プレスリリース 2019年
商用レベルの環境で5Gコネクテッドカーの技術検証を完了
~商用レベルの通信機器などを使用し、256QAMと4×4 MIMOを用いた
5Gコネクテッドカーの走行試験に世界で初めて成功~
2019年11月11日
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、株式会社本田技術研究所(以下「本田技術研究所」)と取り組んでいる、5Gを活用したコネクテッドカー技術の共同研究の一環として、商用レベルの環境において5Gコネクテッドカーの技術検証を行い、無線検証やユースケースの検証などのさまざまな条件で安定した通信が行えることを確認しました。なお、3GPP Release 15※1規格に準拠した商用レベルの通信機器などを使用し、256QAM※2および4×4 MIMO※3を用いて5Gコネクテッドカーの走行試験に成功したのは世界初です※4。
検証環境
このたびの技術検証は、本田技術研究所が持つ北海道上川郡のテストコースに設置した実験基地局を使用し、商用環境を想定したノンスタンドアローン標準仕様※5で構成された5Gネットワーク環境で行いました。5Gネットワークの通信インフラには、3GPP Release 15規格に準拠したノキア製の通信機器を使用し、車載器にはクアルコム製の商用向け「Qualcomm® Snapdragon™ X50 5G モデム」を使用した「Qualcomm® Connected Car Reference Design(CCRD)」を使用することで、商用環境レベルでの検証を実現しました。なお、車両については、Hondaが販売する普通乗用車を使用して検証しました。
その他、検証環境の詳細については、2018年12月3日付のプレスリリース「5Gコネクテッドカーの検証環境を世界で初めて構築し、商用化に向けた検証を開始」をご参照ください。
検証内容
1.無線検証
- (1)定点試験
停車した状態で、通信方式(64QAM、256QAM、2×2 MIMO、4×4 MIMO)の組み合わせなどを変えて通信品質の検証を行う。
- (2)走行試験
走行する車両の速度(30km/h、60km/h、100km/h)を変えて、通信方式の組み合わせごとの通信品質の検証や、基地局の切り替え(ハンドオーバー)の検証を行い、最適なパラメーターを探る。
- (3)車両特性試験
ケーブルの取り回しや、アンテナの設置位置や本数、種類などを変えて通信品質を検証するとともに、5G接続において最適な組み合わせを探る。
2.ユースケースの検証
- (1)見通しの悪い交差点における、周辺車両の位置情報の伝送
- (2)前方車両の急ブレーキ情報を後続車両へ伝送
- (3)車載カメラ映像を基に道路上の落下物を特定し、周辺車両へ伝送
- (4)その他の検証(高画質な4K映像の伝送、車載カメラの二次利用など)
検証の成果
このたびの技術検証では、最大1Gbpsのスループットを達成した他、車載器から5Gネットワーク外にあるアプリケーションサーバーへのネットワークの遅延(レイテンシー)は平均17ms(1msは1,000分の1秒)以下を実現するなど、さまざまな環境で安定した通信を実現し、5Gと車両との親和性の高さを確認することができました。また、Massive MIMO※6を用いてビームフォーミングやビームトラッキングを行うことにより、走行時においても安定した通信ができることを確認しました。
今後ソフトバンクは、最新技術を用いた実証などを継続して行うことで、次世代コネクテッドカーや自動運転車、MaaSの実現に取り組んでいきます。
- [注]
-
- ※13GPPとは、移動通信システムの規格策定を行う標準化団体のこと。3GPP Release 15とは、3GPPで策定された、5Gの新しい無線方式「5G-NR」の標準仕様。
- ※2無線通信における変調方式の一つで、情報密度を高めて一度に運べるデータ量を増加させる技術。
- ※34×4 MIMOとは、送信用(基地局)と受信用(端末)に各4本のアンテナを使い、複数のデータを同時に送受信する技術で、2×2 MIMOは、各2本のアンテナを使った技術。
- ※42019年9月25日時点(当社調べ)
- ※5LTEとの連携によって5Gの性能や機能をいち早く実現できるようにする仕様。
- ※6数十~数百の多数のアンテナ素子を使ってデータを送受信する技術。
- ※1
- Qualcomm、Snapdragonは、米国およびその他の国々で登録されたQualcomm Incorporatedの登録商標または商標です。
- Qualcomm Snapdragon、Qualcomm Connected Car Reference Designは、Qualcomm Technologies, Inc.および/あるいは同社子会社の製品です。
- SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
- その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。