2025年度
個人投資家向け説明会 要旨

日時 2025年12月15日(月)午後6時30分~7時15分
登壇者 ソフトバンク株式会社 執行役員 財務統括 秋山 修

要旨

本説明会では、当社の事業概要や中長期的な成長戦略、および株主還元方針などについて、執行役員 財務統括 秋山より説明しました。

会社概要と業績

  • 当社は主に日本国内で通信・ITやAIの実装を担う「事業会社」であり、世界中のAI企業へ投資する「投資会社」であるソフトバンクグループ(株)を親会社に持つ。ソフトバンクグループ(株)が有する当社の議決権比率は40.1%(2025年9月末時点)。独立社外取締役が全取締役の過半を占めており、親会社からは独立した経営を行っている。
  • 2001年にブロードバンド事業に参入。その後、固定通信事業・携帯事業などを手掛け、2018年に東京証券取引所市場第一部(現在はプライム市場)に上場。
  • 上場以来、通信事業の持続的な成長を図りながら非通信領域の拡大をすすめる「Beyond Carrier(ビヨンド・キャリア)」戦略を成長戦略として掲げ、企業価値の向上に取り組む。その一環として、上場からヤフー(株)※1や(株)ZOZO、LINE(株)※1、PayPay(株)などを子会社化し、日本トップクラスのICTサービスを提供する企業グループに進化。
  • 現在は情報・テクノロジーに関連した5つの事業を展開。売上高の5割以上を、エンタープライズやメディア・EC、ファイナンスなどの通信事業以外の事業が占める。
  • 2023年5月に中期経営計画(2024年3月期から2026年3月期まで)を発表。
    具体的な財務目標として、当初、2026年3月期の親会社の所有者に帰属する純利益を過去最高の5,350億円、営業利益を9,700億円にすることを目指していたが、2025年5月に上方修正。現在の財務目標は、親会社の所有者に帰属する純利益で5,400億円、営業利益で1兆円としている。
  • 2026年3月期 上期は、全セグメント増収増益を達成。通期目標に対する、上期のセグメント別営業利益予想の進捗率は、全セグメントで50%を上回る進捗率となっており、強含みで推移。

事業別の状況

① コンシューマ事業

  • コンシューマ事業では、主に国内の個人のお客さまに対してモバイルサービス、ブロードバンドサービスおよび「おうちでんき」などの電力サービスを提供。
  • 2026年3月期 上期の通期業績予想に対する進捗率は60%と順調。
  • 各ブランドにおいて、お客様のニーズに応えた料金プランを提供。「ソフトバンク」ブランドでは、「PayPay」と連携した料金プラン「ペイトク」を提供しており、好評を得ている。また、「ワイモバイル」ブランドでは、お客様のニーズに応じてデータ容量を選択できるシンプルな料金プランを展開。

② エンタープライズ事業

  • エンタープライズ事業では、法人のお客さまに対して、モバイル回線の提供や固定電話・データ通信などの固定通信サービス、クラウド・セキュリティなどのソリューションサービスを提供。
  • 上場後7年間の営業利益の平均成長率は14%と、力強い成長を継続。
  • 成長を牽引しているのは、経営課題の解決に貢献する、クラウドやセキュリティなどのソリューションビジネス。今後、AI領域をさらなる成長のドライバーにするべく取り組みを加速。
  • グローバル市場への進出による事業成長の取り組み「Beyond Japan(ビヨンド・ジャパン)」の一環として、昨年、Cubic3を子会社化。同社は200を超える国・地域でコネクティッドカー向けのIoTプラットフォームを提供。自動運転時代において基盤となり得る領域であり、当社としても大きな期待を寄せている。

③ メディア・EC事業

  • メディア・EC事業では、総合インターネットサービス「Yahoo! JAPAN」やコミュニケーションアプリ「LINE」での広告関連サービスに加えて、「Yahoo!ショッピング」や「ZOZOTOWN」などのコマースサービスを提供。
  • 2023年10月にZホールディングス(株)※1、ヤフー(株)※1、LINE(株)※1などを中心としたグループ再編が完了し、Zホールディングス(株)※1はLINEヤフー(株)として再始動。
  • 統合に伴うコスト最適化や事業の選択と集中、好調なLINEアカウント広告などが寄与し、営業利益は継続的に成長。
  • また、LINEヤフー(株)はAIエージェントの活用を成長戦略として掲げており、あらゆるサービスをAIエージェント化し、付加価値を創出することで、収益化の実現を目指す。

④ ファイナンス事業

  • ファイナンス事業では、QRコード決済やクレジットカードなどのキャッシュレス決済サービスや、決済代行サービスなどを提供。営業利益は黒字化が定着。
  • ファイナンス事業の中核サービスである「PayPay」は国内最大シェアのスマホ決済サービスで、2024年暦年における決済金額・回数はともにコード決済国内市場シェアの約3分の2※2を占める。また、2025年9月末時点の登録ユーザー数※3は7,100万人を突破。連結決済取扱高※4は2026年3月期 上期で9兆円を超え、前年対比25%の成長。
  • 2025年4月に金融ビジネスの再編が完了。PayPay(株)がPayPay証券(株)およびPayPay銀行(株)を子会社化。PayPay(株)のリーダーシップの下、銀行・証券サービスの成長を加速させる方針。
  • 2025年5月には、PayPay(株)が上場準備を開始したことを公表。

長期的な成長に向けた
取り組み

  • 2023年5月、当社は2030年に目指す姿として、「デジタル社会の発展に不可欠な次世代社会インフラを提供する」という長期ビジョンを発表。
  • この長期ビジョンの下、長期的な成長に向けて「AI」と「ESG」に注力。
  • 「AI」の領域においては、AIによるデータ処理需要の増加への対応と持続可能な社会の実現を両立する、分散型AIデータセンター構想を推進。
  • 国内最大規模となる1万基超のGPUを有するAI計算基盤を構築し、社内活用と外販の双方で利用。
  • 北海道苫小牧市と大阪府堺市において大型データセンターの建設を進めており、2027年3月期の稼働を目指す。
  • 2025年11月には、SB OAI Japanを発足。AIの最先端企業であるOpenAIとの合弁による新会社で、AIで企業の経営を変革する「Crystal intelligence(クリスタル・インテリジェンス)」を提供する予定。
  • 「ESG」の取り組みとして、災害時の通信ネットワークの早期復旧と被災者サポートの取り組みや空飛ぶ基地局「HAPS」(成層圏通信プラットフォーム)の取り組み、全国のショップで開催しているスマホ教室について紹介。
  • 「HAPS」の早期実現に向けて、2026年にLTA型(Lighter Than Air型)のプレ商用サービスを開始予定。また、森林保全の取り組みとして、「NatureBank」を紹介。
  • 「日経SDGs経営大賞」の大賞を2年連続で受賞(史上初)し、「プライムシート企業」に2年連続で選出されるなど、当社のESGの取り組みは国内外の外部機関から高い評価を獲得。今後も事業を通じた社会への貢献を目指す。

株主還元の方針

  • 上場時より、当社は「成長」と「高水準の株主還元」の両立を重視。
  • 2026年3月期の通期配当性向(連結)予想は76.6%。
  • 配当原資となるプライマリーフリー・キャッシュ・フロー※5は毎年6,000億円水準を安定的に創出。
  • さらに、国内の代表的な格付会社から高い格付けを付与されており、財務の健全性は盤石となっている。
  • 個人株主層拡大に向けた取り組みとして、2024年10月1日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割※6を実施。加えて、株主優待制度(「PayPayマネーライト(1,000円分)を進呈」※7を新設。若年層を含む、投資家層のさらなる拡大を目指す。
[注]
  1. ※1
    現 LINEヤフー株式会社
  2. ※2
    一般社団法人キャッシュレス推進協議会「コード決済利用動向調査 2025年3月14日公表」をもとに当社にて算出しました。
  3. ※3
    「PayPay」のアカウント登録済みユーザー数
  4. ※4
    ユーザー間での「PayPay残高」の「送る・受け取る」機能の利用は含みません。「Alipay+」や「HIVEX®」などの他の決済サービス・ネットワーク経由のPayPayコード決済を含みます。PayPayカード株式会社の決済取扱高をPayPay株式会社の決済取扱高と合算し、PayPay株式会社とPayPayカード株式会社の内部取引を消去しています。
  5. ※5
    AI計算基盤など中長期的な成長に資する戦略投資前のフリー・キャッシュ・フロー
  6. ※6
    2024年9月30日を基準日として、同日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の所有する普通株式1株につき10株の割合をもって分割しました。
  7. ※7
    毎年3月31日(基準日)現在、同一の株主番号で当社株主名簿に1年以上継続して記載または記録されており、かつ、当社普通株式を100株(1単元)以上保有されている株主を対象とします。なお、「1年以上継続して記載または記録」とは、同じ株主番号で3月末日および9月末日時点の当社株主名簿に、3回以上、連続で記載または記録されていることとします。2026年3月31日現在の株主名簿に記載または記録された当社普通株式100株(1単元)以上を保有する株主を対象に開始します。