2023年3月期 第3四半期
投資家向け説明会
主な質疑応答
日時 | 2023年2月3日(金)午後6時~6時56分 |
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登壇者 | ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦 ソフトバンク株式会社 執行役員 財務経理本部 本部長 内藤 隆志 ソフトバンク株式会社 財務戦略本部 本部長 秋山 修 |
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モバイルサービスの総合ARPUが期初の想定よりも少し良い状況とのことだが、その要因を教えてほしい。
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直近で状況が大きく変わったというわけではない。2022年度第2四半期で通期の総合ARPUの減少幅見通しを前期比230円に上方修正したときも、多少慎重に話していた。音声通話やオプション関係の改善、ARPUの減少を伴うブランド変更の低減などさまざまな要素の結果である。
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2022年度の総合ARPUは、前年同期比で減少幅が次第に小さくなっているが、来期も同様の傾向が続くと考えてよいか。また、2023年度の通信料値下げの影響の見通しは元々500億円ということだが、最近のARPUの改善に伴う変更はないのか。
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来期の傾向は今期と同様に改善していくと見込んでいる。2023年度の通信料値下げの影響は当初の見通しより少し改善する期待はあるが、500億円という見通しを変えるほどの大きな乖離はない。
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コンシューマは顧客還元施策による売上の減少を戻した金額が本来の実力として捉えればよいか。
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その通りである。
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顧客還元施策費用の売上高からの減額は、2022年度のみ発生するものなのか、要因も含めて教えてほしい。
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顧客還元施策費用の売上高からの減額は、小さい規模では過去にも行ったことがある。ただ、顧客還元施策費用を一括で費用処理するのは今期の損益への負担も大きいので、施策の内容や効果などのバランスを考えて判断することになる。2023年度も第4四半期やiPhoneの商戦期など需要の多い時期には一定量は実施する可能性はある。
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IFRS(国際財務報告基準)では、一般的に顧客獲得のための費用は資産計上する理解だが、今回売上から控除した顧客還元施策は獲得費用ではないのか。
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IFRSでは、販売手数料など代理店の活動への対価は資産計上し償却するが、お客さまに直接還元する費用は売上から減じるのが原則となる。
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コンシューマの2022年度通期の販売関連費用は、期初の予想は前年対比で600億円の増加だが、第3四半期までの289億円の増加とその他から配分される追加の戦略投資を踏まえると期初予想の600億円を超えるか。
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期初予想の時点ではこれまでどおり販売関連費用を資産化し、繰り延べると考えていた。しかし、第3四半期ではお客さまへの還元を目的とした顧客還元施策の159億円を売上から直接減じた。これは費用を資産化して繰り延べるのではなく、今期に一括費用処理している。物販等売上にも一部顧客還元施策の影響が含まれており、それも足し合わせると期初の想定よりも大きくなり、その財源はその他から配分している。お客さまに対する還元を全国レベルで徹底させる点では良い施策だが、今期の損益への負担も大きいため、いろいろなバランスを考えなければいけない。なお、上記は会計上の費用計上方法の問題であるため、キャッシュ・フローには影響はない。
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2022年度の法人事業について進捗率が悪いが、会社計画の達成は見えているのか。
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正直に申し上げると法人事業の進捗は若干弱含みであるが、第4四半期、特に3月に需要の高まりがあるため、最後まで頑張りたい。一方連結全体では、その他で費用を備えることができる水準まで進捗している。今期だけではなく来期も含めて、見通しを組み立てていきたい。
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来期は法人事業の成長が加速するか。
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2022年度はご期待よりも遅れたと思うが、来期は今期より伸ばせるように現場も含めて頑張っている状況。
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2022年度営業利益予想について。その他の403億円の損失のうち、300億円ほどはコンシューマ事業、法人事業での戦略投資等に使用するとのことだが、内容を教えてほしい。
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コンシューマは顧客獲得費用が多くなる見通し。法人事業も含め、懸案事項は今期のうちに処理したいと考えている。サービスのサンセットに係る費用も若干含まれる。詳細は確定したときにお話しする。
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Zホールディングス(株)が(株)ZOZOとアスクル(株)の100%子会社化を検討していたという一部報道があったが、ソフトバンク(株)の視点で影響や経緯を解説いただきたい。
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そのような事実は聞いておらず、記事を見て驚いた。Zホールディングス(株)については、アスクル(株)、(株)ZOZOを子会社化するなどこれまでの連結の業績改善への貢献は評価しているが、ヤフー(株)やLINE(株)も含めた中核事業の成長に課題があるのではと見ていた。2023年2月2日に発表したZホールディングス(株)の経営体制変更については、中核事業の課題に正面から取り組んでいく姿勢を示しており、非常に良いことだと考えている。
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来期のPayPay(株)の業績の見通しは。
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PayPay(株)は順調に成長してきている。PayPayカード(株)は当社のコンシューマ事業やZホールディングス(株)のイーコマースなどと一体で、販売促進費を投じることになる。来期も引き続き「PayPayカード」の獲得を伸ばし、PayPay(株)も少しずつ損益を改善し成長を遂げていく方向。
基本的な考え方としては、目先の黒字化を急ぐよりも将来の成長への種まきを含めて行うことが重要と考えている。
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2022年度営業利益予想の金融事業の営業損失190億円について内容を教えてほしい。また、損失金額はPayPay(株)よりもPayPayカード(株)の方が大きいのか。
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第4四半期は獲得の機会も多い大事な時期であり、モバイルの営業活動と連動した「PayPayカード」の獲得や、「PayPay」でのプロモーションを行いたい。PayPayカード(株)の獲得費用は増え、PayPay(株)も第4四半期は一番費用がかかる時期。190億円の予想は前回から変えておらず、想定通り。
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PayPay(株)のバランスシートから分かるビジネスモデルは。
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PayPay(株)はお客さまから預かったお金でお支払いする仕組みであるため、バランスシートでは現金が多い一方、預り金も非常に大きい両建ての構造であることが特徴である。従ってこの現金は直ちに自由に使える性質のものではないが、運転資本は安定したモデルとなっている。今後、「PayPayあと払い」や金融ビジネスが拡大してくると、資産が拡大し債権流動化などの影響もあり、バランスシートは変化していく可能性がある。
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2022年度の設備投資の進捗状況について教えてほしい。
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今期の設備投資は変動したとしても2022年度の通期計画4,300億円に対して100億円程度。事業運営に支障のない範囲で、計画よりもやや少なめで着地する見通し。来期の計画3,300億円に変更はない見込み。
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