ボーダフォンホールディングス、2004年度3月期決算を発表

2004年5月25日

ボーダフォンホールディングス株式会社(以下、ボーダフォンホールディングス)(東証:9434)は本日、2003年度(2003年4月1日~2004年3月31日)の決算を発表しました。当期の連結決算は、ボーダフォン株式会社(以下、ボーダフォン(株))を取巻く市場環境の競争が激化し、自社のサービス強化のための費用が増加した結果、2004年1月28日に下方修正した会社業績予想に概ね沿うものとなりました。

固定通信事業会社日本テレコム株式会社(以下、日本テレコム)の株式を2003年11月14日に売却したことに伴い、10月1日に遡って日本テレコム他5社を連結対象から除外したため、連結売上高・利益とも前期に比べ減少しております。当期の連結売上高は固定通信事業が下期業績から対象外となったため、前期比7.9%減少の16,557億円※1となりました。連結経常利益はボーダフォン(株)の営業・マーケティング関連費用、及び減価償却費用が増加したため33.3%減少して1,812億円となり、連結当期損益は主に日本テレコム等の株式売却損を計上したため1,000億円の損失となりました。

ボーダフォンホールディングス及びボーダフォンの社長であるダリルE.グリーンは、次のように述べています。

「2003年度の携帯電話市場は、競合他社が競争力のあるサービスを提供し、3Gへの移行を加速させていくなど、ますます競争が激化してボーダフォンにとって厳しい試練の1年となりました。そのような状況においても、ボーダフォンはマーケットシェア18%台を維持することができました。この1年間、ボーダフォンは3Gのサービスエリアを飛躍的に向上させ、人口カバー率は99%を達成しました。今後は、屋内スポットの充実に注力していきます。また、北海道、東北・新潟、関東・甲信および北陸地域の4ヶ所に分散していたカスタマーサービスセンターを統合して東日本カスタマーサービスセンターを設立し、経営の効率化にも成功しました。現在、ボーダフォンが直面している課題に取り組むために、次のような計画を実行しています。まず、ボーダフォングループのスケールメリットを生かして、より効率的に競争していくために、ローカルとグローバルのシナジー効果を最大限に発揮する3G端末を2004年末までに導入します。さらに、マーケティングアプローチを最適化し、人材やビジネスプロセス、各種システムを開発することによって、長期的な成長のための基盤を構築していきます。これらの計画によって、ボーダフォンは競争力を強化していくと確信しています。」

連結概要

(単位:10億円、1株当り中間利益/損失を除く)
  2004年3月期 2003年3月期 前年同期比(%)
売上高 1,655.7 1,796.9 (7.9%)
経常利益 181.2 271.9 (33.3%)
中間純利益(損失) (100.0) 79.5  
1株当り中間純利益(損失)(円) (¥31,310) ¥24,856  

連結売上高内訳

(単位:10億円)
  2004年3月期 2003年3月期 前年同期比(%)
移動体通信事業※2 1,508.8 1,460.4 (3.3%)
固定通信事業※3 175.1 384.9 (54.5%)
その他の事業 - 16.3 -
消去 (28.2) (64.6) -
連結売上高 1,655.7 1,796.9 (7.9%)
[注]
  1. ※1
    特に注記のない限り、文中の数値は単位未満を四捨五入で表示
  2. ※2
    ボーダフォンを含む移動体通信事業子会社の連結売上高
  3. ※3
    日本テレコムを含む固定通信事業子会社の連結売上高

事業の概要-移動体通信事業

2003年度は、競合他社が競争力のあるサービス及び料金プランを積極的に市場導入したことにより、ボーダフォンのマーケットシェアは、2004年3月末時点で18.4%となり、前年3月末の18.5%を僅かに下回りました。

ボーダフォンの売上高は、前年同期比3.3%増加の15,091億円になりました。このうち、電気通信事業収入は4.3%増加の12,064億円となりました。ARPUに占める非音声通信サービスの当期平均割合は前期比1.7ポイント上昇の22.0%となりました。3Gサービスの展開拡大による減価償却費の増加、一部端末に係る評価損の計上、顧客維持費用の増加、及び3Gネットワーク運営関連費用の増加のため、経常利益は前期比24.1%減少の1,818億円となりました。

ボーダフォンの2003年度のハイライトは以下のとおりです。

  • 2003年度の純増台数は、マーケットシェアで17.7%、103万9千台となりました。
  • 写メール(含、ムービー写メール)」対応端末は引き続き需要が高く、2003年3月末の累計加入台数は全加入台数の79.0%に相当する1,186万台となりました。「ムービー写メール」対応端末は、2004年3月に300万台を突破し、全加入台数に占める対応台数は20.1%になりました。
  • 2004年3月末のプリペイド顧客は、ボーダフォン(株)の総契約数の約9%となりました。
  • ボーダフォン(株)は2003年度も引き続き革新的な携帯端末を販売しました。
    • 2003年5月、世界初の有効画素数100万画素のメガピクセルモバイルカメラを搭載した携帯電話機「J-SH53」を、また、12月にはオートフォーカス対応の2メガピクセルカメラを搭載した「V601SH」を発売しました。
    • 2003年12月、日本初、地上アナログテレビチューナー搭載の携帯電話機「V601N」を発売しました。
    • 2003年12月、「ボーダフォンライブ!」を3Gでも開始しました。これにより、海外でも「写メール」、「ムービー写メール」、及びコンテンツ閲覧が国内と同じように可能となりました。本サービスに対応した新機種「V801SA」を2003年12月に、「V801SH」を2004年4月に発売しました。
    • 2004年2月、産業用機器や業務用機器等のメーカー向けに、遠隔制御や状態監視をはじめとするメーカーの要望に対応した携帯電話の通信機能部分をモジュール化した「VRM301R」を発売しました。
    • 2004年2月、ノートパソコンやPDAなどの情報機器に装着することで外出先でも高速データ通信が可能な3Gデータ通信カード「VC701SI」を発表しました。
  • ボーダフォンは、引き続きお客さまの満足度を更に向上させるよう取り組みました。
    • 2003年4月、北海道・東北・関東・北陸の東日本4地域に分散していたカスタマーサービス関連機能を1箇所に統合した東日本カスタマーサービスセンターを設置し、業務効率化と顧客サービスレベルの向上を図りました。
    • 競争力向上のため、2003年10月に顧客維持施策を実施しました。新料金割引プランの導入、顧客維持費用の積み増し、魅力的な端末の発売の結果、月間平均解約率が前年度より0.03ポイント改善し、1.91%となりました。
    • 2003年10月のブランド移行に伴い、J-フォンショップをボーダフォンショップに改装し、お客さまの視点に立った快適な店内環境を整えました。また、ボーダフォンブランドのイメージを強化すべく、フラッグシップショップ(旗艦店)の「ボーダフォン渋谷」および「ボーダフォン名古屋」を2004年3月に開設しました。
    • 2003年11月に法人顧客にとって使いやすいモバイルインターネット環境を提供するため、企業の提供する特定の業務用コンテンツ(特定URL)へのWebパケット通信料を定額料金にするサービス「ボーダフォン・ビズアクセス」を開始しました。
    • 迷惑メール対策に関しては、2003年12月に送信件数の制限機能を導入し、2004年3月には、この機能を3Gネットワークにも適用いたしました。さらに迷惑メールの情報を収集するために、2004年2月にEメールでの迷惑メール申告窓口を設置いたしました。
    • インターネット接続サービス「ボーダフォンライブ!」は引き続きお客さまからご好評を博し、「ボーダフォンライブ!」対応端末台数は、2004年3月末で全加入者の86.4%となりました。2003年12月に開始した3Gにおける「ボーダフォンライブ!」は更に高速なアクセススピードと「着うたR」等の更に充実したコンテンツを提供しています。
    • 3Gのサービスエリアについては、経済的な小型基地局の導入等、屋内外におけるサービス提供エリアの拡充を図り、2004年3月末の国内人口カバー率で99.5%を達成し、3G基地局数は約13,500局となりました。2004年3月末には、海外85の国及び地域、122の事業者のネットワークで利用が可能となり、日本人渡航先の約98%をカバーするに至りました。
  • ボーダフォンは端末リサイクルの新しい計画を2003年4月に開始し、CSR(企業の社会的責任)活動を強化しました。このリサイクルで得た収益を、財団法人日本ユニセフ協会へ全額寄付しており、2003年度は合計で2,000万円を寄付しました。さらに、環境に対する意識を高め、また、携帯電話を利用した教育の推進を図るために、「モバイル・エコ・スクールアワード」を2003年7月に開始しました。昨年は、全国の高校生43チームが参加して、自然、環境、科学をテーマに関する研究に取り組みました。
  • 引き続き競争の激化するなか、プリペイド顧客の増加、新料金プランの影響及び一部の高ARPU顧客の解約により、2003年度のARPUは、前期比7.3%減少の6,730円になりました。ARPUの減少傾向は当初から予想された通りですが、非音声通信サービスARPUは安定推移しており、音声サービスの減少を一部相殺しています。ボーダフォンの当期の非音声通信サービスの全通話料収入に占める割合は、22.0%となりました。
  • 2003年度の顧客獲得費用は、販売手数料の削減やプリペイドサービスの販売比率の増加によって、前年平均37,600円から32,500円に低下しました。
  • EBITDAは、一部端末に係る評価損の計上、顧客維持費用、及び3Gネットワーク運営関連費用の増加により、前期比4.7%減少の4,180億円となりました。利益率の低下は、顧客増加ペースの鈍化とプリペイド顧客の増加に伴う顧客獲得費用の減少、及びカスタマーセンター統合等による効率化により緩和されました。EBITDAマージンは前期比2.3ポイント下落し27.7%でしたが、これは予想の範囲内の減少でした。

財務の概要

連結費用

ボーダフォンホールディングスの連結営業費用は前期より507億円減少の14,706億円となりました。日本テレコムの業績は上期のみの連結対象であり、この影響による連結営業費用の減少は1,574億円となります。ボーダフォンにおいては、営業費用は前期比1,086億円増の13,259億円となりました。これは、3Gサービスの展開拡大による減価償却費の増加、一部端末に係る評価損の計上、顧客維持費用、及び3Gネットワーク運営関連費用の増加によるものです。これら費用の増加は、新規顧客獲得数の減少による新規獲得費用の減少、東日本地域のカスタマーサービスセンターの統合等による費用削減により、一部相殺されています。

連結営業利益は前期比906億円減少の1,850億円となりました。

連結設備投資

ボーダフォンホールディングスの連結設備投資は、計上ベースでは前期比262億円減少の2,531億円、キャッシュフロー計算書ベースでは前期比1,071億円減少の2,486億円となりました。

ボーダフォンの当期の設備投資は、計上ベースでは前期比0.9%減の2,608億円、キャッシュフロー計算書ベースでは2,529億円となりました。ボーダフォンは、ボーダフォングループのグローバルなスケールメリットを生かし、3Gネットワークの充実にいたっては設備の共同購入を有効活用し、3Gの累計基地局数は約13,500局、人口カバー率は99.5%を達成しました。

2004年度3月期の連結決算見通し

2004年度の連結売上高は1兆5,310億円、連結経常利益は1,270億円、連結当期利益1,100億円を予想しております。2003年度の連結決算には日本テレコムの上期の業績が含まれているため、2004年度の連結売上高・連結経常利益は、前年度に対して大幅な減少が予想されます。なお、2004年度決算について、2003年度決算から日本テレコム等固定通信事業を除外したプロフォーマベースで比較すると、移動体通信事業の売上高は前年度に対してやや増加、営業費用は3Gサービスへの移行費用の増加およびPDC並びにW-CDMA方式の2つのネットワークを運用することに関連する費用の増加が見込まれます。そのため、利益率については2003年度下期の水準から短期的に回復することは困難と判断しています。

ボーダフォンは現在、サービスの主軸を2Gから3Gへ移行させている段階です。2006年にはナンバーポータビリティの導入が予定されており、さらに市場競争が激化する様相を呈しているなか、ボーダフォンは競争力回復のため、様々な分野で幅広く対応策を実施し始めております。地下鉄やビル内等の3Gネットワークの充実を図るとともに、2004年内に、より多岐にわたる魅力的な携帯端末を発売することで、3Gのサービス向上を図ってまいります。

商品ラインナップの更なる拡充、お客さまへのサービスの質の向上を図ることを目指したより効率的な販売網の構築、法人市場におけるシェアの拡大、そしてボーダフォングループのグローバルな調達力の活用と全ての業務プロセスの見直しによるコスト構造の改善を、本年度ならびにその後を見据えたボーダフォンの競争力を向上させる重要戦略として位置付けております。

2005年3月期連結業績予想

(単位:10億円)
  2005年3月期予想
売上高 1,531
経常利益 127
当期利益 110
[注]
  • 財務概要別添

連結損益計算書および連結貸借対照表概要 *1

(単位:百万円)
  2004年3月期 2003年3月期
売上高 1,655,651 1,796,915
営業費用 1,470,606 1,521,309
営業利益 185,045 275,606
営業外収益 3,678 5,840
営業外費用 7,515 9,577
経常利益 181,208 271,869
特別利益 9,948 1,564
特別損失 156,539 15,105
税金等調整前純利益(損失△) 34,617 258,328
当期純利益(損失△) △ 100,042 79,502
EBITDA 460,048 544,180
EBITDA マージン(%) 27.8% 30.3%
(単位:百万円)
  2004年3月期 2003年3月期
資産の部    
固定資産 1,130,494 1,524,661
流動資産 297,673 315,159
資産合計 1,428,167 1,839,821
負債の部    
固定負債 216,940 260,437
流動負債 685,329 1,006,914
負債合計 902,269 1,267,352
少数株主持分 164,359 106,432
資本の部 361,539 466,036
負債・資本合計 1,428,167 1,839,821
[注]
  • ※1
    表中の金額は単位未満を切捨てで表示

ボーダフォンホールディングス株式会社について

ボーダフォンホールディングス株式会社(旧・日本テレコムホールディングス株式会社)は、移動体通信事業子会社であるボーダフォン株式会社の45.1%の株式を保有しています。ボーダフォンホールディングスは、東京証券取引所及び大阪証券取引所に上場しており、ボーダフォングループPlcが66.7%の株式を保有しております。ボーダフォンの株式以外でボーダフォンホールディングスが所有する主な資産は株式会社ジャパン・システム・ソリューション及び株式会社テレコム・エクスプレスの株式の100%であります。

ボーダフォン株式会社について

ボーダフォン株式会社(旧・J-フォン株式会社)は、1,500万人以上の加入者を持つ、日本をリードする携帯電話会社の一つであるとともに、世界最大のモバイルコミュニティ「ボーダフォングループ」の一員です。ボーダフォンは、音声サービスはもちろん、Eメールやインターネット接続ができる「ボーダフォンライブ!」など、幅広い高品質な携帯電話サービスを提供しています。現在では、加入者の86%が「ボーダフォンライブ!」対応機を利用しております。2000年11月にはモバイルカメラ付き携帯電話を他社に先駆けて導入し、撮影した画像をメールに添付して送受信できる「写メール」を開始しましたが、現在では1,100万人以上の加入者が「写メール」対応機を利用しています。2002年12月、世界で初めて3GPP世界標準に準拠したW-CDMA方式の3Gサービスを開始し、日本での高速データ通信サービスと、2004年4月19日時点で93の国と地域、127の事業者で国際ローミングサービスを提供しています。