プレスリリース 2019年

モバイルIPネットワークにおいて
「SRv6(セグメントルーティングIPv6)」の運用を開始

~5G時代にネットワークの革新を実現する新技術~

2019年4月24日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)は、モバイルIPネットワークにおいて、よりシンプルで拡張性の高いネットワーク構成を実現し、第5世代移動通信システム(5G)時代に向けてさまざまな機能を実装する新技術「SRv6(セグメントルーティングIPv6)」を導入し、商用ネットワークでの本格的な運用を2019年4月から開始しました。

SRv6は、インターネットプロトコルの次世代規格であるIPv6のネットワーク上で、セグメントルーティングを実現する技術です。大規模なネットワークで用いられるパケット転送情報(ラベル)を配布するための専用プロトコルや、パケットの道順となるパス情報の管理をネットワーク上から排除することでシンプルな設計や運用が可能となるセグメントルーティングの特長を生かし、広大なIPv6のアドレス空間(128bit)を活用することで、ネットワークのスケールや機能面の拡張性を高めることが可能になります。SRv6は、「シンプル」と「高機能」という、一つのネットワーク内における相反する特性を高いレベルで両立し、5Gを支える次世代モバイルネットワークにおけるコア技術の一つとして期待されています。

ソフトバンクは、SRv6をはじめとした最新技術の導入によるネットワークのさらなる効率化・高機能化を図り、今後増大するトラフィックに対応する信頼性の高いモバイルネットワークの実現を目指し、5GやIoTの時代に向けてさまざまな取り組みを推進していきます。また、SRv6の標準化活動を通して新たな技術仕様の提案にも積極的に取り組み、同分野のリーディングオペレーターとして、ネットワーク技術の発展に貢献していきます。

SRv6の主な特長

SRv6では、パケットにIPv6アドレス形式のヘッダーを付与します。ヘッダーの内部には、パケットの宛先を示すロケーターフィールド、パケットに適用する機能を示すファンクションフィールドが備わっており、ファンクションフィールドにさまざまな指示や動作を埋め込むことで、ネットワーク上でパケットに適用する処理を柔軟に指定することが可能になります。この技術は、ネットワーク全体をまるで一つのコンピューターのように扱えるようになることから、「ネットワークプログラミング」と呼ばれ、従来のVPN技術をはじめ、NFV※1との組み合わせによるサービスチェイニング※2や、5Gネットワークに求められるネットワークスライシング※3の実現が可能となります。

また、ネットワークの入り口でパケットの道順を決定するソースルーティングという特性からSDN※4との親和性が高く、トラフィックの種類に応じてパケットの道順や処理優先度の変更を行うことでタイムリーにトラフィックの最適化が可能になるなど、将来的なサービス品質の向上やネットワーク運用の自動化・効率化の実現が期待されています。

[注]
  1. ※1
    NFV(Network Function Virtualization)ファイアウオールやロードバランサー、NATなどのネットワーク機能を汎用サーバーなどの仮想化基盤で提供する技術
  2. ※2
    NFVなどで提供する各種ネットワーク機能を、必要に応じて柔軟に選択・連携する技術
  3. ※3
    ネットワークを仮想化してリソースを分割し、用途や目的(高速大容量、低遅延など)に適合したサービスを提供する技術
  4. ※4
    SDN(Software Defined Network)ソフトウエアによりネットワーク機器を制御し、構成や設定などを柔軟に変更する技術の総称

SRv6構成イメージ図

SRv6構成イメージ図
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