2024年3月期 第2四半期
投資家向け説明会
主な質疑応答

日時 2023年11月8日(水)午後6時~7時
登壇者 ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
ソフトバンク株式会社 執行役員 財務経理本部 本部長 内藤 隆志
ソフトバンク株式会社 執行役員 財務戦略本部 本部長 秋山 修
ソフトバンク株式会社 経営企画本部 副本部長 佐々木 雄大
  • 2023年度上期の営業利益の進捗について教えてほしい。また、上期の好調は通期でも続くのかの見通しを教えてほしい。

    上期はどの事業も強含みで来ている。メディア・EC事業は、LINEヤフー(株)の統合や「PayPay」IDの連携を進める事で、さらなる成長の機会があるとみている。ファイナンス事業も、カードなどのサービスの提供環境が整うことで、さらなる伸びを期待している。また、コンシューマ事業については、「ペイしてトクする新料金プラン(ペイトク)」に関連したキャンペーン施策を強化しているが、これらの影響を加味しても十分、強含みと言える状態。いずれにせよライフタイムバリュー(LTV)と獲得費のバランスを常に意識しながら販促費の投入の意思決定をしていく。

  • コンシューマ事業の主に端末に関する売上と原価の関係性、利益の推移について教えてほしい。

    端末の原価はメーカーからの値上げに伴い、小売価格も上がっており、通常の推移となっている。売上については、端末の価格見直しも含めたさまざまな販売促進の施策を実施したことが影響。

  • 獲得関連費用について、2023年度下期も前期同様(モバイル売上高から減じる)顧客獲得施策の実施はあるか。また、来期以降の業績影響について教えてほしい。

    上期はほぼ予定通りないしはそれ以上に進捗していることから、下期も昨年同様の獲得施策を実施することは選択肢の一つ。全ての事業において成長機会があり、LINEヤフー、PayPay、モバイルは需要期である下期には販売活動を強化する予定だが、2024年度への負担がないよう慎重に意思決定していく。

  • 2023年度通期モバイルの総合ARPUの低下幅の見通しが170円から130円になった要因は何か。また今後の見通しは。

    主な要因は、音声や国際ローミング、さらにお客さまへのサポートサービスの積み上げによる貢献もあった。コロナ明けでお客さまの動きに変化が出てポジティブな影響が出ており、新しい料金に対する期待も含めて、さらに改善が進んでいくことを期待している。今後のARPUの方向性については、今期通期で△130円程度下落したのち、概ね横ばいぐらいで推移するとみているが、新料金の動向も見定めていきたい。

  • コンシューマ事業のでんきについて、今期の第2四半期の実績は原価の改善影響が大きいのか。また、前四半期比ではどのくらい改善しているのか。

    売上が減少し原価が改善しているように見えるが、実態は売上の改善の要素が大きい。2022年11月に燃料費調整額の上限を撤廃したため、前年同期比という観点では、この要素が影響している。さらに、2023年6月には実勢に合わせた料金の見直しを行った。前年同期比では第1四半期がマイナス20億円だったのに対し、第2四半期ではプラスの80億円ほど改善し、上期では60億円ほどの改善となっている。でんきは通期で利益貢献できるよう構えができており、非常に安定してきている。

  • ARPUの変動において、ブランド間の動きやプランの変更による影響と「ペイトク」の会計処理やARPU寄与について教えてほしい。

    “ワイモバイル”が引き続き強い中で“ソフトバンク”が活気づいている印象。従来は“ソフトバンク”から“ワイモバイル”に移るお客さまが多数いたが、現在では“ワイモバイル”から“ソフトバンク”に移り定着いただけるお客さまも増えており、収支は改善傾向。「ペイトク」の会計処理については、PayPayポイント付与分はモバイル売上の値引きとして処理され、ARPUには含まれない可能性があるが、次の第3四半期決算の報告で詳細は説明予定。

  • スマートフォン解約率は前年同期比で悪化しているが、サービスの重畳による解約率改善は寄与しているのか。

    サービス利用が重なれば解約率は改善するのは間違いなく、改善に寄与している実感がある。一方で、業界全体で流動性が高まっており、解約率の悪化要素になっている。サービスの重畳利用が軽減要素となり、解約率は横ばいから若干の増加傾向になっている。今後もグループサービス利用拡大を推進し、解約率の改善へと導いていきたい。

  • LINEヤフー(株)の2023年度第2四半期決算発表内容(特に経営資源配分など)に関連して、親会社としてどのような取り組みや対応をしてきたのかについて教えてほしい。また、ID連携に係る事業面でのサポートなど今後の展開を教えてほしい。

    マネジメントのあり方や経営統合の決断には、親会社としてもその方向をサポートする形で一体となって推進した。またID連携に関しては、ソフトバンクとヤフーIDは従前より連携し様々な取り組みをしてきている。今後はPayPayも含めたLYPプログラムを拡販していくことになるが、ソフトバンクも一体となりグループ間の連携を強化することでシナジーを創出し、解約率の低下や顧客獲得にも繋げていきたい。

  • LINEヤフー(株)が2023年度から3年間のキャピタル・アロケーション方針を発表した件について、ソフトバンク(株)ではどのように考えているか。特にLINEヤフー(株)による自己株式取得については、親子間の特別な税制が適用されるメリットもあると思うがどうか。

    LINEヤフー(株)による自己株式取得は1つの選択肢ではあるが、事業等のつながりを考えるとLINEヤフー(株)に対する現在の経済的持分比率(約32%)は少ないと考えている。一方で、LINEヤフー(株)のプライム市場上場維持のための流動性比率の問題も認識しており、このために自己株式取得を利用する可能性もありうる。いくつかの選択肢は持っておきたい。

  • PayPay(株)の業績に関して、2四半期連続で連結EBITDAが黒字だが、今後赤字になる可能性はあるか。

    四半期単位では再度赤字になる可能性はあるかもしれないが、通期の黒字へのこだわりも持っていると思う。ただし、大きな成長の機会があれば、その方向に舵を切ることもあり得るので、バランスを保ちながら意思決定することになると思う。

  • 第2四半期だけで子会社の支配喪失に伴う利益が50億円あるが、どこのセグメントに含まれるか。

    特定のセグメントに含まれていない「その他」に属するSBテクノロジー(株)が子会社(フォントワークス(株))の株式を売却したことにより50億円プラスが出た。これは期初においては想定していなかった。

  • 2023年度通期のセグメント別営業利益予想の「その他」に252億円の損失を見込んでいる要因は何か。

    「その他」の損失は、昨年度において営業内・営業外ともに一時的な損失が多かったことなども鑑みて少し保守的に構えている。ただ、当年度の期初予想との比較においては、想定外のプラス要素もあり、若干の余裕が生まれている。「ペイトク」など新料金の浸透なども視野に入れ最終化する想定。