プレスリリース 2022年

国際会議「NeurIPS 2022」で論文が採択

~魚の群行動を深層強化学習により自律的にシミュレーションする手法を提案~

2022年12月1日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、2022年11月28日から12月9日まで米国ルイジアナ州ニューオーリンズで開催されている機械学習分野における世界最高峰の国際会議の一つである「Neural Information Processing Systems 2022」(以下「NeurIPS 2022」)で、ソフトバンクのコーポレートIT本部 アドバンスドテクノロジー推進室と米国のNeuralX Inc.が共同で執筆した論文(以下「本論文」)が採択されましたのでお知らせします。本論文は、NeurIPS 2022で、魚の群行動を深層強化学習により自律的にシミュレーションする手法などの研究成果を発表したものです。

養殖における給餌は、海洋環境の保全および生産の効率化にとって非常に重要です。しかし、現状では水中の魚の様子が分からないため、経験者が海面から見えている魚の振る舞いを観測し、勘と経験を基に給餌を行っています。最適な給餌は、養殖業者の経営のためだけではなく、海洋の環境を守るためにも必要とされています。ソフトバンクは、給餌シミュレーションの作成に必須である魚の群行動のシミュレーションを行いました。これまで、いけすの大きさや魚の密度、魚種などの違いによる魚の群行動を自律的にシミュレーションする手法は提案されていませんでした。このたびの研究の成果では、Deep Reinforcement Learning(深層強化学習、以下「DRL」)を活用することで、疎の状態と密の状態における魚の振る舞いが異なることを示し、実際の映像と比較することで結果を検証しました。

今後、さらに研究を進めて、給餌の状態をシミュレーションすることで、いけすのサイズや魚種、尾数、環境の違いによって最適な給餌方法を提案できるようになることが期待できます。

NeurIPS 2022で採択された論文の詳細は、下記の通りです。

タイトル

DeepFoids: Adaptive Bio-Inspired Fish Simulation with Deep Reinforcement Learning

(和訳)DeepFoids:深層強化学習による魚の生態を取り入れた群行動シミュレーション

URL:https://deepfoids.atpo.info/

概要

本論文では、色々な環境に適応した魚の群行動を深層強化学習により自律的に獲得する手法を提案しました。任意の環境下にあるいけすにおいて、マルチエージェントのDRLを用いて、任意の変数の組み合わせで群行動シミュレーションを実現しました。さらに、さまざまな場所や季節の水中景観を視覚的に再現するため、物理ベースの水中シミュレーションを組み込んでいます。これにより、コンピューターグラフィックスを用いて、本物と酷似した画像データセットを生成することが可能になりました。機械学習で必要な任意のラベル付きトレーニングデータを自動で生成することができ、尾数カウントやサイズ推定の学習データに適用することが可能になります。

実動画とシミュレーション結果の比較(左:疎の状態 右:密な状態)

実動画とシミュレーション結果の比較(左:疎の状態 右:密な状態)

NeurIPSについて

Neural Information Processing Systems(NeurIPS)は、長年にわたり、機械学習分野のトップ会議として知られています。1987年に立ち上げられ、NeurIPS 2022は36回目の開催となります。NeurIPSでは、機械学習や神経科学と共に、認知科学や心理学、コンピュータービジョン、統計言語学、情報理論の研究発表がされており、2012年以降は、特に深層学習、視覚野の階層構造に着想を得たConvolutional Neural Network(ConvNet)や強化学習に基づく画像処理、言語翻訳、囲碁の世界チャンピオンなどが発表されています。2022年は、1万411件の投稿の中から、25.6%の論文が採択されています。

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