2022年3月期 第1四半期
決算説明会 主な質疑応答

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日時 2021年8月4日(水)午後4時~午後5時
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • 4月に社長に就任してから初めての四半期決算となったが、社長になって感じたこと、業績には表れない発見や手応えがあれば教えてほしい。

    CTOから社長という立場に変わったことで、これまで以上にさまざまな経験をさせていただいている。一方で、コロナ禍の中での社長就任となり、さまざまな面で制約を感じているのも事実。社員とのコミュニケーションも基本的にオンライン上で行っており、その点では社長になったという実感はまだ薄いかもしれない。

  • 通信料金値下げの影響として2021年度通期で700億円の減収を見込んでいるとのことだが、第1四半期の進捗は。また、第2四半期以降の推移をどう見ているか。

    第1四半期では、100億円強の影響があった。第2四半期は150億円を少し超えるくらいと予想している。その後も四半期ごとに影響額は増加するものの、増加幅はだんだんと横ばいになると見ている。ただ、例年秋ごろに発売されるiPhoneの販売状況によっては、お客さまの端末買い替え需要が高まり、新料金プランへの移行が加速する可能性もある。そうなれば、さらに数十億円程度の減収になる可能性は見込んでいる。総じて、通期で700億円強の減収影響があるという見方に変わりはない。

  • 料金値下げによる減収影響は第1四半期で100億円強とのことだが、ブランド別の内訳を教えてほしい。

    ユーザー1人当たりの平均収入であるARPUで考えると分かりやすい。当社には完全定額や大容量の“ソフトバンク”、中・低容量を狙った“ワイモバイル”、オンライン専用の“LINEMO”の3つのブランドがあり、それぞれARPUは異なる。今回の値下げにより、“ソフトバンク”のお客さまでも価格に敏感な方は“ワイモバイル”に移動しているケースが多い。また“LINEMO”も、競合他社からの転入よりも“ソフトバンク”からの乗り換えの方が多い。これらが全社で見たときにARPUの引き下げ要因となっており、第1四半期では結果として100円程度のARPUの減少につながった。

  • “LINEMO”で3GB月額900円(税抜)という格安プランを発表したが、現在の競争環境をどう見ているか。

    今回の新プランについては、思い切り踏み込んだ価格設定になっている。“LINEモバイル”から“LINEMO”への移行を進めていたが、一部で競合他社への流出が出始めていた。ユーザーアンケートを取ったところ、3GB程度しか使わないのでもう少し安価な料金プランがほしいという声が多かった。当社はプライスリーダーだと言いながら、どこか守りに入っていた部分もあったように思う。一度原点に戻り、攻める側に回ろうということで、今回新プランを提供するに至った。早くもご好評いただいており、競合他社からの流入にもつながっている。今後もいろいろなことに挑戦していきたい。

  • KDDI(株)が提供する“povo”の契約数は現在100万件とのことだが、“LINEMO”の契約数は。

    ざっくりとお話しすると、“LINEMO”の契約数は50万件にも満たない状況。一方で、当社は長年“ワイモバイル”で低料金のサービスを提供してきた。低料金ユーザーは“ワイモバイル”にかなり流れており、“ワイモバイル”の契約数は約700万件まで積み上がっている。“LINEMO”と“ワイモバイル”を合わせた七百数十万件ほどが、当社の低料金ユーザーということになる。

  • スマートフォンの解約率が前年同期比で大きく悪化しているが原因は。

    この4月は競合他社のキャンペーンなどがあり、解約率が悪化したのは事実。ただ5月以降はこの傾向が落ち着いており、想定の範囲内に戻ってきている。引き続き解約率は注視していく。

  • 第1四半期はモバイルの主要回線の純増数が少ないようだが、第2四半期以降は回復すると見てよいか。

    4月頃までは他社とのキャンペーンのぶつかり合いで苦労したが、5月以降はもともと思い描いていた純増数に近づいてきた。“LINEMO”で月額900円という価格に踏み込んだように、今後もお客さまのニーズの変化にしっかりと対応していく。最終的には年間通して目標としている数字にたどり着くように頑張りたい。

  • 純利益が減少した理由として法人所得税の増加があるが、この背景を教えてほしい。

    法人所得税の増加分138億円のうち、約半分が一過性の要因によるもの。具体的には、Zホールディングス(株)とLINE(株)の経営統合に伴うものと、投資関係の一過性のものがそれに当たる。

  • 5G化が進んでいるが、ソフトバンク(株)の進捗は。また、通信トラヒックの増加に伴う増収影響はあるか。

    5Gユーザーは順調に増加している。5Gの基地局は現在1万3,000局を超えているが、4GLTEの約23万局と比較すると5Gのエリアはまだまだ少ない。来年の春ごろに人口カバー率90%を目指しており、そうなれば通信トラヒックは自然と増加し、大容量の“ソフトバンク”ブランドへ戻ってくるお客さまが増えると考えている。また今年から5Gはスタンドアローン化するため、それに伴いIoTのデバイスが大きく増える。ビジネスモデルによっては、今までのコンシューマ事業に匹敵する売上規模と産業規模になると考えており、慎重に進めていきたい。

  • 「PayPay」のスーパーアプリ化のためには決済回数が重要とのことだが、その理由を教えてほしい。

    当社は決済アプリを入り口として金融エコシステムを作っていきたいと考えており、「PayPay」アプリの画面上には、そのような機能への動線をたくさん用意している。アプリ内の金融サービスへとユーザーを誘導するために、まずは「PayPay」自体がユーザーに頻繁に使われるアプリにならなければいけない。そのため、「PayPay」が日々どれだけ使われているかを測ることができる決済回数を指標として重視している。

  • 今回、韓国Naver Financial社と共に米TBCASoft社へ共同出資を行ったが、海外でQR決済が使われていくためには何が重要だと考えているか。

    国ごとにさまざまな決済サービスがある中で、当社は海外の決済事業者と共創しながらQRコード決済経済圏を世界中に広げていきたいと考えている。今回の発表はその第一歩。まずは台湾のユーザーが日本を訪問した際、台湾でいつも使っているアプリを使って決済ができるようにしたい。また、「PayPay」のユーザーが世界中どこに行っても使えるということもできればいいと思っている。事業の実現に当たっては、監督官庁の許可などを得て進めていく必要がある。携帯電話事業者が世界中でローミング連携したような関係をQRコード決済でも作っていきたい。

  • オンラインでの端末販売やオンラインサポートなどへのシフトが進む中で、リアルの店舗とオンライン販売のバランスをどう考えているか。

    リアル店舗とオンライン販売ではお客さまの層が全く違う。米国でもオンライン販売は伸びつつあり、当社もオンラインを強化しているが、実際に店舗に行って販売員と話をしながらプランや端末を選びたいというお客さまも多い。端末はデジタルでも、使うのは人間。コストはかかるとしてもリアル店舗は維持し続けたい。リアルとオンラインのバランスについては、オンラインが増えていくと思うが、店舗がゼロになるという姿を現時点では想像できない。

  • ソフトバンク(株)を含む通信大手3社は、携帯販売店が無かった宮崎県えびの市に共同で臨時店舗を開設すると発表したが、地方で店舗を維持していく上での課題は。

    地方での店舗展開は、コストを回収できるだけの売り上げがあるかという費用対効果に尽きる。一方で、当社は地方創生の一環として地方自治体のデジタル化にも積極的に取り組んでいる。地方のデジタル化を進める中で、必ず直面する課題が地方におけるスマートフォンの普及率の低さ。自治体をデジタル化しても、市民の方がスマートフォンを使えなければデジタルの十分な恩恵が受けられない。何とかしたいと、あらゆる取り組みをする中で、今回の共同店舗につながった。こうした実店舗でのスマホ教室などが有効だと考えている。

  • 総務省や公正取引委員会から、販売代理店の評価制度や在り方について見直しを求めるような指摘が相次いであったが、その受け止めと今後の見直しの方針を教えてほしい。

    店舗評価の際、例えば“ソフトバンク”を売った場合と“ワイモバイル”を売った場合で、当初は評価点数に違いがあったが、全て是正した。そのような壁がないように体制を整えたつもりだが、これで100%だとは思っていない。ご指摘を真摯に受け止めて、常に改善していく。

  • 世界的に問題になっている半導体不足は、スマートフォンの出荷や5G基地局の建設に影響があると思うが、第2四半期以降どのようなリスクがあると考えるか。

    基地局の建設は影響を受けていない。今後心配なのはアップル社関連。現在すでにiPadは十分な数量を確保できない状況。アップル社は会見でこれから苦しくなるというコメントをされていたので、秋以降のiPhoneの供給が間に合うかが心配事ではある。

  • 5G基地局の開設の遅れについて6月に行政指導を受けたと思うが、その後の進捗は。

    この件については、昨年度までCTOとして責任者をしていた私の確認不足であり、申し訳なかった。基地局開設計画では、地域ごとの開設予定数を総務省に申請してライセンスをいただいているが、コロナ禍のリモートによる調整がうまくいかず、取りこぼしてしまった地域があった。言い訳をするつもりはなく、私の確認不足。その後、昨年度取りこぼしがあった地域はリカバリーした。来年の春までに5G人口カバー率90%という目標も今のところ順調。

  • デジタル庁の発足について、宮川社長の受け止め方を教えてほしい。

    日本がデジタル化で遅れていることについては、私も危惧しているうちの一人。平井大臣のご就任以降、デジタル庁の報告会では当社もいろいろと議論をさせていただいてきた。日本はスマートフォンの普及率がまだまだ低く、デジタルで地方創生をしようとしても、そこで壁にぶつかってしまう。行政のデジタル化と個人のデジタル化は同時に進めねばならず、この点でデジタル庁には期待している。力を合わせて日本全体を盛り上げていきたい。

  • デジタル庁発足により、ソフトバンク(株)にどのような事業機会が生まれるのか。また何を武器に競合他社と差別化するのか。

    当社はまず、5Gネットワークの整備などにより、通信の側面からデジタル化を応援していく。加えてZホールディングス(株)と共に、ユーザーがデジタルを使う上で何が便利かを積極的に提案していきたい。最終的には、都市全体がデジタル化する中で、データを連携し合うことが重要だと思っており、実際にプロジェクトとして進めている。当社の新本社ビルは1,400個ものセンサーを内蔵したスマートビルとなっており、ここから得たデータをビルOS上で連携している。これを都市全体に広げたものが都市OS。実施するのは自治体や国だが、当社は都市OSの技術的な基盤を設計している。将来の方向感としてはこの分野を狙っている。

  • 宇宙通信、衛星通信の市場動向についての見解を教えてほしい。

    今後、宇宙を含めたメッシュ構造の通信が始まり、Beyond 5G以降、6G、7G、8Gのどこかでは、宇宙通信も通信規格に入ってくると思う。当社は、衛星通信の距離感では地上のデバイスのエコシステムに対応するのは難しいと判断し、地上20kmの成層圏から通信を提供するHAPS事業に数年前から注力している。すでに技術検証は一通り終わり、現在は量産設計に入っている。隣国への干渉計算や許可の取得などが必要なためまだあと3年ほどかかるが、HAPS事業には引き続き取り組んでいく。NTT(株)と(株)スカパーJSATホールディングスの宇宙データセンター構想や、楽天モバイル(株)のAST構想も素晴らしいと思う。皆がチャレンジしていくことで、新しい技術が生まれる。いろいろなテクノロジーを興味深く追っていきたい。

  • 「プラチナバンド」と呼ばれる700MHz~900MHzの周波数帯の再配分が総務省で検討されていることについてコメントはあるか。

    当社は900MHz帯を6年がかりでいただいた。最初に割り当てていただいた2.1GHz帯をまずはしっかり使って、プラチナバンドはそれからだという総務省のお話しだったので、最終的にはそこで18万局を立ち上げた。今回のプラチナバンド再編成については、3キャリア全てそうだが、既存で使っている周波数にはお客さまが入っているので、巻き取りにはお客さまとの会話も必要。また基地局も建設して終わりではなく、毎年ソフトウエアのアップデートが必要。多い時には年に2~3回のペースでスペックをあげていかないと新しいサービスについていけない。そのソフトウエアの金額も数十億円になるケースが多くなってきた。お客さまのサービスをよりよくするために行っているが、期限があまりにも短い割り当ての方策にすると、そのような更新さえも滞り、サービス劣化への危惧があると総務省には申し上げている。