プレスリリース 2017年

気球・ドローン無線中継システムを活用した
雪山での遭難者位置特定、調査検討結果について

2017年5月22日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社は、冬山登山やスキーによる山岳での遭難事故における遭難者の迅速な救助を目的とした「携帯・スマホ等を活用した遭難者の位置特定に関する調査検討」事業について、このたび調査検討結果をまとめ、総務省北海道総合通信局に報告しました。本事業は、総務省北海道総合通信局から2016年8月に受託し※1、実証実験を実施※2したものです。

「携帯・スマホ等を活用した遭難者の位置特定に関する調査検討」事業の概要

受託期間 2016年8月31日から2017年3月31日
委託元 「携帯・スマホ等を活用した遭難者の位置特定に関する調査検討会」(総務省北海道総合通信局設置)
趣旨 スキー場などでの遭難事故の際に、遭難者が所有する携帯・スマホなどを使って、遭難場所を特定する技術的な試験や調査を実施する取り組み

調査検討の結果

遭難者の携帯電話・スマートフォンとの通信を迅速に確保する方策として、係留気球無線中継システムと本事業のために新たに開発したドローン無線中継システムなどの臨時無線中継システムの活用を提案し、遭難者位置特定の調査検討と試作装置を用いた実証実験を実施しました。また、雪質などがGPSの受信や携帯電話・スマートフォンなどの通信距離に及ぼす影響についても測定を実施し、評価しました。

臨時無線中継システムのメリット

  • 臨時無線中継局と雪に埋もれた携帯電話・スマートフォンとの通信距離を大幅に短くできること
  • 雪に埋もれた端末の真上方向から電波を送信することで電波を雪の中に深く届かせること

実証実験の内容

北海道虻田郡倶知安町のスキー場において、昨年の12月中旬に実証実験を実施しました。携帯電話・スマートフォンが雪の中に埋もれた状況において、高度約100メートルに浮揚させた係留気球無線中継システムとドローン無線中継システムを用いることで、約4メートルの深さに埋もれた携帯電話・スマートフォンの位置を特定できることを確認しました※3。ドローン無線中継システムは搭載するバッテリーの関係で短時間の運用に限定されますが、ドローンの機動性による迅速な運用を行うことができることから遭難者の救出を優先する場合に、係留気球無線中継システムは悪天候に対して十分な耐性があり、長期間の運用が可能なことから捜索を優先する場合にというように、状況に応じた使い分けが可能です。

結果まとめ

位置特定可能な深さ 雪中約4メートルの深さに埋もれたスマートフォンの位置を特定※3
無線中継システムの特徴による使い分け
  • 迅速な救助に「ドローン無線中継システム」を活用(現地到着後20分以内で運用開始)
  • 長期間の運用に「気球無線中継システム」を活用(現地到着後2~3時間で運用開始)

提案した臨時無線中継システム

提案した臨時無線中継システム

実証実験で使用した気球・ドローン無線中継システム

実証実験で使用した気球・ドローン無線中継システム

技術的検証を交えた調査検討により、係留気球無線中継システムやドローン無線中継システムが雪の中に埋もれた遭難者の携帯電話・スマートフォンの位置特定に非常に有効であることがわかり、これらの方策を調査結果としてまとめました。調査結果の詳細については、総務省のウェブサイトをご参照ください。

係留気球無線中継システムは災害などで通信障害が発生しているサービスエリアを迅速に回復させることを目的にソフトバンクが開発し、2013年から全国の主要拠点に配備しています。ソフトバンクは本取り組みにより、雪山などでの遭難者救助を目的とした気球無線中継システム、ドローン無線中継システムの新たな活用方策を提案することで、電波の有効利用の促進に貢献していきます。

[注]
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