プレスリリース 2025年

データセンターの設備の構築や保守作業などの
自動化に向けて、ロボットフレンドリーな仕様の
サーバーラックを開発

~ケーブルレス構造によりサーバーの設置や保守作業などでのロボットの活用を推進~

2025年9月8日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、データセンターの設備の構築や保守作業などの自動化に向けて、ケーブルレス構造によるロボットフレンドリーな仕様のサーバーラックを新たに開発しました。ソフトバンクはこのサーバーラックを活用して、サーバーの設置や撤去、故障時の交換、点検などの作業を、ロボットで自動化することを目指します。

データセンターでは、サーバーラック内に多数のケーブルがあることが、ロボットによる作業自動化における大きな障壁となっています。ケーブルが密集していることで、ラック内でロボットが対象機器を正確に認識したり、操作したりすることが困難になり、作業の精度や効率に大きな影響を及ぼします。そこでソフトバンクは、ロボットがそれぞれのケーブルを取り扱うなど複雑な動きをすることなく、サーバーの設置や故障時の交換などの作業を効率的かつスムーズに行うことを可能にするため、電源や通信などのケーブルの接続が不要なケーブルレス構造を採用したサーバーラックを開発しました。

このサーバーラックは、ソフトバンクが独自に設計・開発したアダプターを含む接続機器と内部構造により、EIA規格(幅19インチ)の汎用サーバーをケーブルレスで設置することが可能です。また、電源・冷却・通信の全てがケーブルレスに対応しているため、ロボットは押し込み作業のみでサーバーをラックに設置することができます。さらに、サーバーラック内の通信には、ソフトバンクが独自に設計した光信号を利用するアーキテクチャーが採用されています。なお、このサーバーラックは、ハードウエアの仕様や設計の標準化・効率化を進める非営利組織「Open Compute Project(OCP)」がデータセンター向けの製品の設計について定めた仕様であるORV3規格に準拠した寸法で、液体冷却に対応します。

ソフトバンクは今後、このサーバーラックを実環境でロボットと連携させる検証を行います。また、ロボットの活用によるデータセンターの運用のさらなる自動化を目指し、パートナー企業と連携して、AMR(Autonomous Mobile Robot、自律走行搬送ロボット)やAGF(Automated Guided Forklift、無人搬送フォークリフト)などの開発にも取り組んでいきます。これらは、2026年度に開業予定の「北海道苫小牧AIデータセンター」において、ロボットによる作業自動化を実現するための取り組みの一環です。

ソフトバンクが開発したサーバーラック
ソフトバンクが開発したサーバーラック

ソフトバンクが開発したサーバーラックの特長

1. 独自の設計により、汎用サーバーに対応

ソフトバンクが独自に設計・開発したアダプターを含む接続機器と内部構造により、EIA規格(幅19インチ)の汎用サーバーをケーブルレスで設置することが可能で、市販のサーバーにも対応できる高い汎用性を実現します。

EIA規格サーバーの搭載イメージ
EIA規格サーバーの搭載イメージ

2. 電源・冷却・通信の全てをケーブルレスで接続可能

電源にはラック背面の金属バーから直接給電する「バスバー方式」を、冷却には水冷用の部品を差し込むだけで接続できる「ブラインドメイト式コネクター」を、通信には光信号を利用する「光コネクター」を採用し、電源・冷却・通信の全てをケーブルレスで接続することが可能です。

ラックへのサーバーの接続イメージ
ラックへのサーバーの接続イメージ

各社コメント

ソフトバンク株式会社の共通プラットフォーム開発本部 本部長のアシック・カーンは、次のように述べています。
「ソフトバンクは、長期ビジョンである次世代社会インフラの実現に向けて、分散型AIデータセンターや日本国内最大級のAI計算基盤の構築など、さまざまな取り組みを推進しAIの社会実装を目指しています。その一環として、データセンターの設備の構築や保守作業などをロボットで完全自動化することを目指し、電源・冷却・通信など全てをケーブルレスで接続できるサーバーラックを協力パートナーと開発しました。エンタープライズ向けの汎用的なサーバーにも対応する、高い汎用性と拡張性を備えたこのサーバーラックを活用して、次世代データセンター設備の構築の自動化を実現します」

センコーアドバンス株式会社の常務執行役員 オプティカルコミュニケーションズ事業本部 本部長の長谷川順一氏は、次のように述べています。
「このたび、ソフトバンクのデータセンターの自動化に向けた最先端のサーバーラック開発に、当社の光コネクターを採用していただきましたこと、光栄に思います。当社の光コネクター技術が、ソフトバンクとパートナー企業の高い技術力と融合し、革新的な通信インフラの開発に貢献できることを、心より期待しています。今後も、光通信分野のさらなる発展に寄与すべく、高性能かつ実用性に優れた製品の開発に努めていきます」

ニデック株式会社の副社長執行役員の北尾宜久氏は、次のように述べています。
「ソフトバンクが次世代データセンター向けに開発した『ロボットフレンドリーなサーバーラック』において、当社を検証パートナー企業に選定していただき、大変光栄に思います。当社は、ソフトバンクの構想の実現に向けて、CDU(冷水分配装置)の保守作業の効率化へ向けた機能冗長技術や接続技術、制御技術など、これまで培ったあらゆる知見を活用し、さらなる性能の向上と設計の最適化を図り、保守作業の自動化に寄与します」

日東工業株式会社の開発本部 機材開発部長の高津祐司氏は、次のように述べています。
「ソフトバンクが見据えるデータセンターの完全自動化という先進的なビジョンに共感し、その実現に向けた共同開発に参加できたことを大変光栄に思います。サーバーを押し込むだけで接続が完了する革新的なケーブルレス構造は、データセンター業界の最新規格であるOCP(Open Compute Project)の設計思想に基づいています。当社は長年培ってきた精密な筐体設計のノウハウを注ぎ込み、ソフトバンクをはじめとするパートナー企業の皆さまと共にこのケーブルレス構造を実現しました。このサーバーラックは、データセンターの省人化・効率化という社会課題を解決する大きな一歩になると確信しています」

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