電波の人体影響に関する
公的機関の見解

WHO(世界保健機関)の見解

WHOでは、電波が健康に及ぼす影響に対する高い関心に応えるため、国際電磁界プロジェクトを推進しており、電波の健康影響に関する評価の見解をファクトシートとして公表しています。

  • [Fact sheet] Electromagnetic fields and public health: mobile phones (October 8, 2014) (WHO)

    「A large number of studies have been performed over the last two decades to assess whether mobile phones pose a potential health risk. To date, no adverse health effects have been established as being caused by mobile phone use.(携帯電話が潜在的な健康リスクをもたらすかどうかを評価するために、これまで20年以上にわたって多数の研究が行われてきました。今日まで、携帯電話使用が原因とされる健康への悪影響は立証されていません。)」

  • [Radiation and health] Electromagnetic fields and public health: base stations and wireless technologies (May 2006) (WHO)

    「Considering the very low exposure levels and research results collected to date, there is no convincing scientific evidence that the weak RF signals from base stations and wireless networks cause adverse health effects.(ごくわずかなばく露量と今日までに集められた研究結果を考慮した結果、基地局および無線ネットワークからの微弱な無線周波数信号が健康へ有害な影響を起こすという説得力のある科学的証拠はありません。)」

また、WHOの質問と回答(Q&A)集に「Radiation: 5G mobile networks and health(5Gモバイルネットワークと健康)(WHO)」が2020年2月に公開されました。その中でWHOは、「Provided that the overall exposure remains below international guidelines, no consequences for public health are anticipated.(全体的なばく露量が国際ガイドライン以下に留まる限り、公衆衛生上の重大な結果が生じるとは考えられない。)」と述べています。

WHOは無線周波電磁界ばく露からの健康に関する全ての研究結果の再検討やリスク評価などを行い、環境保健クライテリア(EHC: Environment Health Criteria)として、取りまとめています。WHO国際電磁界プロジェクトの詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。

Electromagnetic fields (EMF) (WHO)

なお、2011年5月に、WHOの専門機関である国際がん研究機関(IARC)は電波の発がん性評価を行った結果、携帯電話などの使用について限定的な証拠があったとして、「発がん性があるかもしれない」(グループ2B)に分類したと発表しました。当時、WHOは本発表を受けてファクトシート「携帯電話」を改訂していますが(2014年10月に「Electromagnetic fields and public health: mobile phones」として再改訂)、当ファクトシートを公表した当初より電波を原因とするいかなる健康影響も立証されていないという見解は変わっていません。

また、一般社団法人 電波産業会 電磁環境委員会は「国際がん研究機関(IARC)の電波の発がん性評価結果について」を発表しています。

国際がん研究機関(IARC)の電波の発がん性評価結果について(2011.6.3)(一般社団法人電波産業会 電磁環境委員会)

ICNIRP(国際非電離放射線
防護委員会)の見解

ICNIRPはさまざまな種類の非電離放射線(可視光線や赤外線、電波)に関する健康影響を調査して、国際指針の作成や防護についての活動を行っている機関です。

ICNIRPは、1998年に電磁界の健康影響に関する世界中の研究結果を精査の上、「時間変化する電界、磁界及び電磁界による曝露を制限するためのガイドライン(300GHzまで)」を定めました。

ICNIRPはその後も関連の研究結果を定期的に精査しており、上記ガイドラインの妥当性の検証を行っていましたが、2009年および2010年に上記ガイドラインが妥当であるとする見解を改めて示しています。また、この国際ガイドラインはWHOファクトシートNo.304「基地局および無線技術」、およびIARCによる無線周波電磁界の発がん性評価ののちに発行されたWHOファクトシートNo.193「携帯電話」において、ばく露制限のガイドラインとして引用されています。

また、ICNIRPは2020年3月に5Gを含めた最新のガイドラインを公開しました。そのプレスリリースの中で「人々にとって覚えておくべき最も重要なことは、この新ガイドラインを遵守している限り、5G技術が害を生じることはあり得ない、ということです。」と述べています。

ICNIRPのウェブサイトは以下の通りです。
ICNIRP(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection)

総務省の見解

総務省は1997年10月より生体電磁環境研究推進委員会による10年間にわたる一連の動物実験や疫学調査などによる生体安全性評価に関する研究を下に、2007年4月に最終報告として取りまとめました。
報告では「わが国をはじめ、国際的な専門機関では、電波防護指針を下回る強さの電波によって非熱効果を含めて健康に悪影響を及ぼすという確固たる証拠は認められない」と発表しています。

また2008年6月より生体電磁環境に関する検討会で、引き続き国内外の研究結果の分析などを行い、2015年7月に第一次報告書の公表が行われました。
報告では「電波の人体への影響に関する現時点での知見として、電波ばく露による熱作用・刺激作用以外の未知の作用による人体への影響については、これまで60年以上にわたり国内外で研究されてきた。その結果、これまでのところ、国際的なガイドラインの指針値より弱い電波ばく露条件においては、熱作用・刺激作用以外の作用が存在することを示す確かな科学的証拠は見つかっていない」と発表しています。

[注]
  1. 生体電磁環境研究推進委員会(平成9年度~18年度)の詳しい内容につきましては、以下のウェブサイトをご覧ください。
    生体電磁環境研究推進委員会(平成9年度~18年度)(総務省 電波利用ホームページ)
  2. 生体電磁環境に関する検討会の詳しい内容につきましては、以下のウェブサイトをご覧ください。
    報道資料:「生体電磁環境に関する検討会 第一次報告書(案)」に対する意見募集の結果及び第一次報告書の公表(総務省)

その他関係機関リンク先

ICNIRP
(国際非電離放射線
防護委員会)

ICNIRP(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection)

MWF
(Mobile & Wireless Forum)

MWFは、モバイルまたはワイヤレス通信に高い関心を持つ通信機器メーカーの国際的な団体です。

MWF(Mobile & Wireless Forum)