2022年度は購入金額の上位約90%に含まれる主要サプライヤー。

調査結果

SAQの9項⽬を合計した全体の平均得点率は75%でした。得点率の⾼い項⽬は「(3)労働」、「(5)公正な企業活動」、「(6)品質・安全性」、「(7)情報セキュリティ」である⼀⽅、得点率の低い項⽬は「(4)環境」「(8)サプライチェーン」「(9)地域社会との共生」でした。

調査対象サプライヤーに対して、各項目の分析結果をフィードバックし、サプライヤーが自社の得点率と他社の平均得点率を項目毎に比較することにより、自社の活動における強みや弱みを再確認し、継続的な向上に努めていただく際の参考にしていただいています。

調査結果
項目 設問数 最大得点率 平均得点率
(1)CSRにかかわる
コーポレートガバナンス
20 100% 84%
(2)人権 9 100% 75%
(3)労働 23 100% 91%
(4)環境 15 100% 53%
(5)公正な企業活動 20 100% 91%
(6)品質・安全性 7 100% 82%
(7)情報セキュリティ 9 100% 97%
(8)サプライチェーン 7 100% 49%
(9)地域社会との共生 4 100% 52%
全体 114 100% 75%

リスクの特定

当社は、サプライヤーの人権、労働、環境に対する行動が十分でなく、人権侵害の発生により私たちの企業評判に影響を及ぼす、良好でない労働環境により製品・サービスの品質が低下する、環境や労働に関連する法令に違反するなど、当社の事業活動に大きな負の影響を及ぼす可能性の高い状態を「サステナビリティハイリスク」と定義しています。

サステナビリティ調達調査により、9項目の平均スコアが65点以下かつ特に重大リスクが存在するものと捉える項目を満たしていないサプライヤーを「ハイリスク」なサプライヤーとして、共に取り組みの改善を推進しています。

2022年度は、外国人技能実習制度等の⼈権項目、GHG排出量削減⽬標の設定等の環境項⽬についての対応に遅れがあるサプライヤーをハイリスクサプライヤーとして特定し、是正措置の対応を進めるとともに、当社のサプライヤー倫理⾏動規範の要求レベルの周知に努めています。

リスクランク 評価点 2020~2021年度 2022年度 説明
Aランク 合計86点以上 66社
(62%)
8社
(25%)
基本的に当社のサプライヤー倫理行動規範の要求レベルで行動ができている
Bランク 合計66~85点 24社
(22%)
17社
(53%)
当社のサプライヤー倫理行動規範の要求レベルで行動ができていない項目があるが、自主的改善が可能
Cランク 合計65点以下で重大リスク項目の該当なし 11社
(10%)
1社
(3%)
当社のサプライヤー倫理行動規範の要求レベルで行動ができていない項目について、改善計画に基づき状況モニタリングが必要
Dランク
(ハイリスク)
合計65点以下で重大リスク項目が未達 6社
(6%)
6社
(19%)
当社のサプライヤー倫理行動規範の要求レベルで行動ができていない項目(人権、労働、環境等の一部項目)について、潜在的にリスク有と判断し是正措置計画の作成が必要
合計 107社 32社 調査対象に重要サプライヤーを含む
[注]
  1. 第三者検証を実施しています。

改善活動の支援

人権、環境等に関する項目を含むサステナビリティ調達調査の結果、サステナビリティリスクが特定されたサプライヤーに対し、(1)分析結果を共有し、(2)追加ヒアリングを行うことで懸念事項を明確化し、(3)対応の方向性を協議することで改善支援につなげています。ただし、対象となるサプライヤーは、サステナビリティ調達調査の結果に基づき毎年見直します。2022年度は、潜在的なリスクがあると判断したサプライヤー6社に対し是正措置計画の作成を依頼すると共に、今回のアセスメントを機に取り組みの改善を依頼しています。

リスクの種類 内容 2022年度
改善支援社数
改善指導率
指定国・地域の
自社工場、取引先
指定国、地域に自社工場または取引先有無を確認できていない 1社 100%
外国人技能実習生制度
  • 外国人技能実習制度を採用しているが当社のサプライヤー倫理行動規範遵守の確認が取れていない
  • 外国人技能実習制度採用の有無を確認できていない
3社
温室効果ガス(GHG)排出量 GHG排出量について、定量化した具体的な削減目標を設定していない 6社
合計 6社
(重複含)
100%
[注]
  1. 第三者検証を実施しています。

視察および監査の実施

当社は、2021年度より購買担当者によるサプライヤーの⼯場などの現場視察時に、人権・労働、安全衛生、環境分野などにおける「サプライヤー倫理⾏動規範」の遵守状況を点検し、その記録を蓄積する取り組みを実施しております。
また、2022年度より第三者監査の実施を開始しており、項目は各国の法令要求事項、ILO条例やRBA等のグローバルスタンダード監査基準の要求事項を基に構成されたものを使用しています。
監査の結果、改善が必要なハイリスクと評価された場合、監査実施後、改善計画を策定し、取り組んでいただいています。

訪問調査 2021年度 2022年度 2023年度
目標 2社以上
(監査)
10社以上
(監査)
15社以上
(監査)
実績 5社
(監査)
12社
(監査)
[注]
  1. 第三者検証を実施しています。

サステナビリティ調達調査において、第三者による保証を取得(一般財団法人日本品質保証機構)しています。