2026年3月期 第1四半期
決算説明会 主な質疑応答
| 日時 | 2025年8月5日(火)午後4時~5時3分 |
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| 登壇者 | ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一 ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦 |
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モバイルサービスの料金プラン(以下、料金プラン)を据え置いているが、その狙いは。今後、料金プランを見直す可能性はあるのか。
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業界の健全な発展のためには、料金プランの見直しが必要だと考えており、さまざまな検討を行っている。お客さまの反応や市場動向を見ながら、適切な時期に適切な料金プランの見直しを行う予定。お客さまの納得感を重視し、慎重に判断したい。
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他社が料金プランを改定したことで、ソフトバンク(株)の獲得に追い風が吹いていると言われているが、引き続き料金プランを改定する気持ちに変わりはないか。
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気持ちは全く変わっていない。
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KDDI(株)が一部の低価格プランを廃止した背景には、契約してから短期間での解約があったからだと聞いている。“ワイモバイル”や“LINEMO”での解約の状況は。
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“ワイモバイル”と“LINEMO”でも、SIM単体契約での短期解約者が一定数いるため、他社と同様の課題だと認識している。対策を講じることで状況は改善傾向にあるが、解約率の水準は他社並みである状況は変わっていない。
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今後の低価格プランのあり方をどう考えているか。
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今後もご加入いただきやすいプランを提供していくという現行の方針を大きく変える予定はない。“ワイモバイル”を通じて多くのユーザーを獲得し、“ソフトバンク”への移行(アップセル)を促す仕組みはうまく機能している。実際に、“ワイモバイル”および“LINEMO”から“ソフトバンク”への移行収支は、2025年度 第1四半期もプラスだった。
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他社が料金プランを改定した影響は。“ワイモバイル”が一人勝ちできている状況なのか。
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“ワイモバイル”の獲得は順調。“ワイモバイル”は以前からMNPでの獲得に強く、他社の料金プラン改定だけが理由だとは考えていない。
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他社が料金プランを見直した後の、ソフトバンク(株)の顧客動向は。
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MNPは引き続き好調。料金プランは顧客獲得において主要なファクターなので、お客さまの納得感を得られるよう料金プランの変更は慎重に検討していきたい。
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料金プランをまだ改定していないが、憂慮している点は何なのか。
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改定後の料金プランが、お客さまに本当に受け入れられるのか、さまざまな検討をしている。(株)NTTドコモやKDDI(株)だけでなく、楽天モバイル(株)の動向も見つつ判断する必要がある。料金プランの詳細は現時点でコメントを控える。
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モバイルサービスの事務手数料(ウェブ経由)を有料化した背景は。
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セキュリティー対策や本人確認、決済システムなどの関連費用が増加していることなどを踏まえて改定した。お客さまにご理解いただけるよう、丁寧なご案内に努めたい。
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5G SAのネットワーク品質に関する外部調査で、“au”が”ソフトバンク”を上回った。受け止めと今後のネットワーク戦略は。
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今回の結果を真摯に受け止めているが、切磋琢磨することは良いことであり、前向きに受け止めている。当社はこれまで「信頼性」を重視したネットワーク構築を行っており、その項目で高い評価を得たことはよかったと捉えている。5Gネットワークの全てをSA(スタンドアローン)化するにはまだ時間が必要だが、着実に推進していく。
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今後のキャリアショップのあり方や役割についてどう考えているか。
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「顧客との接点」という観点からキャリアショップは重要だと考えており、大きく減らすことは考えていない。キャリアショップではスマホ教室を開催しており、高齢者を含めて、誰一人取り残すことのないデジタル社会の実現に向けて取り組んでいる。今後もAI活用も含めた、ニーズの多様化に合わせたさまざまな講座を行っていきたい。
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2025年度 第1四半期のコンシューマ事業の営業利益が減益だったことについてどのように受け止めているか。
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2025年度 第1四半期は端末購入サポートに係る引当金の影響で減益だったが、モバイル売上は順調に拡大しておりコンシューマ事業は順調(通期予想に対する2025年度 第1四半期の進捗率は28%)。
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(株)三井住友フィナンシャルグループとのサービス提携の開始時期についての見通しは?
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三井住友カード(株)のコンタクトセンターへのAIコールセンターソリューション導入については、年度内を予定している。他のサービスについては、準備ができ次第、開始したい。
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2025年8月4日に決算を発表したLINEヤフー(株)の株価が、前日比で大きく下落したが受け止めは。
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本業であるメディア領域の調整後EBITDAが減益だったことが要因ではないかと受け止めているが、巻き返しに向けて動いていると聞いており、心配はしていない。これからAIエージェント時代が到来し、検索エンジンや広告のあり方など、世の中が大きく変わろうとしている。その中で、LINEヤフーはあるべき姿をよく研究していると理解している。引き続き見守っていくが、協力できることは当社もしっかりと協力し、両社で力を合わせていきたい。
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PayPay(株)の上場タイミングについて教えてほしい。
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現時点でお話しできることはないが、順調に進んでいると聞いている。お知らせできる進捗があれば適切なタイミングでアップデートしたい。
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PayPay(株)の今後の成長戦略は。
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上場準備を開始しているため、コメントは差し控える。PayPayが伸びている要因としては、GMV(連結決済取扱高)の拡大に伴って売上が拡大していることが挙げられる。銀行や証券などの金融サービスの成長を後押ししていきたい。
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2026年度以降の成長戦略の考え方は。
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来年には、社長に就任して5年が経ち、2期目の中期経営計画に入っていく。10カ年計画を立て、これまでさまざまな手を打ってきた。AIなくして次の中期経営計画はないと考えており、AI計算基盤やAI-RANなどを中心としたAI関連のビジネスを柱としたい。AI計算基盤の拡大については、需要と供給のバランスを見ながら投資していく考え。AI-RANについても、米NVIDIAと開発してきており、成果が出てきている。これまでの通信キャリアにはなかった製品・サービスを生み出していきたい。
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米NVIDIAのGPUを使ったAI計算基盤を、どのようなサービスで活用していくのか。
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さまざまなAIサービスで活用していく。今年は「Sarashina mini」を展開していく予定であり、そのためのGPUも確保済み。また、今後はAIエージェントが中心になっていくと考えている。AIエージェントをオーケストレーション(複雑なプロセスやワークフローを自動化)する「Cristal intelligence」も準備しているので、その稼働も含めると今のGPUの枚数では足りないのではないかと感じている。現在、約1万基のGPUを確保してAIデータセンターを作っている。これまでに計画しているものと、これからの世の中で必要とされるトラフィック量を加味しながらGPUの増設計画を進めていく。
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投資したGPUの使い方について、社内利用、外販の考え方を教えてほしい。
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現在は、当社の完全子会社であるSB Intuitions(株)が日本語に特化した大規模言語モデル「Sarashina」の開発に用いている。すでに4,600億パラメーターのモデルが完成しているが、その更新作業にも活用している。「Sarashina」をベースに蒸留した700億パラメーターの「Sarashina mini」も完成しており、現在は商用化に向けて社内トライアルを進めている段階。GPUの外販に関しても、展開の準備は進めているが、社内で取り合いになるほどGPUの需要がある。
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GPU as a Serviceを提供する際の引き合いや顧客層について、どのような想定をしているのか。また、現在の社内におけるGPU需要を踏まえたとき、外部向けの販売と社内利用のどちらが優先度・価値として高いのか。
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現在、GPU as a Serviceのソフトウエア開発と試験運用を進めている。クラウド環境下で帯域ごとにGPUを借りたいというニーズに対応するため、来春のサービス開始を予定して整備中。GPUの単純な貸し出しは現時点でほとんど行っていない。
GPU需要を考えたときに、次の展開として「Cristal intelligence」があり、その進化次第で、GPUの需給バランスは大きく変動する可能性がある。今後は、「Cristal intelligence」の浸透度合いを見極めながら、GPU関連の投資計画を考えていきたい。
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今後のGPUの活用ニーズとしては「Cristal intelligence」が最大になると見込んでいるのか?
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今見えているのは「Cristal intelligence」や法人のコールセンター向けAIエージェント。これらの二つの製品に対するニーズが高まれば、GPU投資の強化が必要だと考えている。
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2025年度 第1四半期の「その他・成長投資」の損益が126億円の赤字だったが、想定よりも赤字幅が小さい印象を受けた。今後の見通しは。
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「その他・成長投資」として見ている1,000億円の費用のうち、2025年度 第1四半期時点では13%しか使用していない。この費用は、あくまで試験研究のための枠であり、使わずに済むならその方が望ましい。研究者たちには、「このくらいまで使っても構わないので、きちんと成果を出してほしい」というメッセージを伝えている。仮にこの予算が使われなければ、それは利益の上振れ要因になる。利益が上振れた場合には、株主還元に充てることも視野に入れている。
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HAPSについて、もともと予定していた飛行機型よりもLTA(Lighter Than Air)型が先行することになったのは、NTT(株)に先んじられたくなかったからなのか。
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従来より、飛行機型とLTA型の両方を検討している。LTA型でのプレ商用化を先に開始する理由は、監督官庁から上空飛行許可を先に得ることができたから。当社が開発したソーラーパネル、モーター、ペイロード(通信機器)等を用いて、性能を上げていきたい。引き続き両方の方式を追求していきたい。
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ソフトバンク(株)にとってのRapidus(株)の位置づけは?
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Rapidus(株)は、日本の半導体供給体制の重要な一角であると認識しており、少額ではあるが同社に出資をしている。日本独自のエコシステムが築けるのではないかと期待しており、将来を楽しみにしている。
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Rapidus(株)への現時点での追加投資予定は。
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これまで10億円を投資しており、次の資金調達ラウンドにもお声がけをいただいている。引き続き応援していきたいと思っているので、取締役会などでもよく議論して決めていきたい。
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- [注]
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- ※「Cristal intelligence」(クリスタル・インテリジェンス)は仮称であり、正式名称ではありません。
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