プレスリリース 2023年

スズキと共同で5G SAとセルラーV2Xを活用した
クルマの交差点右折時の事故低減に向けた
ユースケースの検証を実施

~5G SAや5.9GHz帯の周波数による車車間通信を活用したシステムでの有用性を確認~

2023年3月17日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川 潤一、以下「ソフトバンク」)は、スズキ株式会社(本社:浜松市南区、代表取締役 社長:鈴木 俊宏、以下「スズキ」)と共に、より安全な移動社会の実現を目指し、スタンドアローン(Stand Alone)方式による第5世代移動通信システム(以下「5G SA」)※1およびセルラーV2X通信システム(以下「セルラーV2X」)※2を活用して、クルマの交差点右折時の事故低減に向けたユースケースの検証を実施し、その有用性を確認しました。

スズキが研究開発を行うテストコース「相良コース」(静岡県牧之原市、以下「相良コース」)に設置したソフトバンクの5G SAの実験用基地局とV2N(車両と基地局間の通信)やV2V(車車間の通信)などの通信技術と、スズキの車両および車両技術を活用して、交差点の右折時に衝突の危険がある車両のドライバーに対して、音と表示で報知するシステムを開発し、検証を実施しました。また、V2Vに関しては、国際的に割り当てが検討されている5.9GHz帯の電波の実験試験局免許を取得して、5G SAと同様に相良コースに通信環境を構築し、国内で先行して検証を実施しました。

ユースケースの検証の概要

クルマが交差点を右折する際に、対向車線に右折車両が存在し、見通しが悪く対向車線を走る直進車両が目視およびセンサーで検知できないシーンを想定しました。それぞれの車両が、位置情報や車両情報を、V2Nを活用してMECサーバー※3経由で他の車両に、もしくはV2Vを活用して他の車両へ送信することで、各車両の情報を集約します。各車両の情報を基に衝突判定を実施し、衝突の危険がある場合は、その結果を対象の車両へ送信し、車両のドライバーに音と表示で通知を行います。ドライバーに対向車線の直進車の存在を通知することで、右折時の衝突事故を防止します。

5G SAを活用したV2Nで、車両からMECサーバーを介して車両に通信する場合

交差点付近にいる車両は、位置情報や車両情報などを定期的にMECサーバーへ送信して、MECサーバー側で受信した各車両情報と地図情報をひも付け、管理を行います。MECサーバーは、集約した車両情報から衝突判定を実施して衝突の危険があると判断した場合、対象の車両へ衝突判定の結果を送信します。衝突判定の結果を受信した車両は、音と表示でドライバーに警報通知を行います。

5G SAを活用したV2Nで、車両からMECサーバーを介して車両に通信する場合

セルラーV2Xを活用したV2Vで、車両から車両へ直接通信する場合

交差点付近にいる車両は、位置情報や車両情報などを周辺車両へ直接送信します。周辺車両の情報を受信した車両が、情報の管理を行うとともに衝突判定を実施して、衝突の危険がある場合は音と表示でドライバーに警報通知を行います。

セルラーV2Xを活用したV2Vで、車両から車両へ直接通信する場合

検証の様子と右折車へ通知が出る様子(右折待ちの車両目線)

検証の様子と右折車へ通知が出る様子(右折待ちの車両目線)

衝突回避などの運転支援システムは、カメラやレーダーなどの車載センサーを使用した車両のみで完結するシステムが一般的ですが、このたびの検証で5G SAや車車間通信を活用したシステムでも十分に有用性があることが確認できました。

ソフトバンクは、今後もより安全な移動社会の実現に向けて、5G SAやセルラーV2Xなどを活用した事故低減に向けたユースケースの検証に関する取り組みなど、研究開発を進めていきます。

[注]
  1. ※1
    スタンドアローン(Stand Alone)方式による5G。従来の4Gのコア設備を流用し5Gの基地局と組み合わせたシステム構成のノンスタンドアローン方式とは異なり、新たな5G専用のコア設備と5Gの基地局を組み合わせた最先端の技術。
  2. ※2
    3GPP(移動通信システムの規格策定を行う標準化団体)で標準化された通信規格で、モバイルネットワークを用いて車両間、交通インフラと車両間、ネットワークと車両間、歩行者と車両間などで通信をする技術。
  3. ※3
    MECはMulti-access Edge Computing(マルチアクセスエッジコンピューティング)の略で、基地局など端末から近い位置にデータ処理機能を配備することで、クラウドサーバーと比較して通信の最適化や高速化をすることができる技術。
  4. ※4
    局地的に電波品質の高い5G通信を提供できる可搬型設備
  5. ※5
    準天頂衛星「みちびき」などのGNSSから受信した信号を利用してRTK測位を行うことで、誤差数センチメートルの測位情報を可能にするサービス。
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