日本テレコムホールディングス、2002年9月中間決算を発表

2002年11月12日

連結経常利益は前年同期の150億円から1,411億円に大幅拡大通期業績予想を上方修正

日本テレコムホールディングス株式会社(以下、日本テレコムホールディングス)(東証:9434)は本日、2002年度中間期(2002年4月1日~2002年9月30日)の連結および単独決算を発表しました。当中間期は連結、単独ともに予想を上回る高水準の業績を達成し、これに基づき、2002年度通期(2002年4月1日~2003年3月31日)の業績予想も上方修正しました。

当中間期は、移動体通信事業子会社のJ-フォン株式会社(以下、「J-フォン」)における売上増加、顧客獲得費用の低下、コスト節減に加えて、固定通信事業子会社の日本テレコム株式会社(以下、「日本テレコム」)における着実な収益の確保や、組織活性化のための諸施策による予想を上回るコスト節減の双方が業績改善に大きく寄与しました。

日本テレコムホールディングスのウィリアム・モロー社長は次のように述べています。「当中間期は、当初計画を上回るペースで事業効率の改善と競争力の強化が実現できました。組織再活性化への取り組みとコスト削減策は、期待した以上に収益改善に寄与しています。同時に通信市場における弊社ポジションの一層の強化を目指して参ります。当中間期で通期業績予想の上期達成目標を大きく上回る高水準の収益を達成したため、2002年度通期の業績目標をもう一段引き上げることにしました」。

連結決算の概要

(単位:10億円、1株当り中間利益/損失を除く)
  2002年9月中間期 2002年9月中間期 前年同期比(%)
売上高 884.8 849.7 +4.1%
経常利益 141.1 15.0 +836.3%
中間純利益(損失) 43.5 (5.1) nm
1株当り中間純利益(損失)(円) 13,621 (1,624) nm
EBITDAマージン(%) 30.4% 16.8% 13.6pp

2002年度中間期(2002年9月期)決算概要

連結売上高

連結ベースでの売上高は概ね当初計画通りで前年同期比4.1%増の8,848億円となりました。主に、J-フォンにおいてARPU(加入者当り月間平均収入)が比較的安定的に推移したことと、加入者の増加により売上を4.6%伸ばしたことが寄与しました。J-フォンはインターネット接続サービス「J-スカイ」や「写メール(画像添付メール)」、「ムービー写メール(動画添付メール)」の各サービスに対して引き続き強いご支持をいただく一方で、マーケティングおよび営業活動を一段と強化したことで、当中間期には769,000件の加入者数を増やしました。なお、総加入者シェアは前年同期の17.0%に対し、当中間期は18.0%でした。

連結売上高の内訳

(単位:10億円)
  2002年9月中間期 2001年9月中間期 前年同期比(%)
移動体通信事業 709.1 671.7 +5.6%
固定通信事業 199.0 196.9 +1.1%
その他 8.5 16.8 -49.4%
消去 (31.9) (35.7) -
連結売上高 884.8 849.7 +4.1%

J-フォンのダリル E.グリーン社長は次のように述べています。
「このような好決算は、弊社の製品サービスをお客さまからご支持いただいていることのあらわれだと認識しています。私たちJ-フォンはこれまで、日本市場において最も経営効率性の高い成長企業を目指して参りましたが、今回の業績がここまでの努力を実証しています。J-フォンは、合併によるシナジー効果と事業効率を一段と改善することで、引き続きお客さまの期待に応える、革新的な製品を提供する所存です」。

事業の概要 - 移動体通信事業

J-フォンにおける当中間期の事業概況は以下のとおりです。

  • モバイルカメラ付き携帯電話(以下、「写メール」対応機)が引き続き好調で、稼動台数は2001年度末の約440万台から2002年9月末時点には670万台まで増加しました。2002年9月末現在、「写メール」はJ-フォンの加入台数の約52%を占めるに至っています。
  • 「ムービー写メール」対応機の稼動台数も、サービス開始の2002年3月末時点の115,300台から当中間期末時点には766,000台まで増加しました。2002年9月末現在、「ムービー写メール」対応機はJ-フォンの加入台数の約6%を占めており、この比率は着実に上昇しています。
  • 「写メール」、「ムービー写メール」、「J‐スカイ」のインターネット接続サービス対応端末の高い人気を背景に、営業収入に対する非音声サービス収入の占める割合は9月には20.2%まで上昇しました。2002年9月末までで「J-スカイ」加入台数は総加入台数の85.2%を占めています。
  • ARPUは前年度期中平均の7,600円から今中間期には7,350円まで低下しましたが、ARPUに占めるデータ通信サービスの割合は同15.1%から19.5%まで高まっています。
  • 加入者の解約率は2002年3月期の2.14%から2002年9月中間期には1.94%まで改善しています。これは加入者の契約を継続させるためのCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)施策を積極的に展開したことと、加入者に魅力あるサービスを提供したことが寄与したと考えられます。
  • 加入者獲得費用は2002年3月期平均の40,000円から当中間期には36,000円に低下しました。これは、顧客獲得手数料を適正な金額に調整し、また、より効率的で効果的な端末調達システムを導入したことが寄与しました。
  • 購買システムを効率化することにより、設備投資原資を3G商用サービスの基盤整備に集中的に投下することが可能になりました。2002年12月の3G商用サービス開始に向けて、ネットワーク設備等の効率的な開発を進めています。

事業概要 - 固定通信事業

日本テレコムの売上高は概ね当初計画に沿って推移し、固定通信事業だけを取り出した調整ベースでは、前年度中間期の1,695億円を上回り1,742億円となりました。音声伝送売上は前年度を若干下回りましたが、データ伝送売上の収益が大幅に増加したことに加え、マネージドサービスが好調であったことが寄与しました。主な事業概況は以下の通りです。

  • 組織の再活性化と選択と集中を進めるために全社ベースで取り組んでいる経営改革プロジェクトVは競争力強化に向けて大きく前進を遂げました。通信設備使用料などの売上原価に加え、広範囲にわたり一般管理販売費が削減され、コスト構造を大きく改善しました。
  • 国内初のIP-VPN商用サービスであるSOLTERIAを中心としたデータ伝送サービス事業が前年同期比で36%の大幅な拡大となりました。当中間期においてはデータ伝送サービスが日本テレコムのサービス収入の24.5%を占めるまでに至っています。
  • さらに、ADSLネットワーク資産事業をeAccessに譲渡することで合意しました。これにより日本テレコムのODNサービス利用者のADSLへの移行が容易になりADSL事業単独でみても収益が改善しており、また、お客さまへの高速、高品質のサービス提供も可能となりました。
  • このほか、法人顧客に対し一連の通信サービスを一層深く浸透させるため、新たにIBMとの事業提携を実現させました。

連結費用

当中間期の連結営業費用は7,420億円と前期比で10.2%減少しました。移動体通信事業部門の営業費用は、主にJ-フォンが技術部門および管理部門の合理化を推進するなど全社的規模で合併効果を顕在化させたことにより、9.7%減の5,780億6千5百万円に縮小いたしました。J-フォンの1件当たり新規獲得費用を前年度通期平均比で10%削減しました。加えて、ボーダフォンのグループ力を背景に携帯電話端末やその他機器の調達コストの削減を実現しました。

固定通信事業部門の営業費用は、主に日本テレコムが全社的規模でプロジェクトVを積極的に推進し経営効率化を図った結果、14.1%減の1,864億円に低下しました。日本テレコムでは選択と集中を進め、ADSL事業においてeAccessとの協力体制を確立すると同時に、携帯電話の代理店事業と移動体通信情報処理関連サービス(料金請求やIT関連)の会社分割による分社化(2002年7月実施)を実施しました。加えて、日本テレコムエンジニアリングの3G基地局建設部門をボヴィス・レンドリース・コーポレーションに売却、さらに、日本テレコムクリエイト株式会社の印刷事業をトッパン・フォームズ株式会社に営業譲渡しました。

連結設備投資

当中間期の連結設備投資額は前年同期を25.7%下回る1,928億円にとどまりました。当社はJ-フォンの3Gネットワークの展開に合わせて、2002年度下期には設備投資を一段と加速させる予定です。J-フォンでは3Gにおける最新の技術を活用し革新的なネットワーク構築を図り、2003年9月までには現在の2Gに相当するカバー率を達成する計画です。

連結利益

当中間期は、売上増に加えコストの大幅な削減が実現したことにより、連結経常利益は前年同期比8倍強増の1,411億2百万円と大幅に改善しました。連結ベースのEBITDAマージンは前期に比べ13.6ポイント改善し、当中間期は30.4%となりました。当中間期の連結中間純利益は435億2千4百万円となりました。

連結ベースのEBITDAマージンは2001年度から13.6%ポイント改善し、当中間期は30.4%、子会社別では、J-フォンが30.7%、日本テレコムは25.5%でした。

単独決算

日本テレコムホールディングスでも予想を上回る売上高、経常利益および純利益を達成しました。当中間期の単独売上高は1,442億円、経常利益は95億円、純利益は95億円でした。

2002年度通期業績予想

日本テレコムホールディングスは、中間決算が高水準で推移したこととJ-フォンの合併シナジーによる継続的なコスト節減効果が実現していることを背景に、2002年度の通期業績予想を上方修正しました。その結果、2002年度通期業績予想は、連結ベースで、売上高1.77兆円は据え置く一方、経常利益は2,450億円、純利益は650億円に引き上げました。また、単独ベースの業績予想についても、売上高1,470億円、経常利益95億円、純利益115億円に修正いたしました。

なお、当中間期においては、1株あたり中間配当金を600円とし、さらに年間配当金を1,200円に引き上げる予定です。

修正後連結業績予想

(単位:10億円)
  今回修正値(11月12日) 前回発表値(5月28日)
売上高 1,770.0 1,770.0
経常利益 245.0 183.0
純利益 65.0 48.0

修正後単独業績予想

(単位:10億円)
  今回修正値(11月12日) 前回発表値(8月9日)
売上高 147.0 155.0
経常利益 9.5 8.0
純利益 11.5 10.0

中間決算: 連結損益計算書概要

(単位:10億円)
  2002年9月期 2001年9月期
売上高 884,882 849,751
営業費用 742,068 742,068
営業利益 142,757 23,459
営業外収益 3,972 3,727
営業外費用 5,627 12,117
経常利益 141,102 15,069
特別利益 395 18,876
特別損失 5,859 2,639
税引前純利益 135,638 31,305
当期純利益(損失) 43,524 (5,189)
EBITDA 269,265 142,497
EBITDA マージン (%) 30.4% 16.8%

中間決算: 連結貸借対照表概要

(単位:100万円)
  2002年9月期 2002年3月期
資産の部    
固定資産 1,512,619 1,541,188
投資等 91,289 89,168
流動資産 274,857 314,963
資産合計 1,787,567 1,856,335
負債の部    
固定負債 276,216 365,244
うち長期借入金 45,559 109,857
流動負債 1,007,158 1,067,650
うち長期借入金 731,958 726,797
負債合計 1,283,375 1,432,894
少数株主持分 71,260 32,043
資本の部 432,932 391,397
負債・資本合計 1,787,567 1,856,335

日本テレコムホールディングス株式会社について

日本テレコムグループは、2002年8月1日付けで新たに持ち株会社制度を導入、社名を日本テレコムから日本テレコムホールディングスに変更し、固定通信、移動体通信、その他の事業をそれぞれ子会社として組織を再編しました。日本テレコムホールディングスは、日本テレコムグループの連結決算子会社を統括するほか、子会社間のシナジー(相乗効果)の実現と事業効率の促進に注力しています。

J-フォン株式会社について

J-フォンは、日本をリードする移動体通信事業者の一つであり、世界最大の移動体通信事業グループ、ボーダフォングループPlcの一員です。J-フォンは質の高い音声通信サービスに加え、「写メール」(写真伝送メール)、「ムービー写メール」(ビデオ伝送メール)、「J-スカイ」(インターネットおよびeメール)、Java[™]アプリケーションなど最先端の移動体通信サービスを提供しています。2002年10月1日現在、J-フォンの加入者総数は1,300万を超えており、このうち85%以上が「J-スカイ」に加入しています。J-フォンは日本で第三世代携帯電話(3G)の事業免許を取得している通信事業者3社のうちの1つであり、現在、3G W-CDMAネットワーク・サービスを展開して業界をリードしています。

日本テレコム株式会社について

日本テレコムは、1986年に長距離通信サービス提供事業者としてスタートしました。日本国内全域に約10,000キロメートルにおよぶ光ファイバー・ネットワークを敷設し、音声およびデータ通信サービスを加入者に提供しています。1997年に日本国際通信株式会社と合併し、国内および国際音声通信サービスの両方を提供する日本で最初の通信事業者となりましました。1998年には日本で最初の全国規模IP(インターネット・プロトコル)ネットワーク構想を発表しました。そして、2000年には日本で最初の光スイッチを使ったギガビット級ネットワークを構築し、2002年には世界で初めてMPLSを使ったIXネットワークサービスを開始しました。旧日本テレコムである固定通信事業は、新たに設立された日本テレコムホールディングスの全額出資子会社である日本テレコム株式会社に移管されました。

当中間期の単独業績について

なお、本年8月1日付けに持株会社制度を導入、これに伴い、当中間期の単独業績に含まれているのは、ジャパン・システム・ソリューションおよびテレコム・エクスプレスの業績3カ月分、日本テレコム(固定事業)の業績4カ月分、日本テレコムホールディングスの業績2カ月分です。

Forward-Looking Statements

This press release contains certain forward-looking statements concerning the operations and strategy of JAPAN TELECOM HOLDINGS (references to which in this disclaimer shall include, as appropriate, JAPAN TELECOM) and its expectations concerning its financial and operating results, in particular its fiscal 2002 performance forecasts (including consolidated operating revenue, ordinary profit and net profit and non-consolidated operating revenue, ordinary profit and net profit), as well as expectations for trends in the Japanese fixed-line and wireless telecommunications markets. This press release also contains certain forward-looking statements concerning J-PHONE's operations and strategy and its expectations concerning its financial and operating results, in particular its expectations for the launch of full commercial 3G services and 3G area coverage. By their nature, forward-looking statements are inherently predictive, speculative and involve risk and uncertainty because they relate to events and depend on circumstances that will occur in the future.

There are a number of factors that could cause actual results and developments to differ materially from those expressed or implied by these forward-looking statements. These factors include, but are not limited to: changes in economic conditions that would adversely affect demand for JAPAN TELECOM HOLDINGS's and J-PHONE's services; greater than anticipated competitive activity; slower customer growth or reduced customer retention; the impact on capital spending from investment in network capacity and the deployment of new technologies, including 3G technology; the possibility that technologies will not perform according to expectations or that vendors' performances will not meet JAPAN TELECOM HOLDINGS's or J-PHONE's requirements; changes in projected growth rates in the telecommunications industry; the accuracy of and any changes in JAPAN TELECOM HOLDINGS's and J-PHONE's projected revenue models; future revenue contributions of data services offered by JAPAN TELECOM or J-PHONE; JAPAN TELECOM HOLDINGS's and J-PHONE's ability to successfully introduce new services, in particular 3G services, and the delivery and performance of key products; the success of JAPAN TELECOM HOLDINGS in achieving disposals of non-core assets, changes in the regulatory framework in which JAPAN TELECOM HOLDINGS and J-PHONE operate; and the impact of legal or other proceedings involving JAPAN TELECOM HOLDINGS or J-PHONE or other companies in the telecommunications industry.

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