プレスリリース 2023年

Eye-Net Mobileの衝突予測技術を活用した
「次世代都市交通分散システム」の共同実証を本格的に開始

  • セルラーV2X※1の衝突予測アルゴリズムと分散処理技術を保有する、イスラエルのEye-Net Mobileのソリューションを次世代都市交通の領域に適用
  • 衝突予測により生成されるイベント情報をリアルタイムかつセキュアに利活用できる分散システムの実証を、2023年9月から本格的に開始

2023年8月31日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、さまざまな交通手段が発達し、複雑化する都市環境において、歩行者など全ての人が安心して移動できる社会の実現を目指して、Eye-Net Mobile Ltd.(本社:イスラエル)と共同で、同社が提供する衝突予測ソリューション(以下「Eye-Net」)※2を活用した「次世代都市交通向け分散システム」の本格的な実証を、2023年9月から開始します。

次世代都市交通を実現するためには、見通しの悪い道路などの地理的空間や動作端末に依存せずに、移動状況を把握することが必要となります。「Eye-Net」は、スマートフォンや車載などの通信機器にSDK(ソフトウエア開発キット)を導入するだけで、移動する車や人との衝突を事前に予測し、エッジサーバーやデバイス上の分散システムにより、低遅延かつ効率的に衝突を予測することが期待できるソリューションです。複雑化する次世代の都市環境においては、車やパーソナルモビリティー、ドローン、自転車、歩行者などが複雑に往来します。「Eye-Net」は、それらのさまざまなモビリティーに対応した衝突予測アルゴリズムを実装しており、検知精度と併せてソフトバンクとのこれまでの共同実証の中で既に一定の有効性が確認されています。

また、次世代都市交通においては、膨大に発生する衝突予測情報をリアルタイムに処理、利活用するシステム設計が必要となります。今回、従来のバッチ処理型のデータベース設計ではなく、イベント・ドリブン・アーキテクチャー※3を採用することで、リアルタイムな交通マネジメントや動的制御を実現します。これにより、自治体や公共機関、保険会社など、法人のお客さまのニーズに合わせた即時性の高い情報処理機能を提供することが可能となります。

さらに、「Eye-Net」の計測情報を、低遅延で通信可能な5G(第5世代移動通信システム)に対応するMEC(以下「5G MEC」)を経由して衝突予測を行うことで、効率性を向上させるとともに、ハンドオーバーの検証を行う予定です。「Eye-Net」は移動する端末とエッジサーバーを効率的にルーティングする機能を有しており、これを応用して5G MEC間のネットワークハンドオーバーに対応した開発を計画しています。また、ソフトバンクは、2023年7月に関西地方で5G MECを新たに開設しており、低遅延かつ高品質でセキュアな通信環境でこのソリューションの提供範囲の拡大が可能になります。

ソフトバンクは、安心して移動できる社会の実現のため、日本の自治体や幅広い業種の法人のお客さま向けに、2024年度以降の「次世代都市交通分散システム」の提供開始を目指します。

各社のコメント

ソフトバンクの執行役員 兼 データ基盤戦略本部 本部長の丹波廣寅は、次のように述べています。
「Eye-Net Mobileの分散配置する衝突予測処理技術は、ソフトバンクの目指す『次世代社会インフラ』の実現を加速させる画期的な取り組みです。モバイル網に分散配置された計算資源と組み合わせることで、物理的に離れた複数の都市を包括する全国規模の都市交通インフラの実現に大きく寄与することが期待できます。また、本インフラに集約した衝突予測データを他の都市交通インフラやシステムと連携することで、自律的に衝突予測精度の向上や交通インフラの動的制御が可能になります。今回の共同実証によって、日本の次世代の交通システムの新しい可能性を示していきたいと考えています」

Eye-Net Mobile Ltd.のCEOのDror Elbaz(ドロール・エルバス)氏は、次のように述べています。
「これまでの共同実証により、ソフトバンクとの今回の実証に選ばれたことを光栄に思います。これは、車や歩行者などの全ての人の安全性を高める最先端のソリューションを提供するという、弊社の努力を裏付けるものです。今回の共同実証による可能性は、弊社の衝突予測ソリューションが日本の数千万人の人たちを出合い頭事故から守り、より安全な交通社会を実現する新しい交通安全のアプローチとなることを期待しています」

[注]
  1. ※1
    自動車とあらゆるものの情報のやりとりを実現する通信技術。自動車が通信する接続先は、周辺車両や道路インフラ(信号機、道路標識、駐車場など)、歩行者、ネットワークに分類され、LTEや5Gといったモバイルネットワークを用いるものはセルラーV2X(C-V2X)と呼ばれる。C-V2Xは事故低減などの安全を意識したサービスや自動運転、MaaSといった分野への活用が期待され、さまざまな研究・開発が行われている。
  2. ※2
    スマートフォンなどでも動作可能で、モバイルネットワークを用いて車や歩行者などの情報を通信し、出合い頭の衝突事故をAI(人工知能)も活用して予測を行い、危険な状況を事前に検知することができるEye-Net Mobileのソリューション。詳細はこちらをご覧ください。
  3. ※3
    VANTIQ Inc.のイベントドリブン型アプリケーション開発プラットフォームを活用した、イベント(利用者の操作や他のプログラムが実行した処理など)に応じてリアルタイムに解析・処理などを行う仕組み。
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