プレスリリース 2020年

北海道大学水産科学研究院とソフトバンクが
チョウザメのスマート養殖共同研究プロジェクトを開始

~IoTやAIを用いた養殖システムの確立へ~

2020年2月13日
北海道大学
ソフトバンク株式会社

概要

国立大学法人北海道大学大学院水産科学研究院とソフトバンク株式会社は、2020年2月からIoTやAI(人工知能)を用いたチョウザメのスマート養殖共同研究プロジェクトを開始しました。
チョウザメの養殖方法は確立されておらず、環境の変化によっては全滅することがあります。そのため、画像データから個体あるいは全体としての異常行動を自動検知することで、低コストかつ効率的な養殖方法の確立を目指して、基礎研究を共同で実施します。

プロジェクト開始に至った経緯

今回、これまでチョウザメ養殖の研究を行っていた北海道大学大学院水産科学研究院の足立伸次教授及び都木靖彰教授と、函館に研究チームの活動拠点を持つソフトバンク株式会社が共同で研究を行うことになりました。
チョウザメの養殖は、卵を産むまでに6年以上の飼育が必要であり、雌雄の区別が可能になるまで2~3年の期間が必要なため非常に高い飼育コストがかかります。それだけではなく、養殖環境が変化するだけで、全滅するといったリスクがありました。このため、飼育員による長期間の監視が必要であり、監視体制の構築などの課題がありました。この共同研究でIoTやAIなど最新技術を用いて行動解析を行うことで、チョウザメの養殖における各種リスクの軽減、課題の解決を目指します。

内容・対象・意義

機械学習(Machine Learning)を用いてチョウザメの個体識別や行動分析を行うことで、異常行動の早期発見、病気のまん延防止、水流停止や餌の供給過多のような養殖環境の異常を検知し、チョウザメの全滅を防ぐ方法を研究します。また、水中や水上の画像データや環境情報データなどを、IoT機器によってリアルタイムに収集・分析を行うだけではなく、水流のシミュレーションとCGで再現したチョウザメの筋骨格モデルによって、様々な仮想環境による個体の泳法の3DCGによるシミュレーションデータを使用します。魚の骨格、筋肉などから生成するチョウザメの3DCGモデルは、従来のアニメーションのためのモデルとは異なり、魚生物学シミュレーションを可能にするリアルな筋骨格3DCGを再現する予定です。世界的にも類を見ない、精巧な魚の3DCGを普及させることで、養殖を含む水産業や、教育・研究開発など広い分野への貢献を目指します。
本共同研究によって低価格での実現方法の確立を目指すほか、IoTやAIを用いた養殖方法の確立を目指すことで、水産分野における各種テクノロジーの可能性、実現性を検証していきます。

役割

  • チョウザメの飼育:北海道大学大学院水産科学研究院 足立教授、都木教授
  • 筋骨格モデルの解剖学の見地からの調査:北海道大学大学院水産科学研究院 今村 央教授
  • 水流シミュレーション:北海道大学大学院水産科学研究院 高橋 勇樹助教
  • 画像解析、機械学習による個体識別及び行動分析:ソフトバンク株式会社
  • 神経科学(Neuro Science)の見地から動きの生成:ソフトバンク株式会社
  • CG生成:ソフトバンク株式会社

実施期間

2020年2月1日から2023年1月31日までの3年間

本共同研究の流れ
本共同研究の流れ
  • SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
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