プレスリリース 2014年

LTE-Advanced向け「ネットワーク連携三次元空間セル構成」の
実験試験局免許の取得および実証実験の開始について

2014年2月13日
ソフトバンクモバイル株式会社

ソフトバンクモバイル株式会社は、LTE-Advanced※1を対象とした、三次元空間に配置された複数の基地局が連携してセル間(マクロセルと極小セル間および極小セルと極小セル間)の干渉を抑える「ネットワーク連携三次元空間セル構成」の実証システム(以下「当システム」)の実験試験局免許を2014年2月5日に取得し、お台場エリア(東京都江東区および港区)において実証実験を行います。

実験概要

1. 実験期間 2014年2月5日~2015年3月31日
2. 実験エリア 東京都江東区および港区(お台場エリア)
3. 実験内容 LTE-Advanced対応ネットワーク連携三次元空間セル構成技術の実証実験
4. 実験用基地局数 3.3GHz帯極小セル基地局(実験試験局)3局(今回免許取得)
3.3GHz帯屋外マクロセル基地局(実験試験局)3局(2012年5月免許取得済み)

実証実験実施の背景

急増するトラフィックへの対策として、屋外のマクロセルの傘下に同じ周波数を利用する多数の極小セル(ピコセル、フェムトセル)を重畳して設置(オーバレイ・セル構成)することで、周波数の利用効率を大幅に向上することができます。特に、都市部においては中・高層ビルの屋内のトラフィックが増加しており、マクロセルの小セル化に加えて、ビルのフロアなどにも極小セルを配置するオーバレイ・セル構成(三次元空間セル構成)の検討が不可欠となっています。この構成では、端末側にマクロセルや極小セルなどの多くの基地局から電波が届き、電波干渉が発生しますが、端末機能だけで干渉を抑えるには限界があります。

ネットワーク連携干渉制御

当システムでは、干渉を抑えるためにマクロセルと極小セルをネットワークで連携させて各基地局を制御する「ネットワーク連携干渉制御」を世界に先駆けて実現しています。
まず、マクロセルと極小セル間の干渉については、LTE-Advancedの主要技術の一つであるeICIC※2に機能追加した「連携eICIC」を開発しました。これで、周波数を時間軸上で分割し、マクロセルと極小セルが異なる時間の周波数資源(タイムスロット)を利用するように調節して干渉を抑えています。
また、極小セル間の干渉については、極小セルの基地局間で連携して制御する「連携基地局ビームフォーミング制御※3」、「基地局間協調送信制御※4」、「極小セル向け連携eICIC」などを開発し、それらを適用して干渉を抑えています。
これらの干渉を抑える技術を実現するためには、基地局間の高精度な時間同期技術や、伝送遅延への対策を講じたネットワーク連携制御技術が不可欠となります。当システムでは、当社が「基地局間協調送信制御※4」を実現するために開発したGPSを利用した高精度基地局間同期技術や、非同期のIPネットワーク上で適用可能な基地局間インターフェース(X2インターフェース)を用いたネットワーク連携制御技術を改良して、当システムに適用しています。

今回の実証実験では、伝送品質が安定しているイントラネットを用いた場合と安価なインターネットを用いた場合において、開発した各技術の動作確認を行うとともに、当システムの周波数利用率(スループット)の改善効果を評価します。

なお、今回の実験は、総務省の「電波資源拡大のための研究開発」プロジェクトで採用された「屋外マクロセルと屋内極小セルが混在した三次元空間セル構成におけるネットワーク連携干渉制御技術の研究開発」の一環として実施するものです。

ソフトバンクモバイルは、LTEやLTE-Advancedに関するさまざまな実証実験を実施してきました。実証実験を通じて取得したノウハウや測定データを活用することで、商用サービスに向けた準備をさらに進めるとともに、ワイヤレスブロードバンドにおける通信技術の向上を図り、日本および世界における電波資源の有効利用に貢献していきます。

「ネットワーク連携三次元空間セル構成」の実証システム
[注]
  • ※1 Long Term Evolution-Advancedの略。LTE (Long Term Evolution)の後継となる携帯電話システムとして3GPP(3rd Generation Partnership Project、携帯電話システムの標準化を行っている民間の標準化団体)で標準化が進められている通信規格。
  • ※2 enhanced Inter-Cell Interference Coordinationの略。3GPPで規格化された干渉低減技術。
  • ※3基地局アンテナの水平面内指向性制御技術の一つ。端末方向の放射電力を強め、それ以外の方向の放射電力を弱めるとともに、他セルへの与干渉電力を抑圧する。
  • ※4当社が開発したセル境界での通信品質やスループットを改善する技術。プレスリリース「LTE-Advancedに向けた複数基地局間協調伝送技術の実証実験結果について
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