プレスリリース 2020年

ドローン無線中継システムを用いた
遭難者などの位置特定の実証実験に成功

2020年8月31日
ソフトバンク株式会社
双葉電子工業株式会社

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)と双葉電子工業株式会社(以下「双葉電子」)は、遭難事故や災害の発生時に、携帯電話機の位置情報を活用して遭難者や行方不明者の位置特定を迅速に行うことを目的として、「ドローン無線中継システムを用いた遭難者位置特定システム」(以下「本システム」)を国立大学法人東京工業大学 工学院 藤井輝也研究室(以下「東京工業大学」)と共同で開発しましたのでお知らせします。また、千葉県市原市勝間にある双葉電子勝間ラジコン飛行場において本システムを使用し、約70キロメートル離れた遠隔地からのドローンの手動操縦、GPS受信機能が搭載された携帯電話機の位置を特定する実験に成功しました。この実験では、総務省関東総合通信局から、本システムを用いてフィールド実証評価を行うための実験試験局の免許を取得しています。

ソフトバンクは2016年から、雪山や山岳地域などでの遭難者救助を目的にドローンによる無線中継システムを用いた遭難者位置特定の研究を進めてきました※1。新たに開発した本システムには、ソフトバンクと東京工業大学が共同開発した、遠隔地から目視外での手動操縦を可能とする「ケータイドローン飛行制御システム※2」を搭載しています。従来のシステムでは、目視内での遭難者の位置特定しかできませんでしたが、本システムは、モバイルネットワークを介して遠隔地にいる操縦者が中継映像を見ながら手動操縦することが可能となります。また、遠隔操縦と現地での目視による手動操縦を切り替えることや、遠隔操縦中に自律飛行と手動操縦の切り替えも行えるなど、捜索のためのより柔軟で高度なドローンの運用を実現します。これまでは、雪山での遭難時の雪中に埋まった携帯電話機の位置特定を想定していましたが、本システムでは、山岳地域や市街地における地震などの災害時の携帯電話機の位置特定も想定に入れています。そのため、本システムにおいては、手動操縦で捜索対象に対して可能な限り接近して電波を発射することで、電波が届きにくい土砂やコンクリート塊などのがれきの中に埋まった携帯電話機の位置特定も目的としています。

本システムは、従来のシステムと同様に非再生周波数変換リピーターを用いており、無線周波数や送信電力などの無線仕様は同じです。また、ドローンの飛行時間を延ばして捜索できる時間を長くするために、ソフトバンクと東京工業大学はドローンに搭載する無線中継装置(子機)の軽量化と低消費電力化を行い、双葉電子は子機を搭載するドローンの小型・軽量化に加え、東京工業大学、ソフトバンクと協議して耐風性に優れた機体および飛行制御システムを開発しています。このドローンは、秒速15メートルの強風下でも子機を搭載して安定して飛行することができます。

ソフトバンクと双葉電子は、東京工業大学と共同で本システムの実用化を目指すとともに、自治体や公共機関、企業と連携し、災害対策やドローンを活用した社会課題の解決に向けた研究をさらに進めていきます。

[注]
  1. ※1
  2. ※2
ドローン無線中継システムを用いた遭難者位置特定システム
遭難者位置特定システムの遠隔地からの操縦
遭難者位置特定システムのさまざまな状況への対応
  • ケータイドローンは、ソフトバンク株式会社の商標です。(商標登録出願中)
  • SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
  • その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。