プレスリリース 2021年

超小型アンテナを使用した
300GHz帯テラヘルツ無線通信に成功

~Beyond 5G/6G時代の超高速無線通信などの実用化に向けた研究開発を加速~

2021年1月13日
国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学
ソフトバンク株式会社
国立研究開発法人情報通信研究機構

国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学、ソフトバンク株式会社、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、National Research Tomsk State UniversityおよびTomsk Polytechnic Universityの研究グループ(以下「本研究グループ」)は、Beyond 5G/6G※1時代を見据え、300GHz帯テラヘルツ無線(以下「テラヘルツ無線」)で動作する超小型アンテナを使用した通信実験に成功しましたのでお知らせします。

近年、無線通信の高速化・大容量化の要求によって、100Gbps以上の伝送速度を実現するBeyond 5G/6G技術に関する研究開発が世界的に開始されつつあります。テラヘルツ無線は、5Gで利用されるミリ波帯と比べて、より広い周波数帯域が利用可能なため、超高速無線システムの候補として期待されています。一方、スマートフォンに搭載可能なサイズで利得※2の高いアンテナの開発と、そのアンテナを使用して実用的に通信を行うことが課題となっています。

このたび本研究グループは、昨年開発した、フォトニックジェット効果※3を用いた小型の誘電体アンテナ(1.36mm×1.36mm×1.72mm、開口面積1.8mm2、利得およそ15dBi)を使用して、600mmという小区間で17.5Gbpsの通信実験に成功しました。この距離は最初の一歩として、テラヘルツ帯がスマートフォンなどの近距離通信に使えることを示し、また現在開発が進められているテラヘルツ無線に対応するトランシーバーの出力と受信感度の性能が向上することで、より長距離の通信への可能性を示すものです。

今後は、超小型アンテナを相互に用いたテラヘルツ無線通信のユースケースや、無線送受信機の実現可能性を調査します。

今回の研究成果は、2021年1月10日から15日までオンラインで開催される国際会議「European Microwave Week 2020(EuMW2020)」において、「“Short-range Wireless Transmitter Using Mesoscopic Dielectric Cuboid Antenna in 300-GHz Band” Kazuki Yamada, Yuto Samura, Oleg Vladilenovich Minin, Atsushi Kanno, Norihiko Sekine, Junichi Nakajima, Igor Vladilenovich Minin, Shintaro Hisatake(300GHz帯における波長サイズDCAアンテナによる短距離送信)」の名称で採択されました。

今後もBeyond 5G/6G時代の超高速無線通信などの実用化に向けた研究開発を加速し、通信事業の発展に貢献していきます。

今回の研究成果の詳細は、別紙をご覧ください。

[注]
  1. ※1
    第5世代移動通信システム(5G)の次の無線アクセスシステムを指す。5Gの特長(超高速、超低遅延、多数同時接続)のさらなる高度化に加えて、高信頼化やエネルギー効率の向上など新たな技術革新が期待されています。
  2. ※2
    アンテナに入力された電力に対して、アンテナ正面方向にどの程度の電力を出力できるのかを数値化したもの。利得が高ければ、より指向性が強い電波を放射することが可能になります。
  3. ※3
    波長オーダーの誘電体構造に電磁波を照射することで、誘電体の後ろに発生する現象のこと。透過発生したフォトニックジェットを測定して、アンテナ本体の性能を明らかにし、これを通信に応用しました。

超小型アンテナ(白い立方体部)による通信試験

[注]
  1. 通信エラー率から可能となる最大の離隔で検証
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