2024年3月期 第3四半期
決算説明会 主な質疑応答

日時 2024年2月7日(水)
午後4時~5時30分
登壇者 ソフトバンク株式会社 代表取締役 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦
  • ソフトバンク(株)の2023年度通期の単体純利益が前年比で1,000億円前後増加する見込みだという説明だったが、増加する要因は何か?2024年度・2025年度の単体純利益の見通しは?

    2023年度に増加すると見込んでいる1,000億円前後は、これまで受け取っていなかった子会社からの配当が含まれる。そのほか、繰越欠損金の活用も一部含まれている。
    2024年度以降も子会社からの配当を見込んでいることに加えて、使い切れていない繰越欠損金の活用もあるため、単体純利益は改善の方向に進むと見ている。2023年度水準の配当総額を上回る単体純利益を継続することは可能だと考えている。
    配当に関する議論を行う際は、連結純利益が配当総額以上であること、稼いだフリー・キャッシュ・フローで配当を支払えること、配当可能利益があることを念頭においているのでご安心いただきたい。

  • モバイル売上高の反転が中期経営計画で発表した見通しより1年早まった要因は?

    当社は以前から、契約数の増加とARPU向上の両方に注力し、それらを掛け合わせた全体の面積とも言える、モバイル売上高を拡大させることを目指してきた。ARPUの減少に歯止めがかかるなかで、契約数の拡大が上手く行っている。

  • ARPUの減少幅の縮小要因としては、「ペイトク」や「メリハリ無制限+」の影響が大きいのか?

    第3四半期単体でみると、2022年度は対前年で210円ARPUが減少したが、2023年度は100円の減少にとどまっており、減少幅が縮小している。定量的にはお伝えできないが、「ペイトク」や「メリハリ無制限+」はお客さまから好評をいただいており、ARPUの押し上げ要因の一部となっている。

  • LINEヤフー(株)のプライム上場維持についての考え方は?また、今後LINEヤフー(株)はどのように成長してほしいと期待しているか?

    LINEヤフー(株)が「プライム上場を維持することは重要である」と考えていることは当社として理解している。協力していく意思はあるので、継続的に対話をしていく予定。
    LINEヤフー(株)は各分野でNo.1のサービスを有する会社。思い切って色々とチャレンジし、「LINE」らしさ、「Yahoo! JAPAN」らしさを出せば成長に繋がっていくと期待している。

  • PayPay(株)の営業利益ベースでの黒字化の時期や、上場についての考え方は?2024年度中の上場を見込んでいるのか?

    2023年度通期でのPayPay(株)の連結EBITDAの黒字化は射程距離に入っている。同社の減価償却費は大きくないので、営業利益の黒字化についても十分な手応えを感じているが、営業利益ベースでの黒字化の時期についてはコメントを控える。
    同社の上場については何も決まっていない。上場は企業価値を顕在化させるための重要な選択肢。PayPay(株)は、決済分野では「敵なし」というところまできたと思っている。引き続き加盟店向け付加価値サービスや金融サービスを成長させつつ、上場のタイミングを見計らっていきたい。

  • Cubic Telecomのビジネスは、KDDI(株)と競合している。狙いや勝算は?

    Cubic Telecomのプラットフォームの構造は、KDDI(株)と異なっていると認識している。通信キャリアが提供する自動車向けのIoTプラットフォームは国ごとに構築されることが多い。一方で、Cubic Telecomは190カ国以上で利用可能な共通の自動車向けIoTプラットフォームを提供している。このプラットフォームを利用している自動車メーカーは、国ごとの煩雑な契約手続き等がなくとも、様々な国ですぐにコネクテッドカーのサービスが提供できるようになる。これまでの通信キャリアとは違う切り口であり、非常に将来性があると評価している。

  • Cubic Telecomへの出資を発表したが、この分野でのさらなるM&Aは考えているのか?

    今のところ具体的な案件はないが、良いものが出てきたら検討したい。

  • 「新トクするサポート(バリュー)」の狙いは?ユーザーや総務省からの反応は?

    事業法改正により、端末が買いづらくなる可能性があったので、お客さまのニーズにお応えするための施策として導入した。また、5G対応端末の普及を促進したいという思いもある。お客さまからの反応は良好。総務省からも特にネガティブな反応は出ていない。

  • 能登半島地震による業績への影響は?

    業績への影響は、2023年度に約20億円前後と見積もっている。この影響は今回発表した上方修正に織り込み済みである。

  • KDDI(株)が(株)ローソンへ出資した件についてどのように受け止めているか?

    思い切った判断をされたと驚いているが、当社の方向性とは異なると感じている。当社が目指す経済圏は、利用している通信キャリアを限定しない、オープンなもの。また、特定の小売事業者のデジタルトランスフォーメーション(DX)よりも、日本の小売業界全体のDXを目指していきたいと考えている。

  • 賃上げに対する考え方や背景、対象者は?

    定期昇給・ベア・一時金と合わせて、2022年度の5.4%を上回る5.5%を目指して調整している。また、今後ストックオプションを活用することで、社員と一体となって企業価値向上に取り組む構造を作っていきたい。
    対象は当社の直雇用者である約2.4万人を予定。賃上げの背景は、物価上昇を始めとする経済状況や政府からの賃上げ要請、そして社会情勢を考慮し、社員が安心して働ける環境を整えるためである。

  • 衛星との干渉緩和に伴い、KDDI(株)は2024年度から5G専用周波数(Sub-6)の出力を拡大し、首都圏で5Gエリアを一気に拡大すると発表している。ソフトバンク(株)においても同様の計画はあるのか?

    当社も同様に、出力を拡大することが可能になる見込み。結果として、首都圏での通信環境がさらに改善されると期待している。

  • 前回の決算説明会で、楽天モバイル(株)に割り当てられたプラチナバンド(700MHz帯・3MHz幅×2)の展開を支援しても良いというメッセージを発していたが、その後何か進捗はあるのか?

    現場レベルでは何度か議論を行っているが、大きな進展はない。楽天モバイル(株)が取得したプラチナバンドは大変貴重な周波数帯であるため、割り当てられた以上はしっかりと整備してほしいと思っている。それが電波の有効利用であり、MNOの責務だと捉えている。引き続き協議は続けていきたい。

  • NTT法に関する最近の状況をどう受け止めているか?

    NTT法の廃止が「2025年度ありき」という風潮になっていることに違和感を覚える。今後、総務省内で公正競争、ユニバーサルサービス、経済安全保障に係る3つのワーキンググループが立ち上がり、これから本格的に議論が始まる。その中で、当社としても懸念点を主張していきたい。また、もしNTT法を廃止し、他の法令等で代替するのであれば、それが本当に機能するのか、細かくチェックしたいと考えている。
    国家の存続のためにも、日本電信電話(株)(以下、NTT)が保有する特別な資産がリスクにさらされることがないよう、あるべき制度について丁寧に議論していきたい。

  • IOWNグローバルフォーラムへの参加についてどう考えているか?

    IOWNの構想自体には賛同している。詳細はお話しできないが、グループ全体でおこなっている様々な技術開発に制約が生じうる契約上の課題があるため、現状では参加していないが、ソフトバンク(株)単体ではいつでも参加できる状況である。一方で、NTT法廃止に係る議論があり、状況が複雑になっていると感じている。

  • スマホと衛星の直接通信(モバイルダイレクト)については検討しているか?能登半島地震で衛星通信が活躍したが、モバイルダイレクトの活用についての心境の変化はあるか?

    心境の変化は大きくあった。当社としてもモバイルダイレクトの可能性を追求していきたい。衛星を持っている会社とは、あらゆる角度で議論を進めている。衛星でできることと、HAPSでできることは少し異なるため、両軸で並行して取り組んでいきたい。