プレスリリース 2026年

日本初、「空飛ぶ基地局」HAPSの商用化に向けた
試験サービスの提供に成功

  • SceyeのHAPSが米国から太平洋を横断し、日本上空で長期間の滞空を達成
  • 2027年以降の商用化に向けて、期間やエリア、端末などを限定した通信試験を実施
  • HAPSによるスマホでの音声通話や大容量データ通信、大規模災害時を想定した緊急速報メールシステムの動作を確認
  • 3次元通信ネットワークの実現に向けたHAPSとドローン間の通信に加え、世界で初めてHAPSによるエッジコンピューティングの技術検証に成功

2026年9月2日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川潤一、以下「ソフトバンク」)とSceye, Inc.(スカイ、本社:米国ニューメキシコ州、創業者 兼 CEO:ミッケル・ヴェスターガード・フランドセン、以下「Sceye」)は、SceyeのLTA(Lighter Than Air)型※1の成層圏通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station、以下「HAPS」)を用いて、日本でのHAPS商用化に向けた試験サービスの提供に成功しましたのでお知らせします。日本上空を飛行するHAPSによる通信試験に成功したのは、国内で初めてです※2

今回、SceyeのHAPSは米国ニューメキシコ州ロズウェルを出発し、太平洋上空を経て、日本上空まで1万5,000km以上にわたって成層圏を飛行しました。その後、高知県の室戸岬沖の上空で長期間滞空しながら、ソフトバンクのコアネットワークと接続して通信試験を行いました。スマートフォン(スマホ)による緊急通報を含む音声通話やテキストメッセージの送受信、動画の視聴やビデオ通話などの大容量のデータ通信の他、大規模災害時を想定した緊急速報メールシステムの動作が安定して行えることを確認しました。また、3次元通信ネットワークの実現に向けたHAPSとドローンとの通信の他、将来のサービス提供を見据えて、HAPSを活用したエッジコンピューティングの技術検証に世界で初めて※3成功しました。

ソフトバンクとSceyeは、今回の試験サービスの提供で得られたデータや知見を生かし、2027年以降の日本国内でのHAPSの商用化に向けて、運用方法の整備や通信品質の向上などを進めていきます。

[注]
  1. ※1
    LTA(Lighter Than Air)型とは、空気より軽く、浮力を利用して飛行を維持するHAPSのこと。
  2. ※2
    HAPSからスマホおよびドローンの通信試験に成功したのは日本初。2026年8月23日時点の公開情報に基づく(ソフトバンク調べ)。
  3. ※3
    HAPS上にモバイルコアとウェブサーバーを搭載し、スマホからの通信を地上ネットワークを経由せずにHAPS内で応答処理し、その結果をスマホへ返す試験に成功したのは世界初。2026年8月23日時点の公開情報に基づく(ソフトバンク調べ)。
米国ニューメキシコ州を出発したSceyeのHAPS(2026年8月9日)
米国ニューメキシコ州を出発したSceyeのHAPS(2026年8月9日)

1. HAPSの長距離・長期間飛行と滞空性能を確認

今回使用したSceyeのHAPSは、2026年8月9日午後10時00分(日本時間)に米国ニューメキシコ州を出発して、太平洋上空を約13日間、1万5,000km以上飛行し、8月23日午前7時11分(日本時間)に日本上空へ到達しました。その後、南海トラフ地震などの大規模災害を想定したエリアである高知県室戸市周辺の上空(室戸岬沖)において、成層圏の風向きや風速などの気象条件を踏まえて機体を運用しながら、指定された試験エリアで長時間にわたって半径最小5km以内で機体の位置を保持することができました。これにより、SceyeのHAPSが長距離・長期間飛行し、日本の気象条件においても一定の範囲内で安定して滞空できることを確認しました。また、日本での試験終了後は太平洋上空を横断して米国に向けて飛行しており、9月2日現在も長期間の連続飛行による性能の確認を継続しています。

試験サービスにおけるSceyeのHAPSの飛行ルート
試験サービスにおけるSceyeのHAPSの飛行ルート

2. HAPSによる地上スマホの通信性能を確認

高知県室戸市周辺において、HAPSと地上のスマホ間の双方向の通信試験を行いました。試験では、SceyeのHAPSに搭載した4G LTE相当の基地局を、地上ゲートウェイを介してソフトバンクのコアネットワークに接続しました。その結果、音声通話やテキストメッセージの送受信、SNSなどのアプリケーションの利用、ビデオ通話や動画の視聴といった大容量のデータ通信が安定して行えることを確認しました。また、緊急地震速報や津波警報などの緊急速報メールシステムや、海上保安庁の協力の下、音声通話による118番緊急通報の確認などを行いました。データ通信の試験においては、地上基地局との電波干渉を低減しながら、地上ネットワークと同等の通信性能を実現できることを確認しました。これにより、日本上空を飛行するHAPSから地上のスマホへ安定して通信サービスを提供できることを確認した他、HAPSの商用化に向けた設備やネットワーク構成などの運用に関する知見を得ることができました。

3. HAPSとドローン間の通信に成功

ソフトバンクは、HAPSを活用して、大規模災害時などに地上へ通信サービスを提供するだけではなく、ドローンなどの上空のモビリティへも安定した通信環境を提供する、3次元通信ネットワークの構築を目指しています。その実現に向けた取り組みとして、HAPSとドローン間の通信試験を行いました。今回の試験では、HAPSの通信環境下で遠隔制御によるドローンの自動飛行を実施し、飛行制御やドローンからの位置情報の送信、映像伝送などを安定して行えることを確認しました。HAPSの活用により、災害発生時の被害状況の確認や物資輸送、離島・洋上などでの監視、山間部を含む物流、送電線や道路などのインフラ点検、山林の監視など、ドローンを用いたさまざまなユースケースへの応用が期待できます。

4. 世界初、HAPSを活用したエッジコンピューティングの技術検証に成功

今後、AI(人工知能)の活用が情報の生成のみならず、フィジカルAI※4などの領域へ広がることで、通信ネットワークやデータ処理はさらなる低遅延化が求められます。そこで、成層圏におけるエッジコンピューティングの可能性を確認するべく、HAPSに処理サーバーを搭載し、HAPS上でデータを処理する検証を行いました。その結果、HAPS上のサーバーでの応答処理時間は往復平均68ミリ秒となり、インターネットを経由してクラウド上で処理する場合と比較して、通信の遅延を40%以上低減できることを確認しました。HAPS上にモバイルコアと処理用のウェブサーバーを搭載し、HAPS内で応答処理してその結果をスマホへ返す試験に成功したのは世界で初めてです。HAPSが提供する広域な通信エリアとエッジコンピューティング技術を組み合わせることで、フィジカルAI領域での活用やリアルタイムな映像解析など、広域性と低遅延性の双方が求められる新たなユースケースでの活用を目指します。

[注]
  1. ※4
    フィジカルAIとは、ロボットのセンサーやカメラ、外部のシステムから得た情報をAIが解析・判断し、その結果に基づいてロボットが柔軟で複雑な動きができるようにする技術のこと。

5. 今後の展開

ソフトバンクとSceyeは、今回のHAPSの試験サービスの提供によって得られた、HAPSの飛行や運用、通信に関するデータや知見を生かして、運用体制の整備や通信品質の向上を進め、2027年以降の日本国内でのHAPS商用化を目指します。

また、ソフトバンクは、6G(第6世代移動通信システム)時代を見据えて、衛星やHAPS、地上の通信ネットワークをシームレスに連携させることで、地上のみならずドローンなどの上空のモビリティに安定した通信環境を提供する、次世代の3次元通信ネットワークの実現を目指します。将来的には、HAPSによるエッジコンピューティングや、AI-RANなどの技術の活用を検討し、次世代の通信インフラとしてHAPSのユースケースを広げていきます。

6. 各社のコメント

ソフトバンクの代表取締役 社長執行役員 兼 CEOである宮川潤一は、次のように述べています。

「ソフトバンクは、地上と上空、宇宙がシームレスにつながる次世代の通信インフラの構築を目指しています。今回、SceyeのHAPSが米国から日本に到達し、国内初となる上空での試験サービスの提供に成功したことは、この構想の中核であるHAPSの商用化に向けた重要な一歩です。Sceyeが培ってきたHAPSの飛行・運用技術と、ソフトバンクの通信技術を組み合わせることで、HAPSを活用した3次元通信ネットワークの実現に向けた確かな手応えを得ることができました。今後もSceyeとの協力の下、通信やAIをはじめとするさまざまな技術を融合させることで、HAPSを新たな社会インフラとして発展させていきます」

Sceyeの創業者 兼 CEOであるミッケル・ヴェスターガード・フランドセンは、次のように述べています。

「今回の飛行は、Sceyeにとって、そしてHAPSの商用化に向けて、極めて重要な節目となります。米国から日本まで飛行することで、成層圏を実用的なインフラ層として活用するために必要な長時間の飛行性能と高度な運用能力を実証しました。ソフトバンクのネットワークとの統合に加え、地上および空中のデバイスとの接続性を実証することで、HAPSが既存ネットワークを補完し、大規模かつ継続的な通信接続を提供できることを示しています。ソフトバンクと共に、私たちは技術そのものを実証する段階から、HAPSを商用サービスとして実現するためのインフラを構築する段階へと進んでいます」

地上から見たSceyeのHAPS(高知県室戸市、望遠レンズで撮影)
地上から見たSceyeのHAPS(高知県室戸市、望遠レンズで撮影)
スマホとの通信試験の様子
スマホとの通信試験の様子
ドローンとの通信試験の様子
ドローンとの通信試験の様子
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