2021年3月期 決算説明会 要旨

日時 2021年5月11日 (火) 午後4時~5時30分
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 榛葉 淳
ソフトバンク株式会社 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 今井 康之
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦

要旨

決算説明会では、「2021年3月期 連結業績」および「2022年3月期 連結業績予想」に加え、「中長期ビジョン」、「短期重点戦略」、「開示の充実による多様な事業価値の顕在化」について、社長の宮川より説明しました。

1. 中長期ビジョン “Beyond Carrier戦略 第2フェーズ”

  • これからの10年は、収益拡大による成長と新事業の拡大による価値創造の2つにこだわりたい。
  • ソフトバンクは、孟子が言うところの“天地人”つまり成功の方程式のすべてを兼ね備えた企業。
  • “天の時”・チャンスがまず必要。今後10年、5Gが普及することで社会のデジタル化が急速に進み、たくさんのビジネスチャンスが生まれる。
  • “地の利”・企業としての地力も重要。当社の強みは圧倒的な顧客接点を持つ事業基盤。携帯電話サービスの3,800万ユーザー、情報ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」の8,000万ユーザー、スマホ決済サービス「PayPay」の3,900万ユーザー、コミュニケーションサービス「LINE」の8,800万ユーザーは、それぞれ日本最大級の顧客数を誇る。加えて、大企業の95%と取引を行う法人チャネル、全国に6,100店舗を構えるコンシューマチャネル、強固な通信基盤を有する。
  • 天の時、地の利も重要だが、“人の和”・チームの総合力がなければ成功はない。当社グループは1.5万人の営業員と1万人のエンジニアを有しており、300以上の子会社を抱える。経験豊富なマネジメント陣が迅速な意思決定を行うスピード経営が強み。さらに、親会社であるソフトバンクグループ(株)が投資する世界中のテック企業や、国内外の有力企業と共創を行うことができる、新事業の創出に絶好のポジショニング。
  • 企業価値の最大化を通して、当社が掲げる「世界の人々から最も必要とされる企業」を目指す。

2. 2021年3月期 連結業績

  • 2021年3月期の売上高は、前年比7%増。
  • 営業利益は前年比6%増。法人事業の29%増益を筆頭に、全セグメントで増益。
  • 親会社の所有者に帰属する純利益は前年比4%増。

3. 2022年3月期 連結業績予想

  • 2022年3月期の売上高は5.5兆円、営業利益は9,750億円、親会社の所有者に帰属する純利益は5,000億円と、増収・増益を予想。
  • 営業利益は、携帯料金値下げやLINE(株)の経営統合に伴う1,000億円超の減益影響を、モバイル契約数の増加や法人事業・ヤフー事業を中心とした事業努力により克服し、前年比42億円の増益を目指す。
  • 一株当たり配当金は年間86円を据え置き、高水準の還元を継続。
  • 2020年8月公表の2022年度業績目標に変更なし。

4. 短期重点戦略

法人ビジネスの進化

  • 2021年3月のZホールディングス(株)とLINE(株)の統合完了により、当社は、通信、eコマース、モバイル決済、SNSまで幅広いプラットフォームを有する日本有数の企業グループへ進化。
  • 今後はシナジー戦略として、保有する強力なプラットフォーム群を繋ぎ合わせ、その上でさまざまな企業・自治体と共創して、ユーザーへの新たな価値の提供を図る。
  • これらの取り組みにより、法人事業は2022年度に営業利益1,500億円を目指す。

スマートフォンNo.1

  • 当社のモバイルビジネスは、あらゆるニーズに対応するマルチブランド戦略と、ヤフーなどのグループサービスをおトクに提供する付加価値提供で、他の通信キャリアと差別化し、契約数の拡大を図ってきた。
  • 今後はLINEとの連携を加速し、当社のモバイルユーザーのメリットを一層追求する。
  • スマートフォン累計契約数は2023年度3,000万件達成を目標とし、その後も拡大を目指す。

eコマースNo.1

  • 当社グループのeコマースサービスは、探しやすさや配送品質などの点に改善の余地がある一方、LINEとの協業やスマホ決済サービス「PayPay」との連携に成長機会がある。
  • 今後は利便性の向上に努め、グループ全体で連携を強化することで取引高の拡大を図り、2020年代前半にコマース物販領域で国内No.1を目指す。

LINE・NAVER社との連携

  • ZホールディングスとLINEの経営統合により新生Zホールディングスの親会社の株式を共同保有することとなった韓国のNAVER社と、連携強化を図る。
  • NAVER社は、韓国最大級のテクノロジープラットフォーム企業であり、検索エンジンやeコマース、AI、自動運転などさまざまな分野で優れた技術力を保有する。
  • 当社とNAVER社で事業戦略検討委員会を領域別に立ち上げ、シナジー創出に取り組む。

5Gネットワークの強化

  • 2021年2月に既存周波数の5G化を開始。2021年3月時点において、47都道府県で5Gサービスを提供する全国展開を達成した。
  • 今後は、2021年度中にスタンドアローン化を開始し、2022年春に人口カバー率90%の達成を目指す。

Beyond Japan

  • 東南アジア最大級の通信グループ・アシアタグループのデータ/AIマーケティング子会社との資本業務提携を発表。東南アジアにおいてデジタルマーケティング領域の拡大を図る。
  • 今後は、アシアタグループなどの海外企業との連携をさらに強化し、海外での事業拡大を目指す。

5. 開示の充実による多様な事業価値の顕在化

  • 当社の多様な事業価値を積み上げ式で評価していただけるように、今後、開示の充実に一層取り組む。具体的には、営業利益予想をセグメント別に開示することで各事業の成長性について理解を深めてもらうとともに、PayPay(株)などの有力子会社や関連会社の重要KPIを継続開示することで潜在的な事業価値の見える化を図る。

セグメント別営業利益予想の開示

  • コンシューマ事業は携帯料金値下げの影響もあり前年比3%の減益を見込むものの、法人事業は前年比19%、203億円の増益と、大幅成長を見込む。

有力子会社・関連会社の重要KPI 継続開示

① スマホ決済サービス「PayPay」
  • スマホ決済サービス「PayPay」は2021年5月で3,900万ユーザーを突破。全国316万カ所で利用可能。今後は金融サービスなどを強化し、スーパーアプリ化を加速する。
  • 今回初めて開示する決済取扱高(GMV)は、2020年度で3.2兆円を超え、前年比2.6倍の高成長。
  • PayPay(株)は現在、当社の持分法適用会社だが、2022年度以降の優先株式の転換により連結子会社となる見込み。
② 第2の「PayPay」創出へ
  • 当社の100%子会社で決済代行サービスを提供するSBペイメントサービス(株)の取扱高は、前年比14%増の4兆円。同じく100%子会社で電力供給サービスを提供するSBパワー(株)の売上高は前年比70%増の1,309億円。
  • 今後も、成長市場であるフィンテックやヘルスケア、モビリティなどの各領域で新事業の創出に取り組む。

6. ソフトバンクのSDGs

  • 当社は、2020年5月に重要課題(マテリアリティ)を制定し、事業成長を追求すると同時に社会課題の解決に取り組む。
  • 「カーボンニュートラル2030」宣言として、2030年度までに、自社で使用する電力などのエネルギーを再生可能エネルギーへ切り替えることで温室効果ガス排出量を実質ゼロとし、カーボンニュートラル実現を目指す。