2024年3月期
決算説明会 要旨

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日時 2024年5月9日(木)午後4時~5時35分
登壇者 ソフトバンク株式会社 取締役会長 今井 康之
ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一
ソフトバンク株式会社 代表取締役 副社長執行役員 兼 COO 榛葉 淳
ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦

要旨

決算説明会では、「2024年3月期 連結業績」および「2025年3月期 連結業績予想」に加え、「2025年3月期 連結業績予想および中期経営計画の目標についての考え方」、「中期経営計画における目標に対するセグメント別の進捗」、「次世代社会インフラの構築に向けた進捗」、「ESGに係るアップデート」について、社長の宮川より説明しました。

1. 2024年3月期 連結業績

全社業績

  • 2024年3月期の売上高は6兆840億円、前年比3%増。4事業(エンタープライズ/ディストリビューション/メディア・EC/ファイナンス)が増収。
  • 営業利益は8,761億円、前年比14%増※1。コンシューマ事業を含む全報告セグメントが増益。エンタープライズ/メディア・EC事業が2桁増益。
  • 親会社の所有者に帰属する純利益(以下「純利益」)は4,891億円、前年比45%増※1
  • 売上高、営業利益、純利益のいずれも、上方修正後の連結業績予想(2024年2月発表)を上回って着地。
  • 調整後フリー・キャッシュ・フロー※2は5,328億円。Cubic Telecom Ltd.(以下「Cubic Telecom」)への出資(675億円)、およびSuperPOD等生成AI関連に対する投資(73億円、第1回社債型種類株式で調達した資金から充当)を除けば、2023年3月期並の高水準の調整後フリー・キャッシュ・フローを創出。
  • 普通株式一株当たり配当金は期初予想通り、期末43円※3を予定(年間86円)。

2. 2025年3月期 連結業績予想

  • 2025年3月期の連結業績予想、およびセグメント別営業利益予想は以下の表の通り。
  • 2024年3月期に計上した一時要因(訴訟に係る引当金の戻入)+90億円を除いたエンタープライズ事業の増益額は前年比114億円、増益率は同7%を見込む。
  • 生成AI等への成長投資により、「その他」として-610億円(前年比-552億円)を見込む。
  • 普通株式一株当たり配当金は年間86円※4を予想。高水準の還元を継続予定。
2024年3月期
実績
2025年3月期
予想
増加額 増減率
売上高 6兆840億円 6兆2,000億円 +1,160億円 +2%
営業利益 8,761億円 9,000億円 +239億円 +3%
親会社の所有者に帰属する純利益 4,891億円 5,000億円 +109億円 +2%
2024年3月期
実績
2025年3月期
予想
増加額 増減率
コンシューマ 4,955億円 5,300億円 +345億円 +7%
エンタープライズ※5 1,672億円 1,700億円 +28億円 +2%
ディストリビューション 262億円 280億円 +18億円 +7%
メディア・EC 1,980億円 2,300億円 +320億円 +16%
ファイナンス -50億円 30億円 +80億円
その他※5 -58億円 -610億円 -552億円
全社計 8,761億円 9,000億円 +239億円 +3%

3. 2025年3月期 連結業績予想
および中期経営計画の
目標についての考え方

  • 2023年5月に発表した中期経営計画において、2026年3月期の営業利益目標を9,700億円と公表。
  • 2024年3月期において、コンシューマ事業、メディア・EC事業を中心に事業が順調に推移した結果、実力ベースでは、2025年3月期に9,300億円強、2026年3月期に1兆円強レベルの営業利益の創出が可能に。
  • 次期中期経営計画期間におけるさらなる成長に向け、上振れた利益を生成AI等への成長投資に振り向けることを決定。現行の中期経営計画の達成と次期中期経営計画に向けた成長投資の両立を目指す。
  • 日本語に特化した1兆パラメーターのLLM(大規模言語モデル)の構築に向けて、約1,500億円を投じてAI計算基盤を拡張することを発表。今後市場の急速な拡大が見込まれる生成AIの領域において、マーケットリーダーのポジションの確立を目指す。
  • 加えて、生成AIを活用したソリューションの開発を推進。日本マイクロソフト(株)と共同で、コールセンター業務の自動化ソリューションの開発を開始。自社コールセンターへの導入に加え、将来的には法人顧客向けの外販も検討。

4. 中期経営計画における
目標に対する
セグメント別の進捗

  • セグメント別の中期経営計画における目標および進捗は以下の表の通り。
中期経営計画に
おける目標
(2024年3月期~2026年3月期)
2024年3月期に
おける進捗
コンシューマ事業 モバイルサービス売上:
2024年3月期を底に反転
1年前倒しで、2024年3月期に増収反転を達成
セグメント営業利益:
2023年3月期を底に反転
上方修正後(2024年2月発表)の2024年3月期 営業利益目標を上回り達成
エンタープライズ事業 ソリューション等売上高:
年平均成長率2桁成長
前年比16%増
セグメント営業利益:
年平均成長率2桁成長
前年比13%増※6
ディストリビューション事業 セグメント営業利益:
300億円(2026年3月期)
2024年3月期 262億円(前年比8%増)
メディア・EC事業 事業効率化と2025年3月期以降のメディア・検索・コマース事業の再成長 事業の選択と集中やコスト最適化により、営業利益が前年比24%増
ファイナンス事業 セグメント営業利益:
2026年3月期までに黒字化を目指す
赤字が大幅に縮小
2025年3月期に黒字化を目指す

セグメント別の成長戦略の進捗

1. コンシューマ事業

  • 2024年3月期のスマートフォン契約数は147万件の純増。
  • ARPU(1契約当たりの月間平均収入)の向上に向け、新たな付加価値サービスの提供や、「PayPay」と連携した新プラン「ペイトク」の提供を開始。
  • グループ経済圏の拡大に向けた取り組みの一環として、株式分割(1対10)※7の実施と、株主優待(「PayPayポイント」1,000円分を贈呈)※8を実施する方針を発表。
  • 5G展開の早期化と設備投資効率の最大化に向けてKDDI(株)との協業を更に拡大。2030年に共同構築の基地局を累計で10万局※9にするとともに、CAPEX削減効果1,200億円※9を目指す。

2. エンタープライズ事業

  • 今後の成長に向けた新領域(生成AIサービス・データセンター・クラウド)の取り組みを説明。
  • 2024年4月25日にSBテクノロジー(株)の完全子会社化を発表。同社の豊富なエンジニアリソースと高い技術力を結集し、シナジーでエンタープライズ事業の成長を加速。
  • 本田技研工業(株)が、Cubic Telecomが提供するグローバルIoTプラットフォームの導入検討で合意。対象地域は北米地域および中国を除く全世界(約70カ国・地域)。Cubic Telecomは、当社とのシナジーにより、2030年度末に1億超の契約回線数を目指す。

3. メディア・EC事業

  • 「LYPプレミアム」の魅力拡充/「LINE」リニューアル/「Yahoo! JAPAN」アプリリニューアルなどでサービスの起点を強化し、検索や広告、コマース等、各サービスの成長を目指す。
  • LINEヤフー(株)の資本関係見直しに向けてNAVER Corporationと協議中。

4. ファイナンス事業

PayPay(株):

  • 2024年3月期の連結決済取扱高は前年比22%増の12.5兆円、同期末の「PayPay」の累計登録ユーザー数は6,304万人。
  • 連結EBITDA※10は98億円。通期で初めて黒字化を達成。
  • 金融サービス多様化の一環として、「PayPay資金調達」の提供を開始。

SBペイメントサービス(株):

  • 2024年3月期の決済取扱高(GMV)は8.0兆円。前年同期比19%増。中期経営計画で掲げた目標(GMVの2023~2025年度 年平均成長率15%超)を上回って推移。

5. 次世代社会インフラの構築
に向けた進捗

  • 2024年2月に「AI-RANアライアンス」を設立。AIを活用した新たな通信プラットフォームの創出を目指す。

6. ESGに係るアップデート

  • 継続的な企業価値の向上に向けたガバナンス強化の一環として、取締役構成の変更を予定。社外取締役比率を過半に引き上げ、独立性を強化。
  • 2024年3月期の自社使用電力※11に占める実質再生可能エネルギー比率は48%。中期経営計画で掲げた目標(2026年3月期までに50%、2031年3月期までに100%(うち、半分以上を再生可能エネルギーによる発電から調達))に対して、順調に推移。
[注]
  1. ※1
    2023年3月期 第3四半期に計上したPayPay(株)の子会社化に伴う再測定益を除く
  2. ※2
    調整後フリー・キャッシュ・フロー=フリー・キャッシュ・フロー+(割賦債権の流動化による調達額-同返済額)。Aホールディングス(株)、LINEヤフーグループ、Bホールディングス(株)、PayPay(株)、PayPayカード(株)、PayPay証券(株)、PPSCインベストメントサービス(株)のフリー・キャッシュ・フロー、役員への貸付などを除き、Aホールディングス(株)からの受取配当を含みます。財務活動によるキャッシュ・フローとして計上されるリース負債の返済による支出(通信設備・不動産賃借料等)控除前。2023年度の実績は1,184億円です。
  3. ※3
    2024年3月期の期末配当は、2024年5月17日に開催予定の当社取締役会に付議予定です。
  4. ※4
    2024年6月20日に開催予定の当社第38回定時株主総会において定款変更に関する議案が承認可決されることを条件に、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき10株の割合をもって分割する予定です。2025年3月期予想については、当該株式分割を考慮しない金額を記載しています。
  5. ※5
    2025年3月期より、「その他」に区分されていたSBテクノロジー(株)、サイバートラスト(株)等を「エンタープライズ事業」に移管します。これに伴い2024年3月期の「エンタープライズ事業」および「その他」の数値を遡及修正しています。なお、この遡及修正値は精査中です。
  6. ※6
    2024年3月期に計上した訴訟に係る引当金の戻入(90億円)を除いて算出
  7. ※7
    2024年9月30日を基準日として、同日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の所有する普通株式1株につき10株の割合をもって分割します。2024年6月20日に開催予定の当社第38回定時株主総会において定款変更に関する議案が承認可決されることを条件とします。
  8. ※8
    毎年3月31日(基準日)現在、同一の株主番号で当社株主名簿に1年以上継続して記載または記録されており、かつ、当社普通株式を100株(1単元)以上保有されている株主を対象とします。なお、「1年以上継続して記載または記録」とは、同じ株主番号で3月末日および9月末日時点の当社株主名簿に、3回以上、連続で記載または記録されていることとします。2026年3月31日現在の株主名簿に記載または記録された当社普通株式100株(1単元)以上を保有する株主を対象に開始します。
  9. ※9
    2021年3月期から2031年3月期の累計
  10. ※10
    PayPay連結ベース、営業利益に減価償却費および固定資産除却損を足したEBITDA(各年度12カ月分含む)、IFRS。非監査。
  11. ※11
    ソフトバンク(株)およびWireless City Planning(株)の合計