お知らせ 2023年
入社式あいさつ(骨子)
2023年4月3日
ソフトバンク株式会社
本日開催したソフトバンク株式会社の2023年度の入社式で、代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川 潤一が、新入社員455人に向けてあいさつをしました。
新しい仲間が増えたことをうれしく思います。昨年の内定式でも、時を創る側になってほしいと話しました。時を創るというのは、人々の常識、当たり前の日常を変えるということです。人々の常識や価値観、日常が劇的に変化することをパラダイムシフトと言います。過去の歴史を振り返ると、常識が変わるスピードは技術の革新によって加速しています。これからの未来は毎年新たな常識が生まれてくると思います。
今から約480年前、天動説が地動説に変わったことは、世界最初のパラダイムシフトと言われています。ニュートンによって地動説が科学的に証明され、100年以上かかって人々に浸透しました。「革命(Revolution)」は、ラテン語の「回転(revolutio)」から生まれたといい、物事の見方が180度変わってしまうことをコペルニクス的転回ともいいます。1900年の時点でニューヨークの5番街は馬車だらけでしたが、フォードが1907年に量産車を開発してあっという間に車社会になり、13年で5番街は車ばかりになりました。これもパラダイムシフトです。
日本の通信業界では、2008年にiPhoneの販売を開始して、たった13年で90%がスマートフォン(スマホ)を持つようになりました。スマホの普及によって常に情報にアクセスできるようになり、人々の生活が一変し、第4次産業革命に突入するきっかけになりました。
ソフトバンクのDNAは、挑戦と進化です。著しい変化を続ける時代に、ソフトバンクはインターネットを通して、人々の生活に大きなインパクト、いわゆるパラダイムシフトをもたらしてきました。この時代の変化の中で、皆さんが生まれた2000年ごろからのソフトバンクの売り上げの推移を見ると、挑戦の連続です。ソフトバンクは挑戦と共に進化してきたと感じています。
今はまさに第4次産業革命です。AI(人工知能)が自律的に判断し、あらゆる活動を最適化することを第4次産業革命と定義しています。第4次産業革命では、大量にデータが生成され、大量のデータ処理が必要になります。現在、データセンターのデータ処理需要は6エクサFLOPs(エクサ:10の18乗、FLOPs:コンピュータ―の処理能力の単位)ですが、2030年には、77エクサFLOPs、スーパーコンピューター「富岳」に置き換えると185台分になると予測されています。データ処理には多くの電力を消費します。現在すでに電力需給はひっ迫していますが、今後は火力発電に換算すると28基分(1基=53.5万kWとして計算)がさらに必要になると言われており、省エネを考える必要があります。2050年には、データ処理需要が「富岳」3万台分を超えると予測されており、ソフトバンクは、それを支える会社になるためにテクノロジーを追求しています。そのために、地方分散型データセンターのアーキテクチャーを考えています。データセンターを多く造ると、従来のテクノロジーではデータのやりとりなどに余分な労力がかかる状況です。これを一本で並行処理するデータ連携基盤をつくろうと考えています。
ソフトバンクは、今後10年間で、もう一段階発展するために、現在さまざまなプロジェクトを推進しています。特に注力しているのが、人類がデジタルと共に生きる未来に向けて必要となるインフラをつくることです。これまで取り組んできたのは、電話やスマホを接続するコミュニケーションインフラでしたが、それを根本からつくり変えるために、社内外含めてさまざまなテクノロジーを組み合わせて、次世代の社会インフラの構築を急いでいます。
2011年に「LINE」が登場し、2014年には「Instagram」が登場しました。2000年生まれが多い皆さんは、デジタルが常に身近にあり、それを当たり前のように使いこなしてきた世代だと思います。ソフトバンクは、単なる通信会社ではなく、デジタルを社会実装する会社になりたいと考えています。私たちの世代にはない感性を持っている皆さんが、時代の先を読み、次の新しい日常を創造していくことで、この会社を成長させ続けてほしいと思います。今の常識は先人の思いによってつくられてきました。皆さんの思いが未来の常識をつくることを希望しています。皆さんの活躍を期待しています。