2021年3月期 第1四半期 投資家向け説明会
主な質疑応答

日時 2020年8月4日(火)午後6時~午後7時
登壇者 ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
ソフトバンク株式会社 執行役員 財務経理本部 本部長 内藤 隆志
ソフトバンク株式会社 財務戦略本部 本部長 廣野 公一
  • モバイル通信収入が2.7%減収していることについて、ARPUは3%下がっているものの主要回線の数量は5%増えている。上記ARPUおよび主要回線の掛け算が、PHSを考慮したとしても実際に計上されている売上と合わないが、背景教えてほしい。また、端末関係で120億円の減益とのことだが、コンシューマ事業の販促費用は増益要因なので、端末関係トータルではプラスではないかと思うがこちらについても説明してほしい。

    ARPUおよび件数の掛け算との差分については、解除料の減少、長期割(PayPayボーナス)の会計処理変更による減少影響、売上の減収として会計処理している中古端末の評価が影響している。おトク割影響についてはQ2まで続くが、Q3では収束してくること、件数が堅調であること、他の要因は昨年秋との関係でいうと、同じ状態に近づくことを考えると、後半は盛り返せるのではないかと期待している。端末については通信と分離されているため、販売促進とインセンティブの部分をどう捉えるかによると思うが、端末引当金の一時的な影響と、インセンティブはネットで見ると同じような数字なので、打ち消し合っている。

  • 営業利益1兆円について、Zホールディングス株式会社(以下、ZHD)がFY23に2,250億円の営業利益を目標としているところを見ると、通信の利益はそれほど増えない前提になるが、全体像を説明してほしい。

    ZHDの2,250億円はFY23の目標であり、FY22の目標は提示していないが、ZHDが仮に増益のペースを保ち、通信が相応に成長できた場合、営業利益1兆円の達成には余裕がある状態は実現可能だと考えている。FY22までに1日も早く1兆円を達成したいと考えており、社内ではもう少し高めの目標を目指しながら確実に達成できるよう取り組んでいる。

  • 中期計画によると今期コンシューマ事業は増益になると思うが、FY20Q1の実績および通信収入はすぐには改善しないと考えると、ハードルが高いように感じるが、Q2以降のコンシューマ事業の増益要因があれば教えてほしい。

    端末関係の120億円の中の引当金60億円は一過性のものなので消え、中古端末の評価については、昨年評価が良かった影響の反動が出ているが、足許の状況を見るとQ2にネガティブになる要素は見当たらない。むしろポジティブと考えている。Q1において特殊要因だったものが、Q2以降消えていくと思われるので、増益は無理なくできると思う。

  • 中期計画によると来期、再来期も増益になるが、コンシューマ事業において圧倒的に限界利益率が高いのはモバイルサービス収入だと思われる。モバイルサービス収入が減収トレンドに入りかけていると思われるが、来期再来期増収傾向を作ることが可能か教えてほしい。

    来年再来年の取り組み次第というのはあるが、対前年ではFY20Q1、Q2が底になると思っている。おトク割の影響を鑑みるとFY20Q3が改善、FY20Q4がフラットに近づくモメンタムではないかと捉えている。来年以降も安定させていきたい。一方で件数は順調に伸びており、サービス収入においてもネガティブな状態にはならないのではないかと期待している。

  • ZHDとLINE株式会社(以下「LINE」)の統合による利益に対する影響は。

    連結するため、LINEの営業利益が乗ってくることになる。両社の間のシナジーも将来にわたって追求していきたいと考えている。純利益は、現在44.6%のところが経済的持分で言うと当社とNAVER Corporationの2社で65%持つので、当社の持分は32.5%となり、非支配持分が大きくなり、純利益の持分の貢献は小さくなるが、2社でより大きくなっていくという期待を込めた取り組みである。ZHDとLINEと当社でシナジーを出していきたいと考えている。

  • ZHDとLINEの統合による一過性の評価益は出てこないのか。

    両社を統合していく中で一過性のものが出てくるかこないかは今後の話だと思うが、現時点で見込んでいるものはない。

  • 中期計画の考え方について。今回の純利益の5,300億円の予想には何が入っていて何が入ってないのか。持分法損益の変動、LINEの業績、PayPay株式会社(以下「PayPay」)の業績改善、この3つについて教えてほしい。

    LINEの業績については、直接的には入れていないが吸収するつもりで取り組みたいと考えている。PayPayについては今期が底であり、今後改善に向かうであろうという方向感は入れている。具体的な数字の開示はまだ早いと考えている。

  • 計画上の純利益の伸び率は年率5%となるが、配当についての考え方を教えてほしい。なるべく早く営業利益1兆円を達成したいとのことだが、来期達成するのに必要な条件を教えてほしい。自社株買いをどのくらいの規模で行う予定なのか。また、その際借入をすることも考えているのか。

    FY22より前倒しで達成するという意図ではなく、またギリギリを狙っているのでもない。これはFY22に1兆円を突破するという意味であり、その水準の力をつけていきたいと考えている。配当と自社株買いとの考え方について、基本的には5,300億円に対して85%が還元の原資となる。ただ、こちらは3年間で考えているので、配当は減配しない中で、毎年方針を決めながら、自社株買いについては機動的に1番良いタイミングで考えたいと思っている。今具体的に決まっていることは何もないので、借入についてのコメントは避けさせていただきたい。

  • おトク割影響とは、会計処理影響と値引きとでは、どのような割合になるのか。

    おトク割の会計処理は、24カ月にわたり、一月あたり500円で計上していたところ、12カ月にわたり一月あたり1,000円計上に変えているので、会計の影響が大きい。ただ、こちらは徐々に収束していくものである。

  • 前期の決算発表にて、上期は厳しく、下期に挽回して通期で増益をつくるということだったが、FY20Q1実績を見ると上振れ基調という理解で良いのか。

    5月時点では緊急事態宣言の中、新型コロナウイルス感染症拡大影響がどこまで出るか分からない中で先の方向感を出していたので、ZHDも含めどの事業でも保守的にみていた。特にFY19Q1は増益していたので、FY20Q1は対前年では少し厳しいという認識でいた。そこから新型コロナウイルス感染症拡大影響にも向き合い、われわれなりに対処する中で手応えを感じてきたこともあり、全体としては強含みになってきているが、事業ごとに将来の成長のための投資をしたい思いもあり、そこは選択肢と考えている。Q2が終わればもう少しはっきりしてくると思う。

  • 自社株買いについて、3年間の中で機動的にということだが、タイミングの考え方について教えてほしい。

    状況対応で考えていきたい。全体の考え方としては、フリー・キャッシュ・フローの中から配当還元を行っていき、財務改善をできる形を作っておくというのがベースであり、毎年85%を支払ったあとの残りは財務改善にいつでも充てられるようにしておくのが基本的な構え。ただ、このベースのままなのか、特別な意思決定をするかはその時の状況次第。

  • 3年間の中期計画の中で、今期は大きな増益を見込んでないが、来期、再来期と増益率が加速していくのか。

    コンシューマ事業は増益、法人事業も二桁増、ZHDもFY23の目標を掲げており、増益の枠組みは相当はっきりしていると思う。持分法損益も底を打って改善に向かうとも考えているので、全体の設計としては加速する方向。現にFY19からFY20は純利益の伸びが120億円だが、FY21からFY22の2年で450億円の伸びを示しているところからも理解頂けるのではないかと考えている。

  • スマートフォンの累計契約数3,000万目標について、この前提とコミットメントの強さについて教えてほしい。

    スマートフォンの累計契約数3,000万にはこだわっている。このようにコミュニケーションさせて頂いたものについてはこれまで通り達成することに全力をあげるのが当社の姿勢。利益、配当政策も大事だが、その大きなドライバーとなるスマートフォンに対しても強いこだわりを持っている。前提については、FY23に3,000万のうち1,800万の5Gをやっていくと宣言しており、5Gが大きなドライバーとなることは間違いないと考えている。3,000万は法人を含めた数字であり、法人もまだ伸びる余地があると考えている。

  • 事業セグメントの「その他」について、中身および今後の方向性を教えてほしい。

    FY19Q1の特徴としては、4月のみPayPayの損益が連結子会社として計上されている。これが一過性のものであり、他に特筆すべき大きな数字はない。数字の背景は、子会社の業績が少しずつ改善しているものが積みあがってできているものであり、少しずつプラスが積みあがっていけばいいと考えている。