2021年3月期 投資家向け説明会
主な質疑応答

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日時 2021年5月11日(火)午後6時~午後7時15分
登壇者 ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
ソフトバンク株式会社 執行役員 財務経理本部 本部長 内藤 隆志
ソフトバンク株式会社 財務戦略本部 本部長 秋山 修
  • モバイルの通信サービス収入の見通しについて。主要回線の純増により値引きの影響を消していくということだが、純増の規模感およびブランド別内訳を教えてほしい。また、「おトク割」の会計上の影響は今期どれくらいプラスの戻りがあるのか。

    コンシューマ事業は、新料金プランの影響により700億円ほどの減収が想定されるが、契約数増により相殺し減益幅は160億円ほどと見込んでいる。 “ワイモバイル”の初動が非常に強い。“LINEMO”も健闘しているが、当社の場合“ワイモバイル”と“LINEMO”をセットで見たほうが競争環境を捉えやすいと思っている。 “ソフトバンク”は引き続き成長することにこだわる。
    「おトク割」の前期業績への影響は347億円ほどであり、今期はほぼなくなり前年対比でプラス要素となる。

  • 今期の販促費用全体の前提をどう見ているか。前期は総務省の政策の影響で減っているが、今後の方向性をどう考えているのか。

    今後の競争次第ではあるが、前期に引き続き今期も改善が進むと思っている。ただし、前期の改善幅が非常に大きいため、それほどの改善幅にはならないと見込んでいる。

  • 携帯料金値下げ影響は700億円以上とのことだが、特にダウングレードの影響はどれほどか。想定に対して足元の動きはやや強いと考えているのか。

    “ソフトバンク”から“ワイモバイル”へのブランド変更の初動は強め。年間影響について断定的に述べるのは時期尚早だが、相当強まると想定している。一方で、“ワイモバイル”でグループ外への解約抑止ができているという面もある。ブランド変更以外の要素も含めて考えると、年間700億円の減収に対してほぼ想定通りと見込んでおり、しっかりマネージしていく。

  • 解約率について、獲得と解約が両建てで出る傾向があるとのことだが、競争状態はどのように変化しているのか。

    新規の獲得と解約について、今期は業界全体で流動性が高まることを覚悟している。流動性についてはいろいろな局面があり、3月および4月については楽天モバイル株式会社(以下「楽天」)の無料キャンペーンの締めがあり非常に高めだったが、5月は変化があるように見える。年間を通じて山や谷がある中でお互い切磋琢磨しながら、当社はしっかり当社のことをやっていく。

  • “ワイモバイル”の販促やマーケティングは他社のサブブランドやオンライン専用ブランドより強めであり、また、“ソフトバンク”の大容量プランの値下げも来期のほうが影響が大きくなるように思える。これらの点を踏まえ、減収影響は来期にどのように残るのか。一方で、前期から今期にかけての法人向けモバイルの増収は来期には一巡すると考えられるため減収を吸収するのは難しいのではないか。また、法人向けモバイル収入の伸びの見通しについても教えてほしい。

    来期について断定的に述べるのは難しいが、サイクルとして1年で全てのお客さまが動くことはありえないため、来期にも影響は残る。一方で法人事業の営業利益は、前期の1,077億円から今期予想1,280億円、来期予想は1,500億円と見込んでおり、伸びを加速させていく。日本では個人に比べて法人のスマートフォン化が遅れており、市場全体の6割未満。デジタル化の流れの中で、100%に向けて増えていくと見込んでおり、法人向けスマートフォンを伸ばす余地は大きい。

  • PayPay株式会社(以下「PayPay」)を来期連結するとした場合の業績への影響およびキャッシュの流れを知りたい。株主還元への影響について、3年平均の総還元性向は理解できなくはないが、前年対比で株主還元も配当性向も少ない。株主還元方針の見直しと合わせてPayPayとの取引および子会社上場時に得たキャッシュをどのように株主に分配していくのかについての方針、考え方を教えてほしい。

    いずれPayPayを連結するという意思を示しているが、これは本業として取り組んでいくということ。PayPayの価値をいろいろな形で顕在化していく努力をする。 総還元性向の3年平均については、需給の問題もあったと考えているため、自社株買いも選択肢に含めた。毎年決まった額ではなく、一番適切なタイミングに一番適切な施策を実施する機動性を確保できる。安定配当、減配はしないということは崩さない中で株主還元政策についても冷静に判断し、柔軟性を持って臨みたい。

  • コンシューマ事業の営業利益の増減について。契約者数も増やしていくということだが、コスト削減や費用抑制面での取り組みはどのように織り込まれているのか。

    ネットワーク関連を含む全体のオペレーションでは、100億円単位のコスト削減を推進している。コンシューマ事業についても、収入にプレッシャーがあることからいろいろなコストの見直しを実施しており、3桁のコスト削減を考えている。

  • 今期の設備投資計画について。前期は5G関連を中心に200億円ほど前倒しで積み増して4,200億円の実績だが、今期はどのように考えているか。

    4,000億円前後と見ており、考え方は変わっていない。

  • 法人向けモバイルのユーザーにもソリューションのクロスセルが上手くいっているとのことだが、どのソリューションが売れているのか、今後の拡大余地も含めて教えてほしい。

    はじめは、スマートフォン導入、ネットワークの強化、次にクラウド。当社はいろいろなクラウド商材を扱っているため、さまざまなお客さまのニーズに対応できている。この点は明らかにシナジーが出ておりクロスセルが進んでいる。また、さまざまなIoT商材の追加や、セキュリティも必須、というように次々に法人のお客さまとのお取引は深くなってきている。さらに、デジタル化によるコストあるいはオペレーションの効率化だけではなく、売上を増やすための施策を提案できる関係性も構築しつつある。こうした成功体験を営業が積み重ねており、競合相手も変わってきている中で自信も付けてきている。法人はまさに伸び盛りであり、数字として具現化していきたい。

  • 法人向けモバイルについて、他社に対する差別化要因と当社のほうが他社より伸ばしていける理由について教えてほしい。

    当社の強みは、法人のお客さまに対してトータルでソリューションを提案できること。例えば当社の営業は、「ヤフー」や「LINE」の商材もセットで提案できる。また、端末もレンタルでのご提供を長くやってきており、端末の管理といった法人のお客さまにとって煩わしい部分もまとめて任せられるなど、トータルで提供している点もご支持いただいている。

  • 今期のスマートフォンの純増について、楽天その他のプレッシャーがあったと思うが、どのように考えているのか。また、5Gの顧客獲得状況およびそのことがARPUに将来影響してくるのかどうかについても教えてほしい。

    数字そのものの開示は控えるが、2023年度末にスマートフォン3,000万件という長期目標があり、これを少しでも前倒しで達成したい。また、5Gの初動はほぼ想定通りであり、他社が掲げているのと同じようなレベルできていると思う。また、今般、4G と5G共通のシンプルな料金設計とし、端末は5Gのものを販売している。ある意味先行投資状態になっているが、ネットワークが整っていく中で、5Gの利用促進に取り組んでいくことが大事なテーマになる。さらに、ヤフー株式会社(以下「ヤフー」)、LINE株式会社、PayPayなどグループ内の会社と協業して、スマートフォンをもっと活用できるという世界を作っていくことが必要だと捉えている。

  • 金利上昇圧力がかかる中で配当成長は非常に重要であり、通信業界では多くの投資家が複数年にわたる連続増配は重要な項目として見ているため、どのような条件がそろえば増配するのか教えてほしい。また、従来の方針では期初計画を実行し期中変更はしないというものだったが、この考え方に変更はないか。

    当社を単純に通信業としてみるとそのような議論になることは承知しているが、Sum of the Partsでの評価をぜひ検討いただきたい。前期に約30%、今期も20%に迫る営業利益の伸びを示している法人事業のほか、Zホールディングス株式会社、PayPayも含まれる企業体を、通信業として一括りにすることに対する問題提起と捉えていただきたい。同時に配当は非常に重要な要素であることも承知している。業績予想を超えて増益した場合には、評価性のもの、キャッシュが伴うかといった利益の質も勘案しながら、自社株買いでの還元を検討する。これらの点と配当の継続性、安定性および将来の成長とを合わせて総合的な判断を期末に行う。

  • 顧客流動性が高まるような制度改正が来期にかけても続くと思うが、コンシューマ事業が増益に転じるタイミングはいつ頃を想定しているのか。

    タイミングについては、いろいろなシナリオを検討している。コンシューマ事業も、新料金が浸透するまでは相応にプレッシャーがあり、また、競争もある。当社は法人事業などさまざまな成長領域を持っていることから、コンシューマ事業では耐えつつ、成長領域でのチャンスを作っていくという構えである。

  • 現時点では“ソフトバンク”からのダウングレードが多く、“ワイモバイル”からのダウングレードはあまりないとの認識でよいか。また、料金の値ごろ感からアップグレードの動きもあると思うが、5Gが出てくる今期においてアップグレードについてはどのように計画に織り込んでいるのか。

    現時点では“ワイモバイル”が強い。また、アップグレードについてはいろいろな取り組みを行っていくが、コンシューマ事業においては、事業計画上大きなプラスは織り込んでいない。

  • コスト削減について、前期の削減規模と今期の削減規模、また、主要項目での大きな変化について教えてほしい。

    前期は、本社移転に伴って二重家賃や一時的に除却するものが発生したためコスト増になったが、移転によりスペースもかなり効率がよくなっており、今期は数十億円の削減効果が出る。全社では数百億円単位のコスト削減を毎年実施していく。成長のための事業多角化に伴うコスト増を、社内のコスト削減により相殺してキープフラットにしていく。

  • ネットレバレッジ・レシオについて、来期は2.4倍以下に抑えるという目標は堅持とのことだが、中長期的にはどの程度が目標なのか。また、中長期的にどの程度の自己資本比率を目標にしているのか。

    前期のネットレバレッジ・レシオは、EBITDAが伸び、フリー・キャッシュ・フローも順調だったことから想定以上の改善ができた。現在の格付けの状況からしても、2倍台前半という目線は変わらない。自己資本比率については少し低いと認識している。まずは毎年少しずつ改善し、その上でいろいろなチャンスを追及していきたい。

  • FY20からFY22の3年間については総還元性向85%程度で減配なしとのことだが、FY23以降の配当方針について教えてほしい。今ある方針をゼロベースから見直すのか、それとも減配なしという点については維持した上での検討になるのか。

    FY23以降の配当方針について述べるのは時期尚早だが、少なくとも社内で減配を議論したことはない。減配が日本市場においてどのようなイメージを与えるかについて十分理解しているので慎重に考えたい。当社が上場した時のエクイティストーリーは安定した高い株主還元と成長を両輪で追及することであり、その考えにぶれはない。

  • “ワイモバイル”が好調とのことだが、今の純増に関して、宮川社長より説明のあった総合デジタルプラットフォーマーであること、つまり「ヤフー」、「LINE」など各ブランドを有していることが強みとなっているのか。

    間違いなく強みになっている。例えばヤフーは、当社のお客さまをコマースの成長ドライバーとし、当社はヤフーのコマースサービスをお得に利用できることを誘引として“ソフトバンク”の獲得増加、またはリテンション強化につなげ、その効果は毎年非常に大きくなってきている。同様の取り組みをPayPayにも広げその効果を実感している。相互にwin-winとなる形を作っていく。ただし、いわゆる経済圏のような形で囲い込むのではなく、ユニバーサルな形でそれぞれのサービスがそれぞれ大きくなり、その中で当社のお客さまにさらにメリットを出していきたい。

  • SDGsへの取り組みについて、カーボンニュートラル2030年宣言を掲げており世界の動きに連動しているとの印象を持ったが、6つの重要課題が将来的に財務面でどのようにプラスに効いてくるのか。宮川社長は新事業を通じてとのことだったが、どういった点に注目しているのか、KPIも含めて教えてほしい。

    当社は、世界の人々から最も必要とされる企業グループになることをビジョンとして掲げており、カーボンニュートラルへの取り組みも中核に据えるべきものとして議論している。6つの領域それぞれで相当数のKPIを作り、全社を挙げて取り組んでいる。ESGの格付評価についても、前期は1年間で相当大きく進展した。ただし、ここからがスタートラインであり今後個別のKPIを積み上げていく。ESGの取り組みの進展は債券発行などの資金調達に際してもプラスがある。