2021年3月期 第1四半期 決算説明会 主な質疑応答

日時 2020年8月4日(火)午後4時00分~午後5時20分
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮内 謙
ソフトバンク株式会社 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 榛葉 淳
ソフトバンク株式会社 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 今井 康之
ソフトバンク株式会社 代表取締役 副社長執行役員 兼 CTO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • 営業利益の進捗率について、昨年同様3割を超えており、コロナ影響の中で順調に推移しているように見えるが、想定どおりか。端末関連販売費用について120億円あるが、Q2以降どう推移するか。

    Q1の端末出荷数は16万減った。コンシューマは、4~5月は緊急事態宣言に伴い、販売員を半分にする等抑えて対応したため減った。ただ法人が伸びたことにより、トータルでは16万の減少となった。下期にかけては数が伸びていくと考えている。コロナ禍の状況ではあるが、6月末、7月くらいからは通常の営業が可能となり、数字が戻ってきている。この形がキープできれば、年間9,200億円の営業利益は達成できると考えている。端末関連販売費用については、昨年度において引当金の戻しの影響があったが、Q2以降はその影響がなくなる。進捗については、強含みだが順調であり、問題ない数値だと考えている。

  • 持分法による投資で前年同期の売却益54億円、当期の持分法投資損益36億円は具体的には何か。Q2以降は発生するのかどうか。

    昨年は株式売却と評価の関係で、大きな案件があったが、一時的な影響であり、今年はそういうことはない。36億円はPayPay株式会社が一番大きいが、赤字がピークアウトに向かっているので、前年度ほどの拡大はしない。

  • 先日自民党で中国発アプリの規制を検討する話があったが、「DiDi」に問題はないか。

    問題ないと思う。DiDiモビリティジャパン株式会社は、サーバーなど全て国内で管理している。データが漏れるようなことはないように管理しており、今のところ使えなくなるという話はない。

  • ヤフー株式会社を傘下にもつZホールディングス株式会社(以下「ZHD」)とLINE株式会社の統合に関して、将来的にブランドをどうするか、なくすことはあるか。

    ヤフーは日本ではブランド力を持っているが、私からお答えすることではなく、統合する会社の出澤社長や川邉社長でディスカッションすべきと考えている。

  • Q1が増収増益と好調だったが、特にフリー・キャッシュ・フローが49%増加している。この要因を教えてほしい。

    コロナ禍は簡単には収束しないと予想していたため、手元現金を増やすためいろいろと活動していた。一番大きな要因は債権の流動化と現金化を促進したこと。当社の調整後フリー・キャッシュ・フローはコベナンツとの関係もあるため、割賦債権の流動化を含めて計上している。FY19Q4決算ではバランスシートの改善を意識し、流動化取引を抑制していたこともあり、若干リバウンドし実力値よりも高く出た。在庫圧縮やコスト削減などの改善の取り組み、子会社を含めての活動の成果もあったと考えている。

  • 22年度に営業利益1兆円の目標だが、LINE株式会社との統合も織り込んでいるのか。その場合、LINE株式会社は赤字だが。

    織り込んでいない。われわれとしては一緒になってZHDも数字が良くなってきているように、グループシナジーを上げていけば、数字はアドオンできると考えている。

  • 「PayPay」がスーパーアプリ、プラットフォームと考えるなら、「LINE」の位置づけはどう考えるか。

    現時点での回答は難しい。詳細はもう少し後にお話しさせていただきたい。「LINE」はすでに8,000万ユーザーをもっている、もはやスーパーアプリ。どう生かしていくかは川邉社長たちの力量にかかっている。

  • 現状の5Gについて契約数は目標どおりか。2023年度で5Gスマートフォンの割合は6割を目指すとの説明だが、新規販売分ではなくスマートフォン累計契約者数の6割が5Gになるという理解でよいか、また達成に何か秘策はあるか。

    6割というのは、全スマートフォン累計契約者数に占める割合を指す。一斉に5Gに変わっていくと考えている。ネットワークが2021年度末までの約2年間で人口カバレッジ90%になり、どこでも5Gが使用できるようになり、確実に移行していくと思っている。5G端末についての販売数は計画どおり。本格的に動き出すのは、今年度後半以降だと思っている。GoogleやiPhoneもいずれは5G端末が出てくると思うので、本格的な動きが始まってくる。そのためにはわれわれも5Gネットワークをいち早く作っていかなければいけないと考えている。

  • 5G端末の販売は計画通どおりとのことだが、コロナ影響は受けていないか。

    元々の計画でも、5Gスタート当初から多く売れるとは見込んでいなかったので、大きな影響は受けていない。全体的には、特に5月に営業活動を縮小し若干の影響はあったが、トータル的にはほぼ予測に近い形になっている。今後リリースするスマートフォンは全て5G対応であり、下期にかけてラインナップを投入する予定なので、さらに加速していくと考えている。

  • 端末に関して、出荷数が16万減少とのことだが、他キャリアの減少数と比較するとかなり少ないと思うが、その要因は何か。他社だと販売数の減少によりコストも減ったことで増益になっているようだが、ソフトバンク株式会社のコンシューマ事業が減益になっている理由は。

    ソフトバンクブランドやワイモバイルブランドのデビュープランも堅調だった。ショップの時間短縮や予約制などにした一方で、デジタルシフトが進み、コンシューマも昨年に比べて減少したが、堅調だったと判断している。法人は端末在庫がなくなるほどの状況になったが、コンシューマとトータルで昨年比8%減。6月からは回復しており、7月以降も順調に新しい端末が出てくるので、やっていけると考えている。端末の減益には引当金の一時的な影響も含まれている。

  • 米国において、華為技術(以下「ファーウェイ」)など中国企業5社の製品を扱う企業と米政府の取引を禁じる規制が始まると思うが、これに関連して御社の場合、ファーウェイなどの通信機器を基地局に一部採用されていて、欧州製品への切り替えを進めていると思うが、このあたりの進捗はどうか。また、ファーウェイやZTEのスマートフォンも採用されているが、今秋以降に端末を増やす中で、新機種採用への影響についても教えてほしい。

    通信機器については、5Gは完全にノキアとエリクソンを採用している。4Gでは一部使用しているが、コアについては順次切り替えている。政府や総務省のガイドラインに則って、話し合いをしているので、通信機器について問題はないと考えている。スマートフォンについては、総務省の方とも話しているが、現段階ではファーウェイのスマートフォンの取り扱いを停止せよというガイドラインにはなっていない。新しいファーウェイ端末の取り扱いについては、政府とも話し合いをしながら、どうすべきかを決めていこうと思っている段階。

  • 働き方について、リモートワークが進んでいると思うが、新社屋の計画への影響や変更などはあるか。

    特に変更はない。リモートワークを推進し、もっとたくさんのグループ企業も入れるのではないかと考えている。現状、リモートワーク中心で、3、4割くらいのオフィススペースでやっていける状況になってきた。新しい竹芝のビルはスマートオフィスになっており、東京都とのタイアップで実験をどんどんやっていく。

  • 最近の総務省の通信事業に関する検討会で、携帯電話番号ポータビリティの手数料など様々な議論をしているが、これをどう受け止めているか。手数料収入の減少や通信料が引き下げられるリスクをどのように織り込んでいるか。

    携帯電話番号ポータビリティの対応については、総務省から話があり議論中だが、販売店やコールセンターに一定のコストがかかっているので、その機能を使う場合は有料がいいと思っている。料金については、最近出た調査結果にもあるとおり、ネットワークの品質面も含めて考えると、国際的にみても中くらいの価格なのではないか。価格帯もいろいろなプランがありお客さまに選んで頂くことが大事だと考えている。今後もコスト効率などを含め、リーズナブルな料金を提供していきたい。

  • 楽天モバイル株式会社(以下「楽天」)の参入による競争環境の変化についてどう考えているか。

    楽天がこれからネットワークをどこまで構築していくか分からないが、現時点ではそれほど大きな脅威にはなっていない。