2023年3月期 第3四半期
決算説明会 主な質疑応答

日時 2023年2月3日(金)午後4時~5時
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • Zホールディングス(株)・LINE(株)・ヤフー(株)の3社の合併方針決定に関する感想は。

    方向性は非常に正しいと考えており、今後に大いに期待している。これまでも「意思決定のスピードを上げてほしい、スピードが上がらないのはプロセスが複雑だからではないか」とZホールディングス(株)の経営陣に意見を伝えてきた。先月、同社の経営陣から3社合併の方針や経営体制の変更に係る提案を受け、これから大きく変わるのではという印象を持っている。

  • Zホールディングス(株)の今回の経営体制の変更では、LINE(株)出身の出澤氏が代表取締役 CEOに、慎氏が代表取締役 GCPO(Group Chief Product Officer)に就任する。今後は同社の経営をLINE(株)が主導するという趣旨か?

    今回の発表の趣旨は、Co-CEO体制から単独CEO体制とし、3社を合併させることで同社の意思決定のスピードを上げるということである。

  • 3社合併は、今後のソフトバンク(株)の事業にも影響を及ぼすと思うが、今後の考え方を教えてほしい。

    2023年5月の決算発表に向けて詳細を詰めているため、現時点では詳しくお話しできないが、2023年度はヤフー・LINE事業も含めて、全てのセグメントで増益を目指しており、予想数値の精査を進めている。

  • コンシューマ事業のコストダウンについて、対象の領域と規模を教えてほしい。

    今後、3つの通信サービス(3G・PHS・ADSL)の終了を予定しており、それらのネットワーク運用コストの低減が見込まれる。また、2012年以降に実施した大型設備投資の償却が終わり、減価償却費などが2023年度は500億円(2022年度対比)程度低減する予定。そのほか、外注費の削減などに努めるが、通信業界では過剰なコストダウンは通信障害の発生に繋がる恐れがあるため、バランスを見ながら実施していきたい。

  • コンシューマ事業と法人事業の進捗についての認識を教えてほしい。

    コンシューマ事業は進捗率90%と順調に進んでいるため、来期以降の成長に繋がる施策を打っていきたい。法人事業は進捗率77%であり、こちらも順調と見ている。目標達成に向けて、営業活動を積極化している。

  • 2023年度の増益に特に貢献すると見込んでいる事業は何か。

    2023年度の増益は特定のセグメントがけん引するのではなく、ヤフー・LINE事業も含めて全体的に伸ばすことになると見込んでいる。コンシューマ事業は、通信料値下げの主な影響があと1年残るため、2022年度を下回らない利益水準が現時点での実力値。法人事業は業績が右肩上がりなので、この勢いを止めることなく成長させたい。金融事業は、PayPay(株)が獲得費前の営業利益で既に黒字である。一方で、PayPayカード(株)は顧客基盤の拡大に向けて獲得コストが先行するので、バランスを見ながら金融事業の実質的な増益を目指したい。

  • 2023年度の株主還元の考え方を教えてほしい。

    2023年度の株主還元の方針は現時点では決まっていないが、サプライズを伴うような大きな変更を実施するつもりはない。

  • 社会的に賃上げの機運が高まっているが、ソフトバンク(株)の賃上げに対する考え方は。

    現在の事業環境で賃上げすることは容易ではないが、賃上げで増加するコストと同額のコストダウンを実施し、5.4%の賃上げを実施する方向で最終調整している。

  • 第5世代移動通信システム「5G」について、進捗状況を教えてほしい。

    「5G」エリアのカバレッジをまずは広げる設計方針であり、700MHzを中心に基地局展開を行い、人口カバー率90%以上を2021年度末に達成した。2022年度も基地局を増やしており、引き続きエリアは拡大している。3~4GHz帯(Sub6)は、衛星通信への干渉という課題があったが、さまざまな調整によってルールが緩和傾向にあるため、東名阪を中心に通信容量拡大のための周波数として整備し始めている。一方で、ミリ波と呼ばれる28GHz帯は投資効果が得られるか検証中である。

  • 「デュアルSIM」サービス(1台のスマートフォンで2つの異なる通信事業者の回線を使えるサービス)について、KDDI(株)との提供を発表するに至った経緯は。

    2022年7月に起こったKDDI(株)の通信障害は、われわれにとっても対岸の火事ではない。前回の決算発表で当社が「デュアルSIM」サービスの考え方を披露したところ、KDDI(株)の代表取締役社長 髙橋氏よりサービス実現に向けた打診があった。その後、急ピッチでサービス化に向けて動き出し、今回の発表に至った。具体的なサービス内容は最終調整しているが、2023年3月末までの提供を目指し取り組んでいる。

  • (株)NTTドコモや楽天モバイル(株)との「デュアルSIM」サービスの提供について交渉は行われているのか。

    他社との「デュアルSIM」サービスの提供に向けた交渉状況については回答を差し控えたい。当社としては、通信障害や自然災害などがあった際の対策として位置付けている。条件が整い次第、どのキャリアとも進めるべきだと思っている。