2024年度
個人投資家向け説明会 要旨

日時 2024年12月12日(木)午後6時30分~7時15分
登壇者 ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦

要旨

本説明会では、当社の事業概要や中長期的な成長戦略、および株主還元方針などについて、CFOの藤原より説明しました。

会社概要と業績

  • 当社は主に日本国内で通信事業やIT事業を行う「事業会社」であり、世界中のAI企業へ投資する「投資会社」であるソフトバンクグループ(株)を親会社に持つ。ソフトバンクグループ(株)が有する当社の議決権比率は40.4%(2024年9月末時点)。独立社外取締役が全取締役の過半を占めており、親会社からは独立した経営を行っている。
  • 2001年にブロードバンド事業に参入。その後、固定通信事業・携帯事業などを手掛け、2018年に東京証券取引所市場第一部(現在はプライム市場)に上場。
  • 上場以来、通信事業の持続的な成長を図りながら非通信領域の拡大をすすめる「Beyond Carrier(ビヨンド・キャリア)」戦略を成長戦略として掲げ、企業価値の向上に取り組む。その一環として、上場からの6年間でヤフー(株)※1や(株)ZOZO、LINE(株)※1、PayPay(株)などを子会社化し、日本トップクラスのICTサービスを提供する企業グループに進化。
  • 現在は情報・テクノロジーに関連した5つの事業を展開。売上高の5割以上を、エンタープライズやメディア・EC、ファイナンスなどの通信事業以外の事業が占める。
  • 2023年5月に中期経営計画(2024年3月期から2026年3月期まで)を発表。具体的な財務目標として、2026年3月期の親会社の所有者に帰属する純利益を過去最高の5,350億円にすること、また営業利益を9,700億円に回復させることを目指している。
  • 2024年3月期は、親会社の所有者に帰属する純利益、営業利益ともに2023年5月に発表した通期業績予想を大幅に超えて達成。2025年3月期の業績も順調に進捗しており、2024年11月に通期業績予想を上方修正した。

事業別の状況

① コンシューマ事業

  • コンシューマ事業では、主に国内の個人のお客さまに対してモバイルサービス、ブロードバンドサービスおよび「おうちでんき」などの電力サービスを提供。
  • 営業利益は2年連続で7%の増益を見込む。また、2025年3月期 上期の通期業績予想に対する進捗率は61%と順調。その背景は、2021年春の通信料値下げの影響をうけて減収していたモバイルサービス売上の増収反転。
  • モバイルサービス売上が増収反転した要因は2つ。まず、スマートフォン累計契約数が順調に増加している点。もう一つは、1契約当たりの月間平均収入(ARPU)が前年同期比でプラスに転換した点。
  • ARPUのプラス転換の背景には、「ワイモバイル」などから、よりARPUの高い「ソフトバンク」へのブランド移行が進み、その収支※2が、2021年春の通信料値下げ以降、上期として初めてプラスに転換したことや、昨年10月から提供を開始した料金プラン「ペイトク」が浸透したことがある。

② エンタープライズ事業

  • エンタープライズ事業では、法人のお客さまに対して、モバイル回線の提供や固定電話・データ通信などの固定通信サービス、クラウド・セキュリティなどのソリューションサービスを提供。
  • 営業利益は、上場時(2019年3月期)の763億円から1,700億円(2025年3月期予想)と倍以上に成長。
  • 成長を牽引しているのは、経営課題の解決に貢献するクラウドやセキュリティなどのソリューションビジネス。今後も社会課題の解決につながる新事業の創出を通じて、社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献することを目指す。

③ メディア・EC事業

  • メディア・EC事業では、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」での広告関連サービスに加えて、「Yahoo!ショッピング」や「ZOZOTOWN」などのコマースサービスを提供。
  • 2023年10月にZホールディングス(株)※1、ヤフー(株)※1、LINE(株)※1などを中心としたグループ再編が完了し、Zホールディングス(株)※1はLINEヤフー(株)として再始動。
  • 統合に伴うコスト最適化や事業の選択と集中、好調なLINEアカウント広告などが寄与し、営業利益は2年連続で20%超の増益を見込む。
  • 今後は8,500万人の月間利用者数※3を有する「Yahoo! JAPAN」や、9,700万人の月間アクティブユーザー数※4を有する「LINE」、および様々なグループサービスとの連携を強化し、さらなる収益性向上を図る。

④ ファイナンス事業

  • ファイナンス事業では、QRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービスや、決済代行サービスなどを提供。
  • PayPay(株)連結の営業黒字化も寄与し、2025年3月期の営業利益は黒字転換を見込む(2025年3月期上期のファイナンス事業は、136億円の営業黒字)。
  • ファイナンス事業の中核サービスである「PayPay」は国内最大シェアのスマホ決済サービスで、2023年暦年における決済金額・回数はともにコード決済国内市場シェアの65%※5を占める。また、2024年9月末時点の登録ユーザー数※6は6,500万人を突破。連結決済取扱高※7は2025年3月期 上期で7兆円を超え、20%を超える成長。

長期的な成長に向けた
取り組み

  • 2023年5月、当社は2030年に目指す姿として、「デジタル社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する」という長期ビジョンを発表。
  • この長期ビジョンの実現に向けて、国産生成AIモデルの開発を推進。すでに国内企業として最大規模となる4,600億パラメーターの日本語国産LLM(大規模言語モデル)を研究開発用に公開しており、今後は追加学習を加速させることで2026年3月期の商用展開を目指す。
  • このほか、北海道苫小牧市にAIデータセンターを新設するとともに、シャープ(株)の堺工場を活用した大規模なAIデータセンターの構築に向けて、同社と最終交渉中。
  • さらに、米NVIDIA社とともにモバイルネットワーク(RAN:無線アクセスネットワーク)にAIを組み込む「AI-RAN」の取り組みを推進。これらの取り組みを通じて、生成AI時代のマーケットリーダーを目指す。
  • ESGの取り組みとして、災害時の通信ネットワークの早期復旧と被災者サポートの取り組みやHAPS(成層圏通信プラットフォーム)の取り組み、全国のショップで開催しているスマホ教室について紹介。
  • 「日経SDGs経営大賞」大賞を史上初2年連続で受賞するなど、当社のESGの取り組みは国内外の外部機関から高い評価を獲得。加えて、2024年10月には「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定」の通信・インターネット部門において、上場後初の1位を獲得。今後も事業を通じた社会への貢献を目指す。

株主還元の方針

  • 上場時より、当社は「成長」と「高水準の株主還元」の両立を宣言。
  • 上場以来、高水準の配当を継続。また、2025年3月期 上期の営業利益成長率(前年同期比)は14%となっており、宣言通り「成長」と「高水準の株主還元」の両立を実現。
  • 配当原資となるプライマリーフリー・キャッシュ・フロー※8は毎年6,000億円水準を安定的に創出。さらに、国内の代表的な格付会社から高い格付けを付与されており、財務の健全性は盤石となっている。
  • 個人株主層拡大に向けた取り組みとして、2024年10月1日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割※9を実施。加えて、株主優待制度(「PayPayマネーライト(1,000円分)を進呈」※10を新設。若年層を含む、投資家層のさらなる拡大を目指す。
[注]
  1. ※1
    現 LINEヤフー株式会社
  2. ※2
    ワイモバイル/LINEモバイル・LINEMOからソフトバンクへ移行したユーザー数からソフトバンクからワイモバイル/LINEモバイル・LINEMOへ移行したユーザー数を引いて算出
  3. ※3
    2023年1月~9月までの月平均利用者数。ニールセン TOPS OF 2023: DIGITAL IN JAPAN 日本におけるトータルデジタルリーチ TOP10を基に算出。スマートフォンとパソコンのユーザー重複を含みません。
  4. ※4
    日本における月間アクティブユーザー数(2024年9月時点)
  5. ※5
    一般社団法人キャッシュレス推進協議会「コード決済利用動向調査 2024年3月25日公表」をもとに当社にて算出しました。
  6. ※6
    「PayPay」のアカウント登録済みユーザー数
  7. ※7
    ユーザー間での「PayPay残高」の「送る・受け取る」機能の利用は含みません。「Alipay」、「LINE Pay」等経由の決済および「PayPayクレジット(旧あと払い)」による決済を含みます。PayPayカード株式会社の決済取扱高をPayPay株式会社の決済取扱高と合算し、PayPay株式会社とPayPayカード株式会社の内部取引を消去しています。
  8. ※8
    AI計算基盤など中長期的な成長に資する戦略投資前のフリー・キャッシュ・フロー
  9. ※9
    2024年9月30日を基準日として、同日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の所有する普通株式1株につき10株の割合をもって分割しました。
  10. ※10
    毎年3月31日(基準日)現在、同一の株主番号で当社株主名簿に1年以上継続して記載または記録されており、かつ、当社普通株式を100株(1単元)以上保有されている株主を対象とします。なお、「1年以上継続して記載または記録」とは、同じ株主番号で3月末日および9月末日時点の当社株主名簿に、3回以上、連続で記載または記録されていることとします。2026年3月31日現在の株主名簿に記載または記録された当社普通株式100株(1単元)以上を保有する株主を対象に開始します。