2023年3月期
投資家向け説明会
主な質疑応答

日時 2023年5月10日(水)午後6時~7時
登壇者 ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
ソフトバンク株式会社 執行役員 財務経理本部 本部長 内藤 隆志
ソフトバンク株式会社 財務戦略本部 本部長 秋山 修
  • モバイルの総合ARPUの見通しは。

    2022年度の総合ARPUは前期比220円の減少であり、2023年度は前期比170円の減少となる見込み。2022年度は月月割の改善が40円程度あったが、2023年度以降はそれがなくなるため、減少幅が縮小する。“ソフトバンク”ブランドを強化する取り組みなどを実施し、2025年度に向けて件数の増加とともにモバイル売上の拡大を目指していく。

  • モバイルの獲得件数が増えて順調とのことだが、解約率も増加している。件数の獲得が事業成長に寄与しているか。

    携帯電話番号ポータビリティ(MNP)の件数は非常に好調。過去に獲得に力を入れた反動による解約率の悪化が一部あるが、純増は改善している。当社グループには、スマートフォンに関連したサービスを提供している企業が多数あり、モバイルの獲得件数を増やすことが、「PayPay」や「Yahoo!ショッピング」などといったグループシナジー基盤の強化に非常に重要であると考えている。

  • 通信業界の現在の厳しい環境下において、中期経営計画におけるコンシューマ事業の2024年度以降の年100万件水準のスマホ純増継続は、どのブランドや施策で達成を目指すのか。

    現在“ワイモバイル”の獲得が好調でスマホ純増に大きく寄与しており、引き続き“ワイモバイル”で獲得を進めていく。さらに、利用トラフィックの増加に伴い、高付加価値サービスを提供する“ソフトバンク”へお客さまを誘導できる取り組みを強めている。契約数の増加に加え、単価の向上にも合わせて注力し、モバイル売上の拡大に取り組んでいく。年間スマホ純増100万件水準は最低限達成したいと考えている。

  • 2023年度のコンシューマ事業の営業利益予想について。顧客獲得が順調なことに加えARPUの減少幅が小さくなっている。固定費や外注費コスト削減を考慮すると、営業利益予想値7,800億円よりも増益を期待できるのではないか。

    コンシューマ事業について、以前から大きく状況は変わっていない。2023年度は、通信料値下げの影響を500億円見込んでおり、電気代高騰などもあるが、値下げの影響はコスト削減でカバーできるよう取り組んでいる。一方で、2022年度は獲得を積極的に進めた結果、非常に順調な伸びを見せていることから、2023年度も同等程度の獲得に向けた費用を想定している。

  • 2022年度の第3四半期、第4四半期で実施した顧客獲得費用による支出は、2023年度も発生するか。

    2023年度は、資産計上し償却する(繰延)部分と売上から減額する分を合算した顧客獲得費用という意味において、2022年度と同規模の費用を見込んでいる。

  • 2023年度の販売関連費の繰延影響は。

    2022年度は、期初予想の時点で約400億円の見通しであり、うち300億円程度は過去の費用の資産化影響のため、想定通りであった。2023年度の販売関連費の繰延影響は、2022年度の第3四半期、第4四半期に実施した顧客獲得施策による売上高からの減額(一括費用処理)の影響もあり、悪化幅が縮小する見込み。

  • 金融事業の黒字化の時期は。

    2025年度までの黒字化を目指している。「PayPay」は給与デジタル払いや新NISAなどの事業機会も多くあるため、しばらくは費用をかけることもあり得ると見込んでいる。

  • 金融事業に関連する各社の資本関係についてはまだ発展途上の段階か。2025年度までの中期経営計画中で、資本関係についてはどのような前提で織り込んでいるか。

    金融事業についてはPayPay(株)が中心であり、現在の勢いと顧客基盤を活かせる取り組みを検討している。資本関係についてはパートナーとの関係もあり、当社だけで決められる話ではないため、資本関係の整理を中期経営計画の前提として織り込んではいない。

  • 2023年度セグメント別営業利益予想のその他の営業損失252億円について、詳細を教えてほしい。

    主に研究開発費の増加や、その他子会社関係で備えている部分も一部ある。

  • 自己株式の取得枠1,000億円について。

    自己株式の消却を目的として実施する。株価によって金額が変動するため、取得価格と取得株式数でそれぞれ上限を設定している。

  • 今後、業績が上振れれば追加の自己株式の取得の可能性はあるか。配当額は現状の水準を維持すると考えてよいか。

    2024年度以降の方針について決まっていることはないが、当社の配当への期待の高さも理解しており、一方成長投資はどうするのかといったご意見もある。今後の経営の選択肢を増やしていくべく、まずは利益の拡大に重点を置き取り組んでいく方針。

  • 生成AIに関連した戦略等について教えて欲しい。

    生成AIに関連した取り組みについては、当社がやらなくてはならないという強い思いがある。テクノロジーには常にオープンでありたい。テクノロジーの転換期にどのような判断をして取り組んできたかがソフトバンク(株)の原型を作り出した歴史でもある。まだ流動的な話でもあり現時点で話せることは限定的であるが、非常に大事な時期だと捉えていることはご理解いただきたい。