プレスリリース 2025年

「AITRAS」、ArmベースのNVIDIAプラットフォームを
活用したC-RANとD-RANの
AI-RANアーキテクチャー実装の完了について

~C-RANとD-RAN展開に向けたAI-RANの商用準備を促進~

2025年3月3日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、AI-RANの統合ソリューション「AITRAS(アイトラス)」の商用化に向けて、パートナーの富士通株式会社(以下「富士通」)の協力の下、NVIDIA Grace CPU Superchipを搭載したプラットフォームへのCU(Central Unit)の機能実装を完了しました。また、CUとDU(Distributed Unit)の処理を1台のNVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip上に展開するD-RAN(Distributed RAN)の機能実装も完了しました。

NVIDIA Grace CPU Superchipは、Arm® Neoverse™ V2 CPUを採用したGrace CPUを2基活用しています。

「AITRAS」、ArmベースのNVIDIAプラットフォームを活用したC-RANとD-RANのAI-RANアーキテクチャー実装の完了について

今回の開発により、「AITRAS」において、CUとDUを異なるサーバー上に展開して基地局の収容効率を高めるC-RAN(Centralized-RAN)と、CUとDUを同一サーバー上で処理してハードウエア構成を最小化するD-RANの2種類のアーキテクチャーを実現しました。

これにより、「AITRAS」の商用展開時に必要なハードウエアを削減することが可能になり、導入コストの抑制および効率化が期待できます。

「AITRAS」、ArmベースのNVIDIAプラットフォームを活用したC-RANとD-RANのAI-RANアーキテクチャー実装の完了について

現在屋外で検証中の「AITRAS」は、通信事業者向けの大規模なデータセンターを考慮したC-RAN構成となっており、CUの処理はNVIDIA Grace Hopperサーバー上で実行されています。今回の開発で、このCUの処理をNVIDIA Grace CPUサーバー上で実行することが可能となり、1台のCUに収容可能なRU(Radio Unit)数をおよそ2倍に向上させることができます。これにより、CUの処理に必要なサーバーの台数を減らすことが可能となり、データセンター向けのC-RANアーキテクチャーのコスト抑制を実現します。

また、D-RANアーキテクチャーは、小規模なRUの展開を行う環境において、RUと同一サイトにCUの処理とDUの処理を行うサーバーの展開を行うことを想定しています。従来のC-RANアーキテクチャーで同様の展開を行う場合、CUの処理とDUの処理を別々のサーバーで行う必要があり、展開コストが大きくなることが課題でした。同一NVIDIA Grace Hopperサーバー上でCUの処理とDUの処理を実行できるD-RANアーキテクチャーの開発により、商用展開時に必要なハードウエアを削減することができるようになります。

ソフトバンクでは、C-RANアーキテクチャーおよびD-RANアーキテクチャーを、2025年度から順次屋外の検証環境に導入し、性能の検証を進めていく予定です。

ソフトバンクの専務執行役員 兼 CTOの佃英幸は、次のように述べています。
「『AITRAS』の開発における今回の成果は、ソフトバンクの技術革新と商用化に向けた重要な一歩です。パートナー各社との緊密な協力により、C-RANとD-RANの両アーキテクチャーを実現することができました。これにより、ネットワーク展開の効率性とコストパフォーマンスが大幅に向上することを確信しています」

NVIDIAのVice President of TelecomsであるSoma Velayutham氏は、次のように述べています。
「AI-RANの実現には、集中型および分散型のネットワークアーキテクチャーの拡張を可能にする、スケーラブルで100%ソフトウエア定義のプラットフォームが必要です。ソフトバンクは『AITRAS』上で継続的に革新を重ね、NVIDIA AI Aerialを活用することで、AI-RANの商用展開への道のりが加速しています」

Armのvice president of go-to-market, Infrastructure Line of BusinessであるEddie Ramirez氏は、次のように述べています。
「AI-RANソリューションは、拡張し続けるために、性能とエネルギー効率の両方において最高水準を要求しています。市場をリードするNeoverse技術を活用することで、ソフトバンクの『AITRAS』はRAN性能の限界を押し広げるとともに、ネットワーク展開をさらにコスト効果が高いものにします。この分野での革新を推進するために、ソフトバンク、NVIDIA、富士通、そしてテレコムパートナーとの継続的な協力を楽しみにしています」

富士通株式会社 執行役員EVP システムプラットフォームビジネスグループ 副グループ長 水野晋吾氏は、次のように述べています。
「今回、富士通のvRANソフトウエアおよびエンジニアリングの提供とパートナー各社の連携によりC-RAN/D-RANの構成が実現できたことは、導入コストの縮減や省電力化が図られ、これからのAI-RAN商用化に向けた非常に大きな成果になったと考えています。これからも富士通はvRANソフトウエアをはじめ、新たな技術開発・技術提供により、より多くのお客さまと社会へ価値を提供していきます。」

[注]
  1. 「AITRAS」の詳細は、2024年11月13日付のプレスリリース「AI-RAN統合ソリューション『AITRAS』を開発」をご覧ください。
  • SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
  • その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。