2025年3月期 第1四半期
投資家向け説明会
主な質疑応答
日時 | 2024年8月6日(火) 午後6時~6時50分 |
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登壇者 | ソフトバンク株式会社 取締役 専務執行役員 兼 CFO 藤原 和彦 ソフトバンク株式会社 執行役員 財務統括 財務戦略本部本部長 秋山 修 ソフトバンク株式会社 財務統括 財務経理本部 本部長 小野口 亘 ソフトバンク株式会社 財務統括 経営企画本部 副本部長 佐々木 雄大 |
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スマートフォンの第1四半期純増数が18万件、前年同期比では14万件の減少となっている一方で、販売関連費の増加が目立つ。純増とこれらの費用の見通しは。
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純増数は、3Gサービスの停波による影響が5月中旬くらいまであったことも少し影響しているが、足元6、7月では回復してきている。第2四半期以降では良い結果を出せることを期待しており、今期の純増目標100万件は十分視野に入っている。販売関連費については、年間の利益目標達成のため、バランスをみてコントロールしている。獲得関連費用については、主に繰延影響で18億円のマイナス要因となっているが、今年度後半にはプラスに転じると見込んでおり、販売関連費が減益要因にはならないとみている。
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スマートフォンの純増数について、「楽天モバイル」の純増が与える影響はあるか。また、第1四半期の純増、販売関連費及びモバイルARPU、付加価値を除いたARPUの状況についての評価も教えてほしい。
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「楽天モバイル」やSIM契約に関しては、純増数や解約率に全く影響がないわけではないが、経営へのダメージは大きくないとみている。モバイルARPUについては、通信と付加価値のARPUを一体で捉えており、全体で現状のプラスから横ばいの状態は良い流れ。付加価値ARPUは若干のプラスになっており、通信だけ取り出すと若干のマイナスだが、ARPUと契約件数の掛け算でしっかり売上を稼ぎたい。純増と販売関連費の関係については、バランスは悪くないと考えており、コンシューマの利益目標の達成や翌年度以降の増益のためしっかり取り組んでいく。
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市場環境が変わった場合の今後の戦略として、純増数、ARPU、あるいは利益のうちどの指標を一番重視して経営の舵取りを行うのか。
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1つだけを重視するわけではなく、バランスをとっていく。第1四半期のスマートフォンの純増数だけを見ると以前より状況が厳しいと感じるかもしれないが、「ソフトバンク」と「ワイモバイル」のブランド間移行の収支は大幅に改善し、ARPUにもポジティブな影響を与えている。経営としては、最終的には契約件数×ARPUで生み出される全体の収益が最も重要。ただし、ソフトバンク(株)のサービスは、グループ会社含め、スマートフォンが入り口となっているため、ユーザー基盤の拡大は非常に重要。この両方を視野に入れて取り組んでいる。
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メディア・EC事業の利益が好調で全体として計画を上回っていると思うが、上振れた分についてどのように活用するかの方針は。
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メディア・EC事業の営業利益は強含みだが、同事業の純利益への貢献は限定的。同事業以外も順調に進捗する中で選択肢が増えつつあるのは事実だが、当社としては純利益を重視しているため、今後の具体的な方向性を断言するには時期尚早と考えている。
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第1四半期にAI計算基盤へ439億円投資したとのことだが、中身は何か。年間ではどれくらいの規模になるのか。
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439億円の内訳は、2023年度中に取得したNVIDIAのGPUが一部含まれているが、大半は2024年度に意思決定したGPUへの投資額。今までに意思決定したAI計算基盤関連への投資は、政府からの補助金とネットして合計で約1,200億円。このうち、2024年度の設備投資としては、約1,000億円弱を見込んでいる。
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経済産業省による「クラウドプログラム」供給確保計画の認定を受けた成長投資約1,500億円と、本説明会の中で説明していた成長投資1,200億円との差分を教えてほしい。
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2024年5月に発表したAI計算基盤への成長投資1,500億円に対し、政府からの補助金が420億円あるため、補助金を控除した実質の投資額は1,080億円。この金額が圧縮記帳後の設備投資として計上される。2023年度に決定したAI計算基盤への投資額130億円(補助金ネット後)と、1,080億円の合計が1,210億円。2023年11月発行の社債型種類株式の調達額1,200億円とちょうど見合うくらいの金額となっている。
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LINEヤフー(株)が実施する自己株式の公開買付けに伴い、Aホールディングス(株)から得られる配当金は成長投資に使われるのか。
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前提として、当社のプライマリー・フリー・キャッシュ・フローの管理上、LINEヤフー(株)やPayPay(株)に関するキャッシュ・フローは外数としており、従って、Aホールディングス(株)からの配当金はフリー・キャッシュ・フローに含まれる。プライマリー・フリー・キャッシュ・フローを多く創出した場合には、結果的に成長投資に回すことも十分考えられる。
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社債型種類株式は今後もこのペースで発行していくのか、来期以降の方針について配当政策との関連性を教えてほしい。社債型種類株式に依存する戦略は持続可能なのか。
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まず当社の配当政策は、社債型種類株式に直接依存する形ではないことをご理解いただきたい。配当政策において当社が重視している点は3つあり、1つ目は配当性向を正当化するだけの連結純利益であり、これは今後もしっかり出していく。2つ目は、ソフトバンク(株)単体の配当原資。社債型種類株式は会計上は資本剰余金として計上されるためバックストップ的な効果は見込まれるものの、配当は原則利益剰余金で賄う方針であり、それだけの利益剰余金を事業から生み出せると考えている。3つ目は、キャッシュ・フロー。これも社債型種類株式には依存することなく、事業キャッシュ・フローで配当を賄っていく。従って社債型種類株式は、純粋に将来の成長資金のために発行するものであり、戦略的な長期投資にマッチする性質の資金調達方法と捉えていただきたい。今後の発行方針については、時期を定めず5回まで発行できる旨の定款変更決議を株主総会で行っており、将来の成長に必要となったタイミングがあれば発行を検討していきたい。
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