2023年3月期
決算説明会 主な質疑応答

日時 2023年5月10日(水)午後4時~5時40分
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 榛葉 淳
ソフトバンク株式会社 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 今井 康之
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • 今後どのようにARPU(1契約当たりの月間平均収入)を向上させていく考えか?

    ARPUとユーザー数の掛け算である売上高や、営業利益を重要な指標だと捉え、さまざまな施策を打っている。ARPUの向上に向けては、相対的にARPUの高い“ソフトバンク”ブランドの強化が重要だと考えている。月間10~20GBのデータを使っていただいているお客さまが“ソフトバンク”ブランドを選んでいただけるよう、「PayPay」との連携や動画サービスの展開などにより“ソフトバンク”ブランドの魅力を高めていく。また、店頭での有償のカスタマーサポートや、付加価値サービス・コンテンツなどを総合的に訴求することを通じてお客さまの満足度を高めることによって、ARPUの向上を目指していく考え。

  • 調整後フリー・キャッシュ・フローが6,000億円創出でき、配当総額が2022年度並みの4,000億円だった場合、差額2,000億円の使途はどうするのか?

    2022年度は6,186億円の調整後フリー・キャッシュ・フローを創出した。そこから財務活動によるキャッシュ・フローとして支払う基地局の賃借料等 約1,200億円を控除し、配当総額 約4,000億円を差し引いた金額が、純粋に使える資金となる。2022年度は949億円が残ったが、これは財務改善として、純有利子負債の削減につなげている。この差額をしっかり残すことは、財務改善や成長投資など、会社にとっての選択肢を増やすものだと考えている。

  • 中期経営計画の目標である2025年度の親会社の所有者に帰属する純利益5,350億円は、迫力に欠ける数字だと感じた。親会社であるソフトバンクグループ(株)に配慮して成長投資ができないということはないのか?

    親会社に気を遣って必要な成長投資ができないということはなく、経営判断は独立して行っている。今回発表した中期経営計画は、2021年春の通信料値下げの影響からしっかりと回復するという意思表明だと捉えてほしい。

  • 2025年度の営業利益目標は9,700億円としており、もう少し頑張れば1兆円に届く水準。なぜ1兆円としなかったのか?

    対外的に公表した目標は達成するのが当社のカルチャーだと認識しており、9,700億円という数字は、達成に向けて強くコミットしていく数字だと捉えてほしい。

  • 今回発表した中期経営計画で予定している設備投資3,300億円水準(2023~2025年度)には、次世代社会インフラ構築のためのデータセンターなどへの投資は含まれているのか?

    すでに東京と大阪のデータセンターは構築しているため、今回の中期経営計画期間中のデータセンターへの投資は、大きな金額にはならない見込み。

  • 中期経営計画での最も重要な目標は「親会社の所有者に帰属する純利益」だが、グループ内にはZホールディングス(株)やPayPay(株)のように少数株主がいる子会社があり、ガバナンス上、直接経営できない状況。どのようにグループ全体で「親会社の所有者に帰属する純利益」の向上につなげていくつもりか?

    「ChatGPT」に代表される生成AIの進化が非常に速く、経営環境が大きく変化しているので、グループ全体の目指す方向性を揃え、リソースを集約して連携をより深めている。また、会長の宮内が先導し、グループ会社のCEOが一堂に会する「グループCEO会議」を実施しており、さまざまなテーマで協業している。

  • 中期経営計画の中では中堅・中小企業市場の開拓に取り組むということだが、その考え方は?

    中堅・中小企業市場の開拓のためには、当社100%子会社であり流通事業を担うSB C&S(株)なども含めて強化することを検討している。当社の顧客である大企業とのパートナーシップの活用や、ウェブを使った非対面の営業を組み合わせ、シェアを拡大していきたい。

  • 「ChatGPT」に代表される生成AIについて、社内の利用状況はどうなのか?

    当社は生成AIの利用に非常に前向き。法令を遵守し、機密情報は入力しないように配慮した上で、大いに使うよう社内で働きかけている。シンギュラリティの始まりだと感じており、活用に向けたスタートラインに立たない選択肢はない。確実に取り組んでいく。以前から“LINE AiCall”という電話応対AIサービスの中で生成AI基盤を使い、コールセンターの自動化に向けた実証実験に取り組んでいる。
    最近では、グループ一体となって生成AIの活用に取り組むべきだとして大いに盛り上がっており、グループ内に「ChatGPT」をはじめとする生成AIの活用に関する検討を行う準備企画会社を設立した。

  • 最近の外部調査によると、ソフトバンク(株)のモバイルネットワーク品質の評価が高い。強みと今後の展望は?

    当社のモバイルネットワーク品質に対する評価が高まっていることをうれしく思う。エリアをメッシュ状に区切り、メッシュごとの通信品質を経営会議の議題とし、経営陣自身が状況を把握しながら改善を進めている結果だと受け止めている。今後は5G SA(Stand Alone)への切り替えを行っていく。緻密な作業になるがやり遂げていきたい。

  • NTTグループが掲げる“IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)構想”をどう評価しているか?

    “IOWN構想”は消費電力の効率化をテーマの一つにしていると理解しており、非常に評価している。日本は電力が潤沢にある国ではないので、今後のデジタル化社会を見据え、企業の垣根を超えて連携・共創しなければならないと思っている。