お知らせ(旧ソフトバンクテレコム) 2005年

日本テレコムのテレワーク制度について

コンセプト

「どこでもオフィス」によって実現する、"Professional & Collaboration"ワークスタイル

日本テレコムの「テレワーク」は、必要な情報にアクセス可能で、必要な相手とコラボレーションできる状態があれば、どこであってもそれが「オフィス」であるという考え方です。事業所内の完全フリーアドレスはもちろん、自宅、外出先、お客様先でも、場所を問わずオフィスとまったく同じ状態で仕事ができる環境を整えています。

また、社員各自のライフスタイルにあわせた多様な働き方を支援する人事・評価制度と共に、e-Learningの充実により、どこからでも学習機会が得られる研修制度を整備しました。ITやオフィスレイアウトというハード面だけではなく、一人ひとりの社員のモチベーションに影響を与えるソフト面を充実させ、より高い価値をお客様に提供できるプロフェッショナルとしての働き方を作り上げられる環境を目指しました。

1. 今回導入されたテレワーク制度の内容について

テレワーク実施時の承認方法、勤務時間管理、評価制度など

(1) テレワーク制度の内容

社員はその日の業務内容や状況に応じて、自宅、ビジネスパートナー先、顧客先、出張先、その他インターネットカフェなど、勤務場所を自由に選ぶことができます。また、各自の通信費負担を会社として支援するべく、テレワーク補助支給を全社員に行っています。テレワークの対象は日本テレコム全部門、対象人数は全社員です。

(2) テレワークの承認方法

全社共通の「テレワーク勤務規程*」に従って、各部門長が部下のテレワークを承認するプロセスで対応しています。

  • 「テレワーク勤務規程」
    在宅などオフィス以外の場で勤務する際の環境面での留意事項、業務上の報告・連絡・相談などの方法や、出社義務、業務専念義務などについて記載しています。

(3) 勤務時間管理

勤務種別に応じて、フレックス勤務規程における日勤勤務や、フレックスタイム勤務を適応しています。特に営業部門の社員については、「事業場外のみなし労働勤務」を適用しています。

(4) 評価制度

日本テレコムの事業領域においてプロフェッショナルとして求められる能力の項目に対して、各社員がどのレベルに位置しているか、通年のプロジェクトでの実績をもとにした本人の自己評価に対して複数の人間による評価を行い、その能力の評価が報酬につながる制度の導入を進めています。あくまで「実績として発揮された能力」を基準に評価されるため、業務や作業に費やされた時間は、勤務時間管理上は意味を持ちますが、各社員の評価と報酬には直接的には関係しない制度となります。

2. 今回導入されたテレワークの推進体制について

テレワーク実施責任者の有無・部門、トップのかかわり、社内教育体制、周知徹底方法など

(1) トップマネジメント主導による、企業ビジョンに直結した設計・運用

日本テレコムの"Professional & Collaboration"ワークスタイルは、当社のビジョンおよびビジネス戦略に直結しているものであるため、社長自らのリーダーシップのもと、ワークプレイス、人事制度、研修制度の3点に展開されています。特に、「社員が“どこでも”働ける環境の実現」は、当社のワークスタイル全体を貫く重要なコンセプトであるため、人事部のみならず、オフィスの設計運用を担当する総務部、IT環境の設計運用を担当するIT部門など複数の部門が関わり、デザインと構築を行いました。

(2) 具体的な制度の導入・推進の主管部門は人事部

具体的な導入・推進にあたっては、人事部が主管部門として全社向けの制度告知・説明を行い、継続的な管理職研修において留意事項や規程の説明、実践事例紹介などを通じて、管理者の意識変革も行っています。

(3) ケーススタディ公開により「新しいライフスタイル」のあり方を社内外に提言

2005年1月の本格導入に先立ち、「仕事とゆとりある生活との両立」をテーマに、社員モニター6名がICT(インフォーメーションコミュニケーションテクノロジー)を活用して新しいライフスタイル、ワークスタイルを実践するトライアルを実施しました。(2004年12月~2005年3月)ほぼ100%出社して行っていた仕事の30~40%を自宅など会社以外の場所で行うトライアルを行い、その経過をブログで公開しました。
(http://www.japan-telecom.co.jp/blog/)。2005年4月からは「次世代育成支援対策推進法」の施行に伴い、さらに一歩進んだ「新しいワークスタイルの実践と育児ライフの充実の両立」を目指す活動に参加する社員のトライアルを開始しています。
これらの試みは単なる制度としてのテレワークの実践に留まらず、個人の生き方と社会人としての生き方をつなげる新しい働き方を作り上げるものです。社外に「ライフスタイル」のひとつの姿を提言すると同時に、社内の変革推進に大きな効果をもたらしています。
また、イントラネット社内報などの社内媒体においても、実際にテレワークを行っている人達のケースを分かりやすく紹介、社員一人ひとりの自発的なワークスタイル展開の促進を計っています。

3. テレワークを実施するうえでの環境の構築について

オフィス環境、情報インフラの整備状況、情報セキュリティなど

(1) "コアオフィス"汐留本社は「街」の要素を取り入れた創造性の高まるオフィス

「どこでもオフィス」である以上、社員にとっての執務環境が会社の「オフィス」である必要はありません。2005年1月にオープンした汐留本社を「どこでもオフィス」の中核である「コアオフィス」と位置づけ、コラボレーションを通じて価値を生み出すための場所と定義しました。コラボレーションにおける人の創造性を最大限高めるため、「五感の刺激」と「街」をオフィス空間にそのまま持ち込むというコンセプトのもと、デザインされております。社内外を問わずそこで働く人々の間に偶発的なコラボレーションが広がっていく仕掛けを作っています。

  • 弊社のオフィスについては、事業ビジョンもご参照下さい。

(2) 「どこでもオフィス」を支えるIT&ネットワークのコンセプトは、「デジタル&モバイル」

オフィスを特定の場所ととらえない「どこでもオフィス」という考え方により、社内外問わず「完全ロケーションフリー」を徹底しています。そのため、通信会社として培ってきたNWとITテクノロジーを活用し、以下のような施策を徹底しています。

1. セキュリティを強化したPCの共通化

地方勤務も含めた社員全員に共通ノートPCを配布しました。
全てのPCにインターネット環境におけるセキュリティリスクを徹底排除するための措置をあらかじめ施し、「コンピュターセキュリティガイドライン」の遵守義務を定め、PCそのものと内部の情報を保護しています。

2. ワイヤレス&コードレス化の徹底

汐留オフィスは社内を完全に無線LAN化し、3,000にのぼる端末を制御するための技術を施しました。PCは大容量/拡張バッテリーの利用で最大11時間の連続使用が可能です。さらに予備バッテリーの配布により電源バックアップも可能とし、移動時、あるいは社外でのPC利用にも対応しました。
また、汐留オフィス社内IP携帯端末の配布による固定電話の廃止を行い外線/内線着信、転送/留守番設定により、オフィス外での応答も可能としました。050番号を利用した無線IP電話を全社の社内電話に適用した例としては全国最大規模を誇ります。

3. オープンなネットワーク構成
インターネットとシームレスに接続できるネットワーク環境を、高度なセキュリティ維持とあわせて構築しました。自宅のインターネット回線や公衆無線LANなどを介した、社外からのNWアクセスの可用性を高めると共に、お客様やビジネスパートナー企業も当社オフィスから自社のネットワークに入ることを可能とし、社内外のコラボレーションを促進する環境を整備しました。
4. 高度なNWセキュリティ設計
「どこでもオフィス」をつなぐオープンなコラボレーション環境と、お客様情報等の機密情報を強固に守るセキュリティ環境を両立させるために、一般執務ゾーンとセキュリティゾーンのネットワークの構成を完全に分離しております。

4. テレワークを実施するうえでのチャレンジ項目

(1) 社内外ロケーションフリーの徹底/個室・固定席の廃止

「どこでもオフィス」の思想を徹底するべく、役員を含む個室・固定席の廃止を2005年1月の汐留本社移転時に行い、完全ロケーションフリーを導入しました。(ただし、会長および職務上個室を必要とする人事部長のみ、部屋が用意されています)それに伴い、汐留本社移転時に全社員の私物・備品の徹底整理・処分を行い、結果として新本社への持ち込み量を既存の荷物量の約10%にまで縮小し、固定席や所持品にとらわれないことで社外でのテレワークが容易になる環境を実現しました。

(2) ペーパレスの徹底によるデジタル情報共有の徹底

テレワークでの際に社内と同じ情報環境であるためには、情報がデジタル化されてネットワーク上で共有されている必要があります。新しいワークスタイルの導入である汐留本社移転を機に、紙媒体で情報を保管して仕事をすることを禁止し、社内の共有情報はすべてネットワークを通じてやりとりできる環境を実現しました。なお、汐留移転前後で比較した場合、紙使用量は84%減、プリンター・FAX類の台数は、137台から14台へと、およそ90%の削減となっています。

(3) 地方拠点へのワークスタイル展開

2005年1月の汐留本社移転からスタートしたこのワークスタイルは、全国で一斉導入が行われましたが、特に地方に対しては、通勤距離の長さ、交通機関の状況、また公衆無線LAN環境の普及度合いなどの地方性を考慮しながら、首都圏とは異なる細かい施策を組み込んでの展開を行っています。同時に、北海道、関西、東北、東海に汐留本社と同じ設計思想で作られたオフィスが、ワークスタイル変革を支援する環境として設置され、地方社員のコラボレーションの場として活用されています。

(4) 「新しいワークスタイルショーケース」としての活用

当社では、企業ビジョンにのっとった私達のワークスタイルをネットワーク時代の新しい企業と社員のあり方と位置づけ、社外に情報発信し続けています。1月以来、お客様や取引先、学術団体などの訪問を積極的に受け、9月5日現在270社(団体)、1,481名の方々がお見えになっており、この8月には、日経ニューオフィス推進賞も受賞しました。これまで以上に高まる世の中からの注目度に対して、私達の活動と実際の経験についてより一層オープンに外部に発信することで、企業と社員のWin-Win関係構築の輪を、さらに広げていきたいと考えております。

  • 日本テレコムは第18回日経ニューオフィス賞にて「ニューオフィス推進賞」も受賞しております。
    日経ニューオフィス賞

(5) 新しい組織内コミュニケーションのあり方およびピープルマネジメントへのチャレンジ

ワークスタイル変革と同時に、当社では組織のフラット化を進め、組織ではなくプロジェクトの単位で仕事を行うビジネスプロセスを導入しています。社内外問わずフリーアドレスであることとあわせ、どのように組織内のコミュニケーションを円滑に行うか、また、どのように社員のケアを行うかということが大きなチャレンジとなっています。現在、社内ポータルの再構築や、2Wayコミュニケーションプログラムをはじめとする全社コミュニケーションの再設計を進めると同時に、ラインマネジメントの意識強化を図るトレーニングなどを展開し、社内を流通する情報の質と量の向上に取り組んでいます。また、コーチ制度の導入もあわせて行い、上司やプロジェクトマネージャー以外に、個人的に一人ひとりの社員のキャリアや会社生活についてメンタリングを行う人間を設置することで、社員ケアの密度向上を目指しています。

5. テレワークを導入したことによる効果

(1) 社員間のコラボレーションの促進と効率性の向上

場所と時間の制約がなくなった分、組織的かつ物理的な距離感を意識しないでお互いにコミュニケーションを図り、アウトプットを出すために必要と思われる仕事を最も適切かつ効率のよい方法で行うようになりました。(チャットシステムの活用、メール、電話の活用により、無駄な打ち合わせを回避でき、執務場所を問わず仕事が進められるようになります)

(2) 情報共有の促進とコミュニケーションの活性化による、アウトプットの質とスピードの向上

コミュニケーションの活性化により、お互いの情報共有が促進され、仕事のアウトプットの品質と創造性が向上しました。特に2005年4月にスタートしたプロジェクト制(全ての仕事は「組織単位」ではなく、プロジェクトで行うという考え方です)浸透に伴い、お客様への提案対応スピードが早くなっています。これは場所、組織共に「縦割り」の概念を払拭したワークスタイルとプロジェクト制の相乗効果であると考えられます。

(3) 社外とのコラボレーション促進

執務環境の制約がないため外部での仕事がしやすくなり、お客様や取引先との対面時間が増加しました。

(4) 通勤時間・移動時間の有効活用

わざわざオフィスに出社もしくは帰社して執務する必要がない時に、最も効率的な場所で仕事をすることが可能なため、限られた時間を有効に使うことができます。生産性があがると同時に、体力的な負荷も軽減されました。

(5 )ワーク&ライフバランスの維持

仕事面での効果があがると同時に、時間のコントロールを自ら行えることから、ワーク&ライフバランスの維持向上が図れるようになりました。