2026年3月期 第2四半期
決算説明会 主な質疑応答
| 日時 | 2025年11月5日(水)午後4時~5時22分 |
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| 登壇者 | ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮川 潤一 ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦 |
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「Crystal intelligence」の具体的な機能、提供開始時期について教えてほしい。また、ビジネスモデルや業績への貢献はどのように見込んでいるか。
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現在は社内で「Crystal intelligence」の基になるプロダクトのアルファ版(試作版)の検証を開始した段階。まだチューニングが必要であるが、仕事の在り方を大きく変える可能性があると期待している。開発・検証と並行して、社内でシステム整備やサーバー接続環境の構築を進めている。
具体的な機能は時期が来たら説明するが、ワークフローの自動生成などを想定している。プロダクトができ次第、まずはソフトバンク(株)社内で検証し、その後法人顧客向けに展開する予定。導入時にリソースを要するため、最初から何十社、何百社と対応できるとは考えておらず、1社1社慎重に進めていきたい。
事業の成長に応じて、来年中には1,000人規模の営業体制を目指す。 ビジネスモデルは、導入コンサルティング等で収益化を図る見込み。合弁会社は、初年度から赤字にならない想定。
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ソフトバンク(株)からソフトバンクグループ(株)への支払いはPay for use(従量課金)の前提のままか?
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変わっていない。得られるメリット以上のコストが発生することには着手しないので、連結業績にマイナス影響を与えることはない想定。次期中期経営計画の中で、既存事業に上乗せする形での貢献を狙いたい。
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第2四半期のモバイル事業の状況は。また、競合他社の料金値上げや、“ワイモバイル”の料金改定による顧客の反応、今後の顧客獲得方針について教えてほしい。
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全体的には順調。顧客獲得について、MNPは堅調だったが、短期解約が見込みより多く、獲得効率の改善が必要と認識している。競合他社が先行して値上げを行ったことは、業界の健全化に向けた動きとして捉えており、当社も中長期的な視点で検討を行っている。“ワイモバイル”の料金改定は、顧客から受け入れられており予定通りである。今後の方針としては、より長期でご利用いただけるユーザーの獲得に注力する考えである。
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楽天モバイル(株)が「値上げはしない」と宣言したが、どのように受け止めているか?
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通信キャリアにとって、最も設備投資が必要になるのは地方のネットワーク整備である。楽天モバイル(株)は、そのための努力を十分に行っておらず、KDDI(株)のローミングに頼っている状態。電波を割り当てられた通信キャリアとして自らネットワークを整備するという原則からすれば、アンフェアであると考えている。
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次期中期経営計画における法人向けビジネスの見通しと、収益構造の変化について考え方を教えてほしい。
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エンタープライズ事業・ディストリビューション事業を含む法人向けビジネスで、コンシューマ事業に匹敵する売上高3兆円規模を目指したい。法人向けビジネスはAI導入等による市場の変化を追い風にしやすい。ディストリビューション事業は現時点で利益率が高くないが、利益率のより高いソリューション提供へとビジネスを進化させ、売上だけでなく利益もしっかりと伸びる構造にしていきたい。
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PayPay(株)の上場審査の状況は。今後の同社の企業価値への期待についてどう考えるか。
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米国議会で予算が成立していないことに伴う政府機関の一部閉鎖に伴い、SEC(米国証券取引委員会)の審査が一時的に停止しているのは事実。状況についてはコメントは控える。
企業価値の具体的な金額については言及しない。上場すれば、PayPay(株)の現在の成長スピードや収益性、銀行事業のポテンシャル、日本のカントリーリスクの低さを踏まえ、評価されると個人的には期待している。
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Opensignalの「モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート」の評価をどう受け止めているか。
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KDDI(株)に一歩後れを取ったという結果だったが、お客さまの体感については大きく見劣りしているとは受け止めていない。本質的に重要なお客さまの満足度指数であるNPS(ネットプロモータースコア)に着目しており、No.1を目指して継続的に取り組んでいく。
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AI計算基盤の整備状況と今後の戦略は。NVIDIAから韓国へGPUを大量に供給するとの報道があったが、日本の現状についてどう考えているか。
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現在、当社は約1万基のGPUを保有している。クラスター化(複数のGPUサーバーをつなぎ合わせ、単一の高性能なシステムとして計算を高速で行う技術)されており、一定の計算能力はあるが、米国と比較すると規模が小さい。これを大規模化するため、堺と苫小牧にAIデータセンターを建設中である。計算資源は次世代の国力そのものであり、韓国は思い切った政策を取ったと捉えている。日本でも、政府・民間で連携し、国際的に競争力のある次世代社会インフラを造る必要があると考えている。
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今後のAI競争で勝つためには、AIのインフラからサービスまでを一貫して担う「垂直統合型」の企業でなければならないと感じるが、今後のビジネスモデルをどのように考えているか。
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データセンターだけをやるつもりはなく、GPU時代のクラウドサービスを一気通貫で提供する事業者になりたいと考えている。投資したGPUやデータセンターをさまざまな形で収益化していきたい。オラクル・コーポレーションとの提携で、運用主権・データ主権のあるソブリン性を備えたクラウドサービスを提供することを発表したが、技術主権も将来的には保持したい。日本が経済大国の地位を維持するためには、AI計算基盤の拡充が必要であるとの認識だが、電力の課題もあり、現時点の国内のAI計算基盤は貧弱な状況であると捉えている。
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日本におけるAI計算基盤の需要はどのくらいあるのか?
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企業/自治体によるAI活用の潜在需要は非常に大きいと捉えており、業績への影響や電力の確保の状況を踏まえ、今後も拡張していきたい。来期以降、AI計算基盤やAIデータセンターが業績に貢献できるよう取り組んでいきたい。
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国産LLM(Large Language Model)「Sarashina mini」の位置づけは。
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競合とは「棲み分け」を基本戦略とする考えである。学者レベルの知能が求められるような高度な学術的タスクには、OpenAI等の汎用高性能モデルを活用する。一方で、コールセンターの受け答えのような特定の業務であれば、必ずしもそこまでの性能は必要とされず、用途に応じた使い分けが可能だと考えている。将来的には自社のLLMの能力も引き上げていく方針。
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株主還元に関する現在の考え方は。
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2025年度の業績が上振れた場合、もし株主還元を強化するならば、増配よりは自社株買いの方が取り組みやすいという見方もある。次期中期経営計画が非常に大事だと考えており、事業が想定通り成長していくようであれば、増配も含め考えていきたい。
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