ソフトバンクと安川電機、AI-RANを活用した
「フィジカルAI」の社会実装に向けて協業を開始

協業の背景

日本では、少子高齢化による人手不足や業務の高度化などを背景に、さまざまな業界で自動化・省人化のニーズが高まっており、AIやロボットの活用が求められています。しかし、ビルや病院、学校、百貨店など不特定の人が行き交う環境では、予測困難な事象や複雑な判断が求められるため、自動化が進みにくいのが現状です。ソフトバンクと安川電機は、こうした社会課題を日本発の技術で解決することを目指し、ソフトバンクのAI-RANと、安川電機のAIロボティクスを融合させて日本国内でフィジカルAIを実現し、そのAI基盤と新たなソリューションの構築に取り組みます。この取り組みを通して、ロボットがより高度な判断力を備え、ロボットの対応可能な作業領域を拡張させることを目指します。

両社の取り組み

安川電機は、モーション制御および産業用ロボットの分野において、長年にわたり高い信頼と実績を築いてきました。モーターを中心とした精密制御技術や高い安全性を強みに、AI技術を融合させることで、ロボット自身が高度な判断力を備えた自律ロボット「MOTOMAN NEXT（モートマンネクスト）」の開発を進め、自動化可能な作業領域の拡張に取り組んでいます。

ソフトバンクは、AIとRAN（無線アクセスネットワーク）の融合によって通信インフラの新たな価値を創出するAI-RANの技術や、MEC基盤を活用したリアルタイム処理技術の開発を進めてきました。これにより、センサーやカメラから得られる膨大な環境情報を低遅延で解析し、ロボットに「外部からの視点」で最適な行動を指示する仕組みを実現しています。

今回の協業では、安川電機のAIロボティクスによって高い作業力と精緻な制御を実現したロボットに、ソフトバンクのAI-RANを組み合わせることで、ロボットのセンサーやカメラ情報、ビル管理システムなどの外部のシステムの情報を統合・解析し、リアルタイムに最適な指示を行う仕組みを構築します。両社がそれぞれの領域で培ってきた先進技術を掛け合わせることで、フィジカルAI領域における新たな自動化ソリューションの創出と社会実装を目指します。

オフィス向けフィジカルAIロボットのユースケースを開発

ソフトバンクと安川電機は、協業の第1弾として、オフィス向けのフィジカルAIロボットのユースケースを共同で開発しました。このユースケースでは、これまでの自動化・デジタル化の枠を超え、安川電機の高い作業力を持つロボットと、ソフトバンクのAI-RANによるMECおよびそこで動作するAI、そして次世代のビル管理システム^※2が連携します。これにより、ロボットがオフィスの棚から特定のスマートフォンを認識して取り出すといった、ビル内の状況を踏まえた高度な判断に基づく動作や、想定外の事象への柔軟な対応が可能になります。

[注]

1. ※2
   今回のユースケースでは、仮想的なシステムを構築して活用。

システム構成

次世代のビル管理システムと、MEC上で動作し、ロボットへの指示内容（タスク）を生成するAI（MEC AI）、ロボットの具体的な動作を生成するAI（ロボットAI）が連携します。

• 次世代のビル管理システム：ビルの設備の情報やオフィス内の備品などの在庫状況、稼働中のロボットの情報などを統合的に管理
• MEC AI：ロボットのセンサーやカメラなどの情報の他、判断に必要な情報をビル管理システムに問い合わせることで、タスクを生成してロボットへ指示
• ロボットAI：MEC AIと連携して、ロボットの具体的な動作を生成