プレスリリース 2020年

大腸がん治療薬の医師主導治験を推進する
特別目的事業体「アルファーA」へ出資

~国立がん研究センターとCirkit-Jが構築した新しい枠組みに参画~

2020年12月21日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、医療・ヘルスケア分野の取り組みの一環として、大腸がん治療薬の医師主導治験推進を目的とした特別目的事業体(SPV:Special Purpose Vehicle)※1である「株式会社アルファーA」(以下「アルファーA」)へ、2020年6月に出資しましたのでお知らせします。

アルファーAは、国立研究開発法人国立がん研究センター東病院が、大腸がんの術後患者を対象に世界初の国際共同第Ⅲ相医師主導治験※2を行うに当たり、一般社団法人CirKit-J(サーキットジェイ、以下「CirKit-J」)によって設立された特別目的事業体です。詳細は、国立研究開発法人国立がん研究センターおよびCirkit-Jによる本日付のプレスリリース「リキッドバイオプシーによる大腸がんの治癒率向上・個別化医療実現を目指した国際共同第Ⅲ相医師主導治験を開始〜民間企業からの投資を活用した新たな大規模医師主導治験の枠組みを構築〜」をご参照ください。

1. 本件の概要およびアルファーAについて

日本では現在、少子高齢化や医療費の増加などの課題を抱え、予防医療の重要性が高まっています。臨床開発領域においては、患者の治癒につながる術後補助化学療法(外科治療後の再発を予防する薬物療法)の開発が求められています。しかしながら、従来の製薬会社主導による研究開発は、大規模かつ長期間の研究開発が進みにくい状況がある他、関連制度が整備されてきた医師主導治験においても、既存の枠組みでは資金確保をはじめとするさまざまな課題があります。

国立研究開発法人国立がん研究センターとCirKit-Jは、これらの課題を解決する、医師主導治験の新たな枠組みを構築しました。この枠組みでは、医師が治験を主導し、一般社団法人であるCirKit-Jが治験ごとに特別目的事業体を設立し、製薬会社からの資金提供や民間企業からの出資を受けます。特別目的事業体を活用することで、製薬会社に限らずさまざまな企業から柔軟に資金調達することが可能になり、十分な資金を確保し、大規模かつ長期の治験が実現できます。

アルファーAは、この枠組みの第1弾となる特別目的事業体で、大腸がんの術後患者を対象にした治験の実施を目的に設立されました。ソフトバンクは、この取り組みに賛同し、民間企業の立場から、アルファーAへの出資という形で参画します。

2. ソフトバンクによる出資の背景

ソフトバンクは、「Beyond Carrier」戦略を掲げ、従来の通信事業の基盤を強化するとともに、最先端テクノロジーを活用して幅広い産業分野で革新的なサービスを提供し、社会課題の解決と事業成長を目指しています。ヘルスケア分野でのサービス提供や、産学連携による実証実験など、さまざまな取り組みを進めています。

今回、アルファーAへの出資を行うことで、医師主導治験により次世代がん治療の開発を推進するための革新的な取り組みに参画することになります。従来の方法では困難であった医療分野における課題解決方法に資することで、社会課題解決への貢献を目指します。また、ゲノム情報の臨床応用をはじめとした医療分野における最新の知見や課題への理解を深め、さらなる貢献に生かしていきます。

[注]
  1. ※1
    特定の目的を達成するために設立される事業体で、資金を調達する仕組みなどに用いられるもの。
  2. ※2
    見えないがん(術後微小残存病変)が判明した大腸がん患者を対象にした、日本主導による国際共同第Ⅲ相医師主導治験。第Ⅲ相治験とは、第Ⅰ相(フェーズⅠ)、第Ⅱ相(フェーズⅡ)の結果を経て、治療薬の有効性、安全性、使用法などを最終的に確認するフェーズを指す。大腸がんの術後微小残存病変をターゲットとした治験は世界初(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院調べ)。
  • SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
  • その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。