2019年3月期 投資家向け説明会 主な質疑応答

日時 2019年5月8日(水)午後6時~7時
登壇者 取締役専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦、執行役員財務経理本部本部長 内藤 隆志、財務戦略本部本部長 廣野 公一
  • ドコモ新料金プラン、および電気通信事業法改正にどのように対応していくのか。

    当社としてただちに反応する必要はなく、競争環境を見ながら適宜対応していく。今回発表した「SoftBank」の「スマホデビュープラン」にはじまり、さらなるスマホ化を推進することで「一億総スマホ」(全国民がスマホを1台所有する世界に、という当社スローガン)を目指す。また、「Y!mobile」では上期中に端末と通信サービス料金の分離プラン発表を予定している。今後も、市場環境の変化をとらえた新プラン展開を実施し、事業全体として成長することで、お約束した利益目標と一株当たり85円の配当を達成、株主還元していく。

  • ヤフー株式会社(以下、ヤフー)を連結子会社化した後の5年間のキャッシュ・フロー見通し、および配当方針を教えてほしい。「配当の継続、拡大を目指す」という方針はすなわち「減配しない」ということだと認識するが、ヤフー連結後も方針は変わらないか。

    ヤフー連結後も配当方針は変わらない。ヤフーそのものの個別の配当方針については当社が回答する立場にないが、ヤフーの純利益約800億円のうち約45%が連結されることになる(純利益は配当額に影響)。ヤフーの配当性向が相対的に低いため、当社全体で85%程度の配当性向を維持すると、当社単体目線で配当支出が増加するようにうつるだろう。ただし、ヤフー連結子会社化にはそれを上回るシナジー創出、価値があると考えている。当社の調整後FCFは2018年3月期5,080億円程度、2019年3月期5,131億円と安定的に推移し、2020年3月期見通しも5,200億円と掲げている。純利益が増益する中で、調整後FCFも一定の増加を期待できると想定している。

  • 「毎年配当を維持・拡大」は前回にはない新しいメッセージだと思うが、減配しないという方針を示された、との理解でよいか。

    基本的にはそのように理解いただきたい。前回の2019年3月期第3四半期決算説明会における宮内の説明の補足になる。

  • 楽天参入や、「Y!mobile」における端末分離プランの導入を控えているが、コンシューマ事業のARPU、モバイル契約数の獲得における販促費の今後の見通しについて教えてほしい。

    ARPUは2019年3月期第3四半期において、前年同期との対比において底打、反転が始まり、2020年3月期の第1四半期、第2四半期に向けて底堅い。販促費が第4四半期において多く見えると思うが、ブロードバンドの販売手数料につき、前払いしていたものを一括で費用計上する契約変更を実施しており、ワンタイムで約170億円計上した。

  • 5Gへのアップグレード方針について教えてほしい。4月の周波数免許取得時の発表では他社比較で基地局開設計画数が少なかったが、現在4Gで使用している3.5GHzや3.4GHz等のTD-LTEの周波数の5Gへのアップグレードを既存の周波数を活用しながらスピード重視で行う方針か。

    基地局開設計画数は既存周波数帯の環境が整い次第活用していくことを前提にしている認識だ。新たに頂いた周波数でも計画値を下限とし、しっかりと投資をしていきたい。カバレッジ90%という数字だけではなく、局所においても利用が集中するような地域でも、確実に5G利用ができる環境を構築していきたい。

  • ソフトバンクグループ株式会社からの出資後においても、PayPay株式会社(以下、PayPay)は持分法適用対象になると思うが、税引前利益の計画値前提にはどのくらいの損失が織り込まれているか。

    数字は非開示だが、一定の成長、事業強化をする前提で織り込んでいる。

  • ヤフー連結子会社化によるシナジー効果を教えてほしい。

    過去、当社はモバイル通信サービス契約者を獲得するために、ヤフーはeコマースの利用ユーザーを獲得するために、相互に送客をし合う形で施策を設計し実施してきた。このように、当社は通信領域、ヤフーはインターネット領域という専門領域があり、役割分担がはっきりした状態で、互いの立場を尊重しながら協業してきた経緯がある。ところが、今後大きな市場成長を見込むFintech関連の新規事業開発を進める中で、さまざまなステークホルダーを巻き込む必要があり、各社が独自に推進する状況になりつつあった。その意味で、連結後はFintech分野にはじまるさまざまな新規領域においても、以前よりもさらに互いに補完し合う強力な関係を構築できるだろう。また、連結子会社となればヤフーとの協業により生まれるシナジーをすべて当社の業績に取り込めるため、さらに積極的にリソースを配分することが可能となる。具体的には、当社は通信技術者数が多い一方でソフトウエアの技術者が比較的に少なく、3,000人超の優秀なエンジニアを持つヤフーからの支援は大変強力で、当社にとって大きなリターンが見込める。また、当社の強みである営業面からヤフーを今までに以上に積極的に支援できることで、ヤフー独自の取り組みをより強力に推進できるだろう。その結果を今後お見せしていきたい。そのほかにも、集中購買、共同購買等で、子会社にのみ適用できコストメリットが生まれる条件もある。こちらは今後の課題として取り組んでいきたい。

  • ヤフーを含まないソフトバンク連結における2020年3月期見通しが200から300億円の増収増益となっているが、セグメント別の成長ドライバー内訳を教えてほしい。

    2019年3月期において、全セグメントで増収増益した。2020年3月期も同様に、それぞれの事業において、競争環境をみながら成長を目指していく。

  • ヤフー連結子会社化は、ソフトバンク単体のどの事業に業績的影響を与えるか。

    2020年3月期通期業績見通しにおけるヤフーとのシナジー影響はあくまでアップサイドであり、その影響の有無によって計画を達成できないということはない。連結営業利益で1兆円を目指すという発表をしたが、現状とのギャップはこのアップサイドの影響によって埋めていく決意である。ヤフーはユニバーサルなサービスであり、ヤフーのサービスが強ければ強いほど、当社とのシナジーの効果がより強力になると考える。

  • ヤフーを100%連結子会社にしなかった理由は。

    全株式を購入すると1兆円を超える案件になること、新たに株式発行となるとプレミアム、希薄化の話が加わりスキームが複雑になることや、当社はまだ上場直後であること、また、ブランドライセンス上の問題があること、これらを考慮すると、100%取得は現実的な選択肢ではない。

  • 「SoftBank」から「Y!mobile」への移行が、逆の移行を超過したとあったが、何が理由か。

    ブランド間での双方向移行が均衡してきているが、今後もこのアップグレードトレンドが継続するという話ではない。店頭ではグループ外への流出を防ぐため、それぞれのショップで、さまざまな取り組みを行っている。

  • RPAを使って人員配置を進めるという話があったが進捗はどうか。

    1万7千人規模の社員を既存の通信領域を効率化することによる新領域への移行を着実に進めている。

  • 決算説明会において宮内社長より「3年から5年以内に営業利益を1兆円にする」というコメントがあったが、2020年3月期が1年目という理解でよいか。現状のソフトバンクのセグメントとヤフーの切り分けで、それぞれどのくらい伸びていくか、また、その中でもどこが特に大きく伸びていくと想定しているか。

    その理解で正しい。ヤフーは2024年3月期に2,250億円まで増やすということを表明しているが、これが5年目に相当する。当社のコンシューマセグメントは競争環境、規制環境等の変化が激しいこともあり慎重な見方もある一方で、法人セグメントの伸びは足元の実績においてもポテンシャルが大きいと日に日に実感している。特に法人における5G、IoT関連のビジネスは、今後大きな成長を期待できるだろう。内訳の開示は控える。

  • 今回のPayPayの増資の中で、ソフトバンクとヤフーもそれぞれ追加出資をしているか。

    ソフトバンクグループ株式会社のみ追加出資している。