プレスリリース(旧ソフトバンクテレコム) 2008年

「仮想化技術」による「ディザスタリカバリシステム」の自動化実現について
~企業のシステムを自動的に復旧させる「広域仮想化基盤」の実証実験に成功~

2008年4月23日
ソフトバンクテレコム株式会社

ソフトバンクテレコム株式会社(本社:東京都港区、社長:孫 正義、以下 ソフトバンクテレコム)は「仮想化技術」を利用した「広域仮想化基盤」を構成することにより、災害時における企業のシステム環境を迅速、かつ自動的に復旧できる実験に成功いたしましたのでお知らせいたします。

企業の事業継続性への意識が高まる中、バックアップデータの確保や冗長性の高いシステム構築が求められる一方、企業にとっては、災害対策用システムの構築に必要な費用負担や設置場所の確保、複雑化するシステムの運用負担が問題となっています。そこで「仮想化技術」を用いたシステム統合で、システムリソースの有効活用や運用の効率化を図る企業が増加する傾向にあります。しかし、「仮想化技術」を用いてシステムを構築した場合でも、実際に災害が生じた時のデータ復旧手順については、従来どおりのマニュアル化された非常に複雑な手順のままで、災害規模によっては復旧までに数日を要する場合も多いというのが現状です。

今回の実験では、遠隔地のデータセンターに構築した仮想サーバ環境、および仮想ストレージ環境を、高速接続を提供する技術のひとつである「Infiniband(インフィニバンド)」で結んだ「広域仮想化基盤」を構築し、一部の地域に生じた災害によって稼動中のシステムが停止した場合でも、「広域仮想化基盤」上の別のデータセンターに「迅速」かつ「自動的」に再稼動する災害対策システムの構築を実現しました。

この実証実験で構築した災害対策システムを使うことにより、今後は、従来のような冗長化システムを構築することなく、「仮想化技術」のメリットを最大限に活かして現行のリソースを有効活用できるほか、増大するシステム構築コストの負担が軽減され、時間的、人的に工数のかかる復旧時間の短縮も可能となり、業務停止によるビジネス機会損失の大幅な削減も期待することができます。

  • Infiniband(インフィニバンド):
    サーバシステムの高速接続技術の一つで、外部ストレージ接続など、サーバの低遅延の通信環境が必要な分野で用いられます。通常はひとつのデータセンター内にあるサーバ間で利用する技術ですが、今回の実験ではこの技術を既存の広域ネットワーク上に張り巡らせた「広域仮想基盤」上で、遠距離間の複数のデータセンターにまたがるデータ入出力の優先制御に成功しました。

実験の概要

1.実験期間

2008年2月18日~3月14日

2.実験場所

東京と大阪にあるソフトバンクテレコムのデータセンター間(約500km)にて、サーバ、ストレージを含むITシステム環境の迅速な自動復旧を実現。

3.実証内容

(1)復旧作業の完全自動化

従来のサーバ仮想化技術やストレージ仮想化技術だけでなく、サーバのデータ入出力のインタフェースを仮想的に二重化する技術を用いることで、システム内の一部の機器に障害が発生した際の切り替え時間の短縮を実現しました。この技術を用いることで、復旧作業をすべて自動化することが可能となるため、従来のマニュアル作業による複雑な復旧作業が削減されるほか、部分障害復旧時にシステムを待機させることによる性能劣化についても最小化できることが実証されました。

(2)広域間でのデータ出入力制御技術の実証

従来は単一のデータセンター内でのみ利用されてきた、データ出入力制御技術である「Infiniband(インフィニバンド)」が、広域に分散するデータセンター間の接続にも利用できることを実験において実証しました。これにより、既存の広域ネットワーク網上に「仮想化技術」を用いたシステムを構築しても、シームレスにデータの入出力が実現できるため、物理的に離れた場所からでも、ストレスなく業務システムが利用できます。

従来の「仮想化技術」の適用

「仮想化技術」は単一のデータセンター内など、局所的に設置されたリソースを対象に多く利用されています。

「広域仮想化基盤」上の災害対策システムイメージ図

データセンター間に分散するリソースを統合して仮想化することで「広域仮想化基盤」を構成し、一部地域での災害発生時に別のセンター内にある仮想化環境に切り替えて、システム復旧時間を短縮します。

  • 今回の実験環境には、Infiniband接続装置としてXsigo Systems及びBay Microsystemsの装置を使用し、データ保護のためにDataCore社のソフトウェアを利用しました。

以上

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