プレスリリース 2020年
NVIDIAのGPUを活用した5G仮想基地局の技術検証を実施
~処理速度や消費電力などで優れた性能を確認~
2020年10月29日
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、NVIDIA Corporationと協力し、このたびGPU(Graphic Processing Unit)※1を活用して仮想化した5G(第5世代移動通信システム)の基地局(以下「5G vRAN」)の技術検証を実施しました。検証の結果、処理速度や消費電力などで優れた性能が得られました。
5Gは、高速・大容量通信に加えて、低遅延通信も期待されることから、より高度な信号処理の計算が求められます。例えば、より高速な通信を行うために、通信速度を高速化する技術「MIMO(Multi-Input Multi-Output)」が導入されており、このMIMOの数を増やして通信容量を倍増すると、処理が必要なデータ量は2乗で増加する一方、より高い周波数を用いる5Gでは短い処理時間が求められます。これまでの仮想化無線ネットワーク「vRAN(virtualized Radio Access Network)」の設計では5Gの通信性能を十分に発揮できないという課題があり、近年ではアクセラレータ※2を活用して、処理速度を向上させるといった研究開発が進められています。ソフトバンクは、2019年から処理速度の高速化を目指して、vRANのさまざまな技術検証を実施してきました。
今回GPUを活用した5G vRAN向けソフトウエア「NVIDIA Aerial™」の性能を検証しました。検証内容は、上りおよび下りのデータ通信をシミュレーションし、処理速度と消費電力を測定するというものです。検証の結果、「NVIDIA Aerial」を活用した5G vRANソリューションは、5Gの通信性能を十分に発揮する上で求められる短い処理時間を満たすとともに、消費電力を抑えることができました。
「NVIDIA Aerial」は、O-RAN Alliance※3で規定される業界基準に準拠しており、5Gの基地局の汎用化や仮想化に対して親和性が高いソフトウエアです。このソフトウエアは、ハードウエアの進化に伴って新たな開発をすることなく、Massive MIMOによる周波数の有効利用など通信性能の向上と消費電力の抑制の両方を可能にします。そのため「NVIDIA Aerial」を活用することで、仮想化による柔軟性を損なうことなく、効率性に優れた高速のネットワークを構築することが可能になります。
GPUは汎用性が高く、MEC(Mobile Edge Computing)との親和性も高いため、AI(人工知能)による画像解析やVR(仮想現実)、AR(拡張現実)などの低遅延かつ複雑な処理を必要とするアプリケーションを、高速に動作させることができます。なお、ソフトバンクでは、GPUの高い計算性能やMECの特性を活用したサービスとして、クラウドゲーミングサービス「GeForce NOW Powered by SoftBank」を2020年6月10日から提供しています。
今回検証を行ったGPUを活用した5G vRANは、基地局設備にMECの機能を持たせることで、クラウドゲーミングのようなMECを活用したサービスを、早期に展開することを可能にします。
ソフトバンクは、5Gのエリア展開に関して、2021年度末までに人口カバー率90%を達成することを目標に掲げています。ソフトバンクは「NVIDIA Aerial」の性能評価をいち早く実施したことで得られたノウハウを活用し、高速・大容量かつ低遅延の通信が可能な5Gネットワークの早期拡大を目指します。
- [注]
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- ※1汎用的な並列計算が可能という特長を生かして、画像解析などの処理を高速で実行できる半導体。
- ※2汎用プロセッサー(CPU)上で高速に動作させるのが難しい特定の処理に特化し、高速に処理することを支援するハードウエア。
- ※3Open Radio Access Network Alliance。次世代の無線アクセスネットワークの構築を目的に活動している業界団体。
- ※1
検証の概要
通信方式 | 5G NR(New Radio) |
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周波数帯域幅 | 100MHz幅(Sub 6帯を想定) |
変調方式 | 上り:64QAM/下り:256QAM |
MIMOレイヤー数 | 上り:1, 2, 4, 8レイヤー/下り:1, 2, 4, 8, 16レイヤー |
検証装置
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