2023年3月期 第2四半期
決算説明会 主な質疑応答

日時 2022年11月4日(金)午後4時~5時
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • 楽天モバイル(株)が(株)NTTドコモ・KDDI(株)・ソフトバンク(株)の持つプラチナバンド(つながりやすいモバイル向け周波数帯)の一部を再配分して欲しいと要望している事についてどう考えているか。

    当社は2006年に携帯電話業界に参入してから2012年にプラチナバンドが割り当てられるまでの6年間、当社はプラチナバンドを割り当ててほしいと総務省に要望してきた経緯があるので、楽天モバイル(株)の気持ちは理解できる。しかし、当社が利用するプラチナバンドは、既に多くのお客さまにご利用いただいている。仮に当社のプラチナバンドの一部を再配分することになった場合、利用中のお客さまに不便をおかけしないよう、相当な準備期間が必要。

  • 通信障害発生時のローミング(通信事業者間のモバイルネットワークの相互接続)についての考え方を教えてほしい。

    前向きに検討している。緊急通報の際に警察や消防などから通報者に電話をかけ直す「呼び返し」に関しては、ローミング開始直後から実現した方が良いが、課題は多い。国や他の通信事業者とも協議し、工夫していきたい。また、1台のスマートフォンで2つの異なる通信事業者の回線を使える「デュアルSIM」の普及について、他の通信事業者とも議論していきたい。

  • 携帯キャリアの販売代理店が、スマートフォンを「1円」など極端な安値で販売している問題があるが、現状2万円とされている携帯キャリアの販売奨励金のあり方についての認識を教えてほしい。

    ユーザーを獲得するために端末価格を安くした結果、割安な端末を転売し利ざやを稼ぐ「転売ヤー」が発生するなど、社会現象として良くないと認識している。他社との競争があり、当社だけで取り組むことは難しいため、スマートフォンの販売価格の下限を設けるようなルールが作られるのであれば賛同したい。

  • 金融事業またはPayPay(株)は2023年度に黒字化を見込んでいるのか。

    PayPay(株)は上場を目指しているので、将来についての回答は差し控えたい。

  • PayPay(株)は上場準備をしているという理解でよいのか。

    上場については現時点で何も決まっていない。いつでも上場を目指せる会社になるという意味で、ガバナンスなどの整備に取り組んでいる。

  • 今後PayPay(株)の成長の余地はどのくらいあるのか。

    2022年9月末時点で「PayPay」の登録ユーザー数は5,100万人を超えた。ユーザー数はさらに伸ばしていけると思っている。「PayPay」の収益構造は3層構造になっており、現状は1層目のキャッシュレス決済事業が中心だが、今後は2層目の加盟店向けサービス、3層目の金融サービスをさらに伸ばしていきたい。

  • スマートフォンが衛星と通信できるようになりつつあるが、HAPSモバイル(株)を今後どのように成長させていきたいと考えているか。

    HAPSモバイル(株)は、成層圏に飛行させた航空機などから通信サービスを提供することを目指しており、衛星よりも高度が低く、通信品質が安定しているという強みがあるので、サービス化するべく取り組んでいきたい。サービスにあたっては、乗り越えるべき課題がいくつかあると認識している。短期的には、低軌道衛星通信サービス「OneWeb」のサービス提供を目指す。

  • 円安、物価高騰などの社会情勢による事業への影響は。

    海外からの主要な調達について円建てで契約を結んでいるため、当面は円安が事業に与える影響は小さい。物価高の影響も大きくはないが、通信事業者として多くの電気を消費するため、電気代の高騰は業績にとってマイナス要因となっている。継続的な課題として取り組んでいきたい。

  • 2023年度のV字回復に貢献すると見込んでいる事業は何か。

    法人事業やヤフー・LINE事業の成長、コスト削減など、複合要因でV字回復を目指したい。

  • PayPay(株)の再測定益もあり、資本がやや厚くなった。また、2023年度はコンシューマ事業・法人事業向けの設備投資を2022年度対比で1,000億円削減する方針で、資金的な余裕がやや出そうに思う。今後の株主還元なども含めた資金配分についての考え方を教えてほしい。

    通信料値下げ前後で通信事業は異なる収益構造になったため、2023年度の設備投資は予定通り1,000億円削減する方針。2023年度の株主還元の方針は現時点では決まっていないが、サプライズを伴うような大きな変更を実施するつもりはない。2022年3月末時点で13.2%だった自己資本比率はPayPay(株)の子会社化によって16%を超える水準になる。純資産比率についても、2022年3月末時点で22.7%だったが、25%を超える水準まで改善する見込み。

  • PayPay(株)の再測定益や各事業の業績は期初の見通しと比べてどうだったのか。

    法人事業は訴訟にかかる引当金を計上したので約90億円下方修正したが、それ以外の事業は期初の見通しを変えておらず順調。PayPay(株)の再測定益については、期初の見込みよりも数百億円上振れた。