「デジタルコヒーレント方式」による東京~大阪間の
通信容量100Gbpsへの拡張と商用開始について~現行の約10倍の伝送サービスを実現し、増大する通信容量の需要に対応~
2013年8月20日ソフトバンクテレコム株式会社
ソフトバンクテレコム株式会社(以下「ソフトバンクテレコム」)は、データ通信量の増大や高速化に対応し、ネットワークサービスやクラウドサービスの提供能力を強化するため、東京~大阪間の伝送路において最新の光通信技術デジタルコヒーレント※1方式を活用したDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing:高密度波長多重伝送)リングシステムを構築し、運用を開始しました。これによりバックボーンネットワークの通信容量が従来の10Gbpsから100Gbpsに拡張され、より高速かつ安定的なサービスの提供が可能となります。なお、東京~大阪間の100Gbps伝送を再生中継※2なしで商用化するのは日本で初めて※3です。
DWDMリングシステム構築の技術詳細について
1. デジタルコヒーレント方式の採用
最新の光伝送技術であるデジタルコヒーレント方式を採用することで、ひとつの光波長で100Gbpsの大容量伝送が可能になるため、DWDMリングシステムでは、最大88波(8.8Tbps)までの大容量データ通信が可能になります。また、本方式を用いることにより、伝送品質の劣化を防止するための分散補償を、光受信器に搭載されたデジタル信号処理回路内で行いシステム構成自体を簡素化することで、長距離伝送における品質劣化などの影響を軽減しました。
2. シングルモード光ファイバー(ITU-T G.652準拠※4)の採用
長距離伝送や超高速伝送に適しているシングルモード光ファイバーで伝送路を構築することで、長距離伝送時に必要な中間地点での電気信号への再生中継が不要となり、従来は波長数分用意した中継装置を、1台の中継増幅器に置き換えることが可能となりました。再生中継がなくなることで、システムの信頼性向上に加えシステムの低コスト化を実現しました。
3. 最新誤り訂正技術の採用
光受信器内のデジタル信号処理において、誤り訂正技術FEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)をさらに高度化させたSD-FECを採用することで、長距離伝送における品質劣化を軽減し通信品質の向上を図りました。
今回のデジタルコヒーレント方式の採用による通信容量の拡張では、新たに光ケーブルの温度変化や物理的振動による偏波状態※5変動の影響に対処する必要があり、ソフトバンクテレコムでは、最新の偏波変動抑圧技術を用いて実際に敷設された光ケーブルでの検証を行い、実際に伝送路で起きている偏波変動のおよそ10~100倍程度の速度の変動を加えても、極めて安定的な伝送が行われることを確認しました。
今後もソフトバンクテレコムは、動画配信などの広帯域アプリケーションや、スマートフォンなどの急速な普及によって爆発的に増大するデータ通信需要に対応すべく、高品質で低コストの伝送技術を使ったインフラ構築を実現し、お客さまに高速かつ安定的な通信サービスを提供していきます。
- ※11波長あたりの運べる情報量を増やすための技術。従来の光パルスの有無によるデジタル信号の送信から、光の位相、偏波など、これまでに用いられてこなかった光の性質を用いることで、100Gbpsクラスの大容量の通信を実現した。
- ※2伝送距離の増大によって雑音などの影響が累積し、光ファイバー増幅器による増幅では正しく信号が伝送できない状況がある場合、DWDM信号を波長ごとの光信号に分離して、分離された各光信号を電気信号に変換し、電気信号の状態で信号再生を行うことで雑音などの影響を除去し、再生された各電気信号を光信号に再度変換し、DWDM信号を生成すること。
- ※3当社調べ。(2013年8月20日現在)
- ※4ITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)によって制定されているシングルモード光ファイバ(SMF)の標準規格。
- ※5ある方向に振動する光信号の性質。デジタルコヒーレント方式は、偏波状態が変動すると伝送特性に影響が及ぶ可能性があり、一方、光ファイバーを伝搬する光信号の偏波状態は、光ファイバーの環境温度やファイバーに加えられる振動などのさまざまな要因によって常時変化するため、このような偏波状態変動による伝送特性への影響を完全になくすために、最新の偏波変動抑圧技術を採用した。
従来の再生中継を用いた伝送方式

デジタルコヒーレント方式

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