2024年3月期 第2四半期
決算説明会 主な質疑応答

日時 2023年11月8日(水)
午後4時~5時25分
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • 純利益の進捗率が高いが、今後業績予想の上方修正の可能性はあるか?

    何も決まったことはないが、上期の業績は期初想定よりも順調であるため、下期は様々な選択肢がある状況。今後の成長に向けて、下期に販促費を投下し、積極的に動く可能性もある。

  • 社債型種類株式を発行したが、手ごたえは?

    第1回社債型種類株式の発行は上手くいったと考えている。しかし、上場したら終わりではなく、調達した資金を有効活用し、当社の成長に繋げる必要があると考えている。また、社債型種類株式により自己資本を拡充することができたため、資本剰余金に加えて、財務基盤を強化するための一種の保険のような形でバランスシートを整えることもできた。皆さまにご安心いただける財務基盤を作りつつ、同時に実力もつけていきたい。

  • ソフトバンク(株)の単体純利益が配当支払額を上回る水準にまで回復する時期と、その方策についてどう考えているか?

    配当政策に係る意思決定を行う際には常にソフトバンク(株)単体の自己資本を意識している。余裕のある子会社の資本活用なども含めて、ソフトバンク(株)単体の自己資本を充実させるための手は既に打っている。営業利益・純利益が回復する姿を早期にお見せしてご安心いただけるようにしていきたい。

  • 「ペイトク」の進捗状況はどうか?

    「ペイトク無制限」が好調。勢いがあると感じている。

  • 今後のARPUの見通し、および2023年10月に導入した新料金プランの影響は?

    新料金プランは、ARPUの見通しに対してポジティブな影響を与え、下げ止まり横ばいで推移する時期が来ると見ている。純増が順調に維持されれば、ARPUよりも先にモバイル売上高の回復が見えてくるだろう。

  • 現在のエンタープライズ事業の位置づけと今後の方向性は?

    当社が目指す「次世代社会インフラ」の実現を推進する部隊として、エンタープライズ事業が寄与してくれると期待している。2023年度は営業利益1,500億円を突破することを目標に掲げており、業績は順調に推移している。社内では、この先一段と高い目標を掲げており、その達成に向けて引き続きまい進していく。

  • PayPay(株)の上場に対する考え方は?

    上場を目指していることは事実だが、何も決まっていない。そのためにガバナンスの強化に取り組んでいるが、金融ビジネスにとってその強化は大変有用と考えている。事業自体は非常に順調。上場は急いでおらず、企業価値を顕在化させるための有力な選択肢である。

  • PayPay(株)の上場先についての考え方は?

    意思決定はPayPay(株)の取締役会が行うこと。一般論として、上場するのであれば最も企業価値が評価されるベストな市場を選択することになる。

  • ソフトバンク(株)としての生成AIの勝ち筋をどう考えているのか?

    海外には「GPT-4」相当の生成AIがあり、今後もっと進歩していくだろう。当社は、その開発競争に割って入ろうと考えているわけではない。
    特定の作業のみに使えるような、「知識」を持った生成AIは既に日本にもある。しかし、さまざまな情報を関連づけて答えを出す「知恵」を持った生成AIは現状の日本にはない。そのため、生成AIの「知恵」を活用したい場合には、輸入に頼ることになる。日本独自の文化・歴史・商慣行・言い回しなどを踏まえた生成AIを国内で持ち、輸入だけに頼らない構造を作りたいと考えている。当社は挑戦するチャンスと人材、資金があるので、できる限りチャレンジしようというポジションである。

  • 自社開発した生成AIをどのように収益化するのか?

    米OpenAIなどが提供しているようなコンシューマ向けのサブスクリプションモデルではなく、BtoB向けのソリューションとしての提供を検討中。どのようなソリューションにするかは社内の業務で使ってから判断したい。最終的には出来上がったサービスを販売するコンサルティング業務でマネタイズしていきたい。この事業からの収益は、エンタープライズ事業の営業利益にも今後寄与してくれると期待している。

  • 日本電信電話(株)(以下、NTT)が「日本電信電話公社(以下、公社)時代の資産は政府を含む株主に帰属する」と主張しているが、どのように受け止めているか?

    詭弁にすぎないと考えている。NTTは持株会社として、税金をもとに整備した資産を公社から継承し保有・運用している東日本電信電話(株)と西日本電信電話(株)(以下、NTT東西)の株式を100%保有している。このような資産を保有・運用していることの重要性や当事者意識が希薄なのであれば非常に残念だ。
    NTT法は、NTTとNTT東西に対して、公社時代の資産を引き継ぐ代わりに、国の監督の下、あまねく全国の通信を担保するという公益的な責務などを課した法律である。時代にそぐわない規制を変更するために法律を改正するのではなく、撤廃する方向で議論するのであれば、自民党のプロジェクトチームなどで議論するのではなく、広く国会で議論していただきたい。
    これまで通信事業者同士、競争しつつも通信業界の発展に向けて協力し合ってきたが、NTTとNTT以外の電気通信事業者等の意見が対立しているこの状況は遺憾である。一方的に誰かが決めるのではなく、きちんと議論をした上で進まなければ、長期的に禍根を残すことになると思う。

  • 楽天モバイル(株)にプラチナバンド(700MHz帯・3MHz幅×2)が割り当てられたがどのように受け止めているか?

    楽天モバイル(株)は、10年間合計で544億円の設備投資を行うという計画を発表したが、寂しい計画という印象だ。われわれが2012年3月にプラチナバンド(900MHz帯・15MHz幅×2)を初めて獲得した際には、2012年度から2014年度の3年間に総額で約2兆円の設備投資を行なった。その後もネットワークの細かな調整作業を続け、お客さまに満足いただけるようになった経緯がある。
    楽天モバイル(株)のプラチナバンドサービスは2026年3月開始だと発表されている。楽天モバイル(株)とKDDI(株)が契約したローミング契約は2026年9月末までであり、無期限ではないと認識している。つまり、プラチナバンドサービス開始から半年間でKDDI(株)とのローミング契約がなくても問題ない体制を作るという意図だと認識している。最初は苦労があると思うが、割り当てられたプラチナバンドを生かすため、一生懸命取り組んでいただきたい。

  • 総務省が「モバイル市場競争促進プラン」を発表し、携帯端末の割引額の上限を見直したがどのように受け止めているか?

    顧客の流動性や5G普及の妨げにならないよう、もう少し積極的でも良かったように思ったが、極端な廉価販売や転売を抑止するという観点では新ルールは妥当である。